2009年5月25日

解雇撤回せよ 不起立 米山さん裁判スタート

週刊『前進』06頁(2392号5面4)(2009/05/25)

「君が代」解雇撤回せよ
 東京/不起立貫き非常勤教員合格取り消し
 米山良江さんの裁判がスタート

 5月11日、「日の丸・君が代」不起立による解雇(非常勤教員の合格取消)と闘う東京教組の米山良江さんの、解雇取り消しを求める裁判の第1回口頭弁論が行われた(東京地裁民事第36部、渡辺弘裁判長)。第1回口頭弁論には根津公子さん、河原井純子さんら被処分者、東京教組の仲間など30人以上が集まった。次回は9月3日(木)午後1時10分から、東京地裁705法廷。以下、第1回口頭弁論で米山良江さんが行った意見陳述を紹介します。(編集局)

 意見陳述 米山良江

 私は1947年生まれで、昨年春が定年退職の年でした。37年間、東京の下町で、小学校の教員として働いてきました。学級担任として、一人ひとりの子どもたちが心を開いて過ごせるように心がけて、仕事をしてきました。
 最後の卒業式で「君が代」斉唱時に不起立したことで、不当な戒告処分を受けました。同時に、定年退職後の非常勤教員の仕事の合格が取り消されました。不当な解雇です。この処分の撤回を求めます。
 都教委の2003年「10・23通達」は、処分の圧力で「正面に『日の丸』、ピアノ伴奏による『君が代』斉唱」の形を全都の学校に押しつける攻撃です。03年は自衛隊のイラク派兵が開始された年です。私は、こうやって教育を戦争体制に組み込んでいくんだと思いました。
 職員会議での論議を一切否定し、歴史的事実を無視して、暴力的に形だけ従わせることがいかに愚かなことか、教育の名に値しないことなのか。だから当然にも、不起立の抵抗が巻き起こりました。今春の被処分者を合わせると、処分された者はのべ422人に上ります。実際には、その何倍もの人たちが抗議の声をあげ続けています。現場の教育労働者はそのことを口に出そうが出すまいが、このような教育を破壊することは許せないと深い怒りを持っています。だから、不起立の抵抗が続いているのです。共感と支援は、ますます広がっています。
 「命がけで憲法を破る」と言って、東京の教育を上意下達の命令で破壊してきた石原都知事と、「子どもたちを再び戦場に送るな」と戦争につながる教育に反対し続ける私たちの、どちらに道理があるのかということです。都教委が唯一の根拠にしている学習指導要領は、国家権力の不当な介入で変えられてきたものに過ぎません。例えば1977年の改訂で初めて「国歌」の文言が入ったのですが、その時も教育課程審議会を無視して、当時の防衛庁・自衛隊が横やりを入れて、政治的に介入したのです。 
 都教委は、不起立を「服務事故、信用失墜行為」と言います。私には都教委の苦し紛れの言い分にしか聞こえません。また都教委は不起立に対して「重大な非違行為」「学校の秩序を乱した」などと口を極めて非難の言葉を浴びせていますが、この言葉は都教委の教育行政にこそ当てはまる言葉です。私は、教育公務員として最後まで職責を果たしたと今も思っています。
 次に、なぜ不起立宣言をしたのか、都教委に抗議の要請書を出したのかということです。私は、見せしめ処分、分断攻撃、不当な差別的な都教委のやり方を許してはいけないと思いました。不起立を続ける根津公子さんを孤立させてはならないと思いました。
 処分はもとより不当です。しかし、あきらめや屈服を強要するために、脅しとして都教委は処分を振りかざしてきています。だから、不当な処分があっても行動したのです。
 都教委は「処分は予見できただろう。何が処分は不当だなんだ」という趣旨のことを答弁書で書いています。都教委は、労働者を、人間を、権力を持って脅せば黙る存在だとなめてかかっているのです。都教委には、私たち労働者が人間としての誇りを奪おうとする者に対して、命をかけて闘う存在なのだ、団結して闘う存在なんだと言うことをまったく理解できないのです。
 私たちは、正義と道理を、団結の拡大で貫いているのです。
 裁かれるべきは、都教委の側です。あらためて、不当な解雇の撤回を求めます。
 2009年5月11日
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 米山良江さんの「君が代」不起立解雇との闘い

 昨08年3月、不起立による累積加重処分により東京の教育労働者・根津公子さんの解雇が策動される中で、米山さんは 「私もこれまでずっと不起立しているのに、一度も処分を受けていない。根津さんの解雇は絶対に許せない」と都教委に鋭く迫った。この米山さんの闘い、そして全都・全国の教育労働者の不起立闘争の拡大、さらに国境も越えた労働者の団結の力が、根津さんの「君が代」解雇を阻んだ。
 米山さんは不当解雇の撤回を求めて裁判闘争を闘いぬいている。