2009年4月20日

〈焦点〉 税金投入で大資本救うな 追加経済対策15兆円超

週刊『前進』06頁(2388号5面4)(2009/04/20)

〈焦点〉 税金投入で大資本救うな
 追加経済対策が15兆円超

 日帝・麻生政権は、「景気の底割れを回避する」とか「株価暴落に備える」などと称して、「財政規律」を崩壊させるほどの野放図な財政投入に突き進んでいる。先のG20・金融サミットで、米英日が先導して「2010年までに総額5兆㌦(約500兆円)の財政出動」を確認したことをいいことに、4月10日には真水で過去最大の15・4兆円の財政支出(総事業規模56・8兆円)を軸とする追加経済対策を決定した。
 09年度当初予算と合わせた一般会計予算は、これでついに100兆円の大台を突破し、国債発行額も7〜8兆円の赤字国債を含め、初めて40兆円を超える。株価対策として政府の関係機関が最大50兆円の株を市場から買う「危機対応措置」を設ける、企業の資金繰り支援に約42兆円を用意する、中小企業向けの緊急保証枠を20兆円から30兆円に拡大するなどなど、まさに資本救済のための、財源もはっきりしない大盤振る舞いだ。しかも政府は昨年夏以降、「3段ロケット」と称する3度の恐慌対策で、すでに12兆円(総事業規模75兆円)を投入しているのだ。
 今回の追加経済対策の作成にあたり、これまで「財政再建派」の頭目だった与謝野は、「一時期、私は宗派を替える」と公言し、閣僚たちに「何でもいいからアイデアを出せ」と発破をかけ、政策総動員の旗を振った。これまで小泉政権を頂点とした新自由主義政策のもとで、労働者階級人民の犠牲の上に空前の高収益をほしいままにしてきた大企業・大銀行を、今度は税金を大量投入して、世界大恐慌の打撃から救済するのが、今回の空前の規模の財政投入の反人民的な最大の目的である。
 しかもこれは同時に、自民党幹部が「12〜13兆円ではとても選挙はできない」とうそぶいているように、税金で自民党・公明党の選挙対策を行い、総選挙に向けて「票を買う」という、とんでもない「バラマキ」政策でもあるのだ。まさに民主党・小沢への国策捜査で、労働者階級の決起への抑圧と襲撃をも狙った麻生の、断じて許し難い反革命的政策である。 
 すでに国と地方を合わせた日帝の長期債務残高は、08年度末で実に787兆円に達し、帝国主義諸国の中で最悪だ。麻生は「2011年度までに基礎的財政収支を黒字化」という小泉以来の「骨太方針」などいとも簡単に投げ捨て、国債大増発の大借金路線に突き進んでいる。だが市場に国債がだぶつき、金利上昇(債券価格下落)で恐慌が逆に促進される事態も、これから不可避となっていく。
 麻生は4月10日の会見で、「消費税を含む税制抜本改革の実施」を表明した。「財政規律」も破壊した野放図な財政投入政策のつけは、結局、消費税の大増税である。労働者人民からしぼった税金の空前の投入で大企業・大銀行を救済し、次には消費大増税で、首切り・賃下げや社会保障制度解体にあえぐ労働者階級人民から無慈悲に収奪する、これが麻生政権と日帝ブルジョアジーの政策だ。
 世界大恐慌は、資本主義・帝国主義の歴史的破産と終わりを告げている。今こそ全世界の労働者が団結し、資本主義救済の先兵と化す体制内指導部を打倒し、プロレタリア革命の勝利を開く時だ。