2009年6月22日

双龍(サンヨン)自動車無期限スト 家族先頭にストを死守

週刊『前進』06頁(2396号4面4)(2009/06/22)

双龍自動車平沢工場無期限スト
 6・16官製デモ打ち破り家族先頭にストを死守

 解雇撤回を要求して組合員1100人が平沢(ピョンテク)工場内に立てこもり無期限ストを続けている金属労組サンヨン(双龍)自動車支部。スト25日目の6月16日、会社側は、整理解雇の対象とならなかった職員を強制動員して「労−労衝突」によるスト破りに出た!
 会社側は、整理解雇から除外された職員を動員してスト中断を要求する「自主的な出勤闘争」を行うことを明らかにしていた。会社は「出勤は職員らの自立的決定」「整理解雇から除外された4500人余りの全職員が16日に出勤し、平沢工場に進入を試みる」と宣伝を繰り返した。
 「職員の自立的決定」は大ウソだ。会社は「16日午前8時30分までに駐車場に集合。来ない場合には欠勤」と連絡。緻密(ちみつ)な「工場進入準備資料」を作成し「救社隊」と称するチンピラを集めて暴力的制圧の訓練を行った。前夜15日には軍事作戦さながらヘリコプターで謀略ビラを散布した。
 他方で、976人を整理解雇しようとしているサンヨン自動車が3年後の12年までに841人を追加採用する計画が明らかになった。整理解雇の目的は、組合つぶし以外の何ものでもない。
 サンヨン自動車は今年1月に経営が破綻し、3000人の労働者が工場から追い出された。2人の労働者が会社の脅迫と懐柔で苦しめられた末に脳出血と心筋梗塞(こうそく)で死亡した。6カ月もの賃金未払いと無給休職の上での解雇通知だ。「希望退職」で追い出された労働者への退職金も支払われていない。
 前夜の15日、工場内で開かれたロウソク集会で組合員と家族らは工場を守る覚悟を固めた。
 緊張の夜明け。工場正門前に棺桶(かんおけ)を置き、真っ白な喪服を身にまとった家族がピケを張った。「これ以上殺すな」「一緒に生きよう」。決死の訴え。正門には会社の管理職が集まり、「不測の事態に備える」と称して警察の大型バス30台が待機した。民主労総や民主労働党などが記者会見で会社側の暴力鎮圧の中断を求めた。
 1500人の官製デモが「スト撤回! 正常操業!」などと叫んで工場への侵入を図る。会社のユニホームで偽装した救社隊の姿もある。これに決死の覚悟の家族たちが勇敢に立ち向かった。
 組合員がマイクで鉄条網の中から訴えた。「官製デモに動員されたみなさん。直ちに解散してほしい。10年、20年同じ釜の飯を食って現場で働いてきた労働者に石を投げるのか」「会社が『来なければ懲戒解雇する』と言ったのも知っている。使用者側のウソにだまされるな。これ以上資本に利用されるな」
 激しい攻防の中、家族たちは驚くべき勇気を発揮し、ひるまなかった。正午前、ついに官製デモは退散。放水車を前面に出した警察部隊も引き揚げた。勝利したのだ!
 「整理解雇通知」を受け取って泣きじゃくった妻たちが闘士となってピケを守り抜いた。「革命の学校」と言われるストを闘う中で労働者は自らの現実と社会の矛盾を理解し、自らの未来を切り開いている。
 (室田順子)