2009年5月11日

P3C2機ソマリア派兵阻止を 「海賊対処法」策動と一体

週刊『前進』06頁(2390号6面3)(2009/05/11)

P3C2機ソマリア派兵阻止を
 「海賊対処法」成立策動と一体

 陸海空の1千人が恒常的な展開

 浜田防衛相が4月17日、ソマリア沖への海自P3C哨戒機2機の「派兵準備」を発令した。これを受け赤星海幕長は、P3C2機を5月中に海自厚木基地の第4航空群から派遣し、6月にも現地で活動を開始する方針を明らかにした。しかも、このP3Cの拠点となるジブチ空港の「警護」に陸自の中央即応集団直轄の中央即応連隊(宇都宮駐屯地)1個小隊40人も派兵される。
 この中央即応連隊は「テロ・ ゲリラ」への対応部隊として昨年3月、宇都宮駐屯地に本部管理中隊と3個中隊700人で編成された部隊だ。拳銃、小銃、機関銃で武装し、軽装甲機動車も送り込まれる。イラク戦争でクウェートを拠点に空自が米軍の支援輸送を行った際も陸自の派兵は行われていない。
 さらに、拠点となるジブチ空港にP3Cの駐機と「警護」に必要な物資を輸送するため小牧基地から空自1輸空のC130輸送機も派兵される。つまり「海賊対策」を口実に陸海空3軍が恒常的に展開するのだ。 
 5月の派兵要員は約150人である。すでにインド洋に派兵されている補給艦と護衛艦、ソマリア沖の護衛艦2隻、そしてP3C2機がアラビア半島を囲む広大な海域で一体的に軍事展開し、米軍と合同の軍事行動も行う。全部で陸海空の自衛隊1000人を超える大部隊が実際に侵略戦争に突入するのである。
 また、3月にすでに呉基地から派兵された護衛艦2隻の交代として、6月には横須賀と大湊(青森)から護衛艦が派兵される。日帝の海外派兵—侵略戦争政策は恐るべき段階にきているのだ。

 「海賊対処法」の成立阻止しよう

 現在、ジブチに派遣されている哨戒機は米軍の3機のほかに、ドイツ、フランス、スペインの各1機だ。日帝のP3C2機の派兵は突出している。米軍のソマリア沖での「海賊対策」は、「対テロ戦争」の一環として展開され、P3Cを海上だけでなく陸上の偵察にも使っている。しかも海自P3Cの情報は米軍が統括することになる。すでに国連安保理決議は陸海空からのソマリア攻撃を容認している。米帝は「海賊対策」と称して「陸上拠点」への攻撃をも画策しているのだ。
 「海賊対処法」、は今国会で成立がもくろまれており、すでに衆院通過が強行された。この法案では自衛隊の発砲でソマリア漁民を虐殺しても「正当」とされ、責任は問われない。護衛対象は外国船を含む全船舶に拡大、ソマリア領内への侵攻はもとより、沿岸国への領海侵犯(「追跡」)も容認する。まさに全世界に派兵できる恐るべき侵略戦争法なのだ。「違憲」とか「改憲」のレベルをすでに超えている。1931年の9・18「柳条湖事件」に匹敵する侵略戦争がすでに始まっていることを直視しよう。
 現在、ソマリア沖では17カ国の艦艇が「軍事作戦」を展開している。日帝の陸海空3軍のソマリア沖派兵は、「海賊対策」を口実にした、中東石油の支配をめぐる帝国主義間争闘戦への日帝の歴史的踏み込みである。
 道州制攻撃、裁判員制度導入、北朝鮮の「人工衛星ロケット発射」をめぐる排外主義と迎撃態勢発動。さらに日帝内部から噴き出ている「国連脱退」「核武装化」「集団的自衛権行使」などの一連の反動発言。入管体制の強化。すでに「集会制限」報道すら飛び出している「新型インフルエンザウイルス」キャンペーンをつうじた危機管理体制の強化。これらは一本の糸でつながっている日帝の戦争と改憲の攻撃、戦争国家化攻撃なのだ。

 職場から決起し侵略派兵と闘う

 世界大恐慌下、全世界で帝国主義ブルジョアジー・翼賛議会・体制内労働運動指導部と全労働者階級との非和解的な対決構造が、日々、明らかになってきている。1930年代がそうであったように帝国主義は、「国益と排外主義」「保護主義と自衛権」などを叫び、一方では「職と住」を奪う大失業攻撃を激化させ、「青年労働者の生きる道は軍隊だけ」という攻撃を開始している。
 大恐慌下の戦争・改憲と民営化・労組破壊の攻撃に対決し、国鉄を基軸とした4大産別決戦勝利へ決起しよう。
 厚木、小牧、宇都宮からの5月陸海空3軍のソマリア沖派兵・P3C派兵を職場からの決起で阻止しよう。
 労働者と兵士の階級的団結で、世界大恐慌をプロレタリア革命に転化するために今こそ闘おう!