2009年3月30日

4・21裁判員制度阻止へ(上) 推進派・日本共産党を弾劾する

週刊『前進』06頁(2385号5面4)(2009/03/30)

4・21裁判員制度阻止へ(上)
 推進派・日本共産党を弾劾する
 「良い裁判員になろう」と叫び延期要求を取り下げ

 高山俊吉弁護士インタビュー(本紙前号5面)は、裁判員制度粉砕闘争がいかに歴史的な階級決戦なのかを鮮明に、かつ分かりやすく、熱く語っている。これをしっかり学習し討論して、4〜5月決戦に猛然とうって出よう。「裁判員制度はいらない!大運動」が呼びかける4・21全国集会(要項別掲)の大結集を全力で実現しよう。
 既成野党と連合・全労連などの既成労組指導部がおしなべて裁判員制度賛成・推進の立場をとっているにもかかわらず、労働者人民の8割以上が反対や拒否の意志を表明している。これを単純化して言えば、「支配階級+資本主義擁護勢力」VS「労働者人民」という対立構造である。ここに、裁判員制度粉砕闘争の超重大性が示されている。
 そこにはプロレタリア自己解放闘争が爆発的に進展する展望がある。資本主義擁護派の反労働者性を徹底的に暴き、粉砕していく党派闘争に挑み労働者人民の怒りの総決起を獲得しよう。「裁判員制度絶対反対、5月実施阻止」で闘い抜こう。

 第1章 資本主義擁護では闘えない

 全労連、自由法曹団、日本国民救援会の日本共産党系3団体は2月、『裁判員になるかもしれないあなたへ』と題するリーフレットを発行した。A3紙を四つに折っただけのものだが、とんでもない内容である。いわく、「裁判員制度では、皆さんがどういう裁判員になるのかが問われます」「裁判員になって、職業裁判官のゆがみを正す」「ゆがみのない目で証拠を見ること、あなたに期待します」と。なんという言いぐさか。怒りなしにはけっして読めない。支配階級に代わって“良い裁判員になれ”と命令している超反動的なリーフだ。
 もしも裁判員が裁判官の「ゆがみ」を正せてしまえるなら、権力はこんな制度は絶対に導入しない。仮に一人の裁判員が「疑わしきは罰せず」を主張したとしても、多数決で圧殺できるようになっている。アメリカの陪審制とはまったく違う仕組みなのだ。3〜5日で判決を下してしまう超迅速裁判の中で、裁判員は権力の思うがままに操られるだけである。そもそも良い裁判員か悪い裁判員かで、裁判の結果が変わるような制度ではない。
 日共は、このような制度的問題点を知らないわけではない。事実、日共系弁護士団体や救援団体の内部では賛成・反対の対立が続いていた。にもかかわらず、そうした問題点を基本的に塗り隠し、“良い裁判員になろう”“良い裁判員制度を実現しよう”と宣伝することに踏み切ったのだ。
 だからこのリーフには「実施延期」という文言がない。昨年8月、日共の市田書記局長は「実施の延期を求めていく」と記者会見したが、今ではまったく言わなくなっている。リーフには「ぜひ、今から、改善を求め、実現していきましょう」とある。つまり“2〜4月で裁判員制度の改善を求め、5月21日の実施を実現しよう”ということだ。
 これは日共としての方針転換である。裁判員制度にはもう一切反対しない、04年に裁判員法の制定に賛成したように、積極的にこれを推進するという決断である。
 なぜか。本質的な理由は、昨年9月以降の世界金融大恐慌情勢である。「健全な資本主義の発展」(志位委員長)を唱える日共は、日本資本主義を破綻させないために裁判員制度を実施させようとしているのだ。ブルジョアジーとまったく同じ立場と思想なのだ。労働者の敵=日共を、裁判員制度もろとも粉砕しようではないか。

 第2章 5月実施阻止の旗を掲げて

 資本主義の崩壊や支配の破綻を見抜けず、この時代を労働者階級の勝利のチャンスとしてとらえることのできない政党・党派や諸潮流は、裁判員制度に反対しない、反対できない。この現実が目の前で明らかになっている。
 社民党は昨年8月に「実施延期を含め、再検討を求める」と言った。しかし今年2月には福島瑞穂党首は「裁判員制度を監視して育てていくべき」と推進発言をしている。財界と手をつないできた連合中央は、04年の段階で「司法の民主化ともいうべき裁判員制度」と絶賛し、実効ある司法改革をともに進めると表明してきた。民主党は党として沈黙することで裁判員制度推進の態度を表明している。
 裁判員制度の導入は、このような野党や体制内労組指導部の協力なしには絶対に成功しない。なぜなら裁判員制度は、労働者人民を裁判員として、裁判所に強制動員する制度だからだ。“よい裁判員になろう”という日共の主張がどれほど犯罪的か。徹底的に粉砕しよう。
 求められていることは、労働者階級の一個の指導部として、裁判員制度絶対反対の旗を振って、職場や地域で力強く登場することである。全労連や連合傘下の労働組合内部でもすでに分岐や決起が進行している。勝負はこれからである。
 権力はなぜ裁判員制度を導入しているのか、その狙いは何かを徹底的に訴え、職場や地域で一緒に闘う仲間を組織しよう。4・21までの3週間をまず全力で取り組もう。
 (花石佳美)