2009年5月11日

「日の君」闘争 卒業式被処分者が提訴

週刊『前進』06頁(2390号2面4)(2009/05/11)

東京「日の丸・君が代」闘争
 卒業式被処分者が提訴
 “都教委の暴走止めるため”

 今年3月、都立校の卒業式で「日の丸・君が代」不起立・不伴奏を理由に戒告・減給・停職の不当処分を受けた教育労働者6人が、4月24日、東京都人事委員会に対して処分撤回を求めて不服審査請求を行った。
 人事委への請求後、「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会が記者会見を行い、被処分者がそれぞれ自らの思いを熱く語った。(別掲)
 03年「10・23都教委通達」による「日の丸・君が代」強制に抵抗して、不起立・不伴奏などで戒告以上の処分を受けた教育労働者は、のべ422人にいたった。
 とりわけ今春は、昨年7月に都教委が策定した「分限対応指針」に基づき、07年度・08年度と2年連続で停職6カ月処分を受けた根津公子さんに対する分限解雇が狙われていた。しかし、解雇の脅しをも突き破って根津さん・河原井純子さんを先頭に不起立・不伴奏を貫く労働者が広がり、ついに根津さんの分限解雇も阻んだのだ。初めての不起立者が登場したことも決定的なことだ。
 都知事・石原は04年4月、「日の丸・君が代」強制について「5年先、10年先になったら、首をすくめて見ている他県はみんな、東京のまねをすることになるだろう。それが、東京から日本を変えていくことになる」と豪語していた。
 しかし、教育労働者の誇り高き闘いは、この石原の思惑を完全に打ち砕いてきた。「10・23通達」から6年目の春を迎えてもなお、東京の教育労働者の抵抗はやまないばかりか、ますます広がっている。この6年間に都教委が推し進めてきた主幹制度導入(03年度)、業績評価に基づく賃下げ(04年度)、主任教諭制度導入(09年度)などの度重なる攻撃に対して、労働者はますます怒りを募らせている。
 さらに全国の教育労働者が「東京に続け」と陸続と不起立で闘い、09年卒・入学式でも東京のように画一的に職務命令を出した道府県はない。
 労働者の闘いを必死で押しとどめている組合幹部と闘いぬき、主任教諭導入による団結破壊、免許更新制度、夏季一時金カットに「絶対反対」を貫いて反撃しよう。そのすべての怒りを不起立で解き放とう! 6年間の闘いの勝利に自信と確信を持って前進しよう!

 “多くの教員の声援受け” 処分撤回請求した被処分者の声

 第1節■都立高校の音楽教員(4回めの不伴奏で減給〈10分の1〉6カ月) 
私は、学校教育が「天皇の命令によって死ぬことが最高の道徳だ」と教え込み、侵略戦争に駆り立てた歴史を考えないわけにはいきません。「君が代」の歌詞は、明らかに天皇制の永続を願う歌です。それを生徒に無条件に歌えと教え込むことはできません。なんとしてもこの現実を覆したい。
 第2節■都立高校教員(3回めの不起立で減給〈10分の1〉6カ月) ナチスのようなものが登場した時に「ノー」と言う言論の自由こそ、二度と世界大戦を起こさないための仕組みだったはず。多くの教員が「日の丸・君が代」強制に対してナチズムと同じだという思いを抱いています。だから職場でも、ほとんどの教員が私に「頑張ってください」と言っています。
 第3節■都立高校教員(初めての不起立で戒告処分) 
不起立したのは、いまだに新たに不起立する者がいることを都教委に知らしめたかったからです。「10・23通達」以降、学校には物を言えない制度がさらに増えた。業績評価では都教委が校長に、教員の2割に「C=いま一歩」という評価をつけろと命令。今年から給与体系もまったく違う主任教諭制度が入った。しかしここであきらめたら、都教委や国の暴走は止められない。だから堂々と不起立しました。単なる国旗・国歌の問題ではない。この国が危機的な方向に流れようとしているからこその不起立です。
 第4節■特別支援学校教員(5回めの不起立で停職3カ月処分) 「日の丸・君が代」処分を理由に、勤続25年で全員が得られる5日間の「リフレッシュ休暇」を奪われたが、裁判で勝った。こういうひどいことをやった人たちは一切処分されず、私たちには累積処分を重ねるのは、本当に理不尽。見せしめの暴力装置です。