2009年6月29日

「海賊対処法」成立弾劾 世界全域で武器使用を狙う

週刊『前進』06頁(2397号4面3)(2009/06/29)

「海賊対処法」成立弾劾
 世界全域で武器使用を狙う

 ソマリア沖への自衛隊派兵に続き、事実上の海外派兵恒久法となる「海賊対処法案」が、19日の衆院本会議で再可決—成立させられた。現行憲法体系を踏み破り、海外での武力行使をも可能にしたこの攻撃を弾劾して、反戦共同行動委員会は国会行動に決起した。
 まず全学連の学生が「法大弾圧は外に向かっての侵略戦争と一体の攻撃だ。110人の仲間が完黙を貫いている。この団結こそが戦争を止める力だ」と訴えた。労組交流センターの労働者は「連合は戦争情勢下でアメリカの独占的な核は容認、北朝鮮の核は許さないという排外主義に転落した。オバマを全面賛美する日本共産党も同じだ」と、体制内派の戦争翼賛への怒りをこめた。
 都政を革新する会の長谷川英憲さんは「オバマが核独占を宣言し、ソマリア沖に派兵された自衛隊が武器使用寸前だ。これに全野党が翼賛している」と、既成政党の総屈服を弾劾した。東京反戦共同行動委の仲間は「麻生政権を人民は誰ひとり支持していない。帝国主義は労働者の力で必ず打倒できる」と訴えた。

  職場を基礎に戦争と闘おう

 「海賊対処法」の重大性は、①武器使用基準の緩和と、②外国船も警護対象にできるということを新たに定めた点にある。
 これにより、「海賊」(実体は帝国主義の侵略で漁場などを奪われ生活基盤を失った漁民・人民だ)に、自衛隊が「危害」を加える船体射撃が可能になり、「海賊」が停船命令に従わない場合は、相手が攻撃してこなくても船体射撃ができることになったのだ。
 さらに、これまでの海上警備行動では日本関係船舶に限定された警護対象を、外国船まで拡大したことで、海域に限定なく世界のどこでも、どの国の船舶でも「警護」が可能となった。海外派兵と集団的自衛権行使の決定的エスカレートだ。
 「海賊事件」は15日現在、すでに昨年を31件上回る142件が発生し、30隻210人の乗員が人質になり、14隻はいまだ抑留中だと宣伝されている。今月11日から現地で作戦体制に入ったP3C哨戒機などと連携し、自衛隊の艦艇が米軍などと共同して、実戦そのものに踏み込むことが現実のものとなっている。
 同時に、北朝鮮核実験に対する国連新制裁決議1874(6月12日採択)を受けて、日帝・麻生政権は、公海上で軍事力による船舶への臨検を可能とする特別措置法の今国会成立を狙い、法案の提出を急いでいる。
 自民党プロジェクトチームは、船舶の追跡・検査は海上保安庁でなく自衛艦が行うこと、活動範囲を制限しないこと、国会承認は事前も事後も不要であることなど、実に超反動的な方針を確認した。
 今や米日帝は北朝鮮侵略戦争発動の準備に突入している。シンガポールに向かって航海中の北朝鮮貨物船を、横須賀配備の米海軍イージス艦が追跡中であると報じられていることも超重大だ。
 6・14—15連続闘争の大勝利を引きついで、戦争と大失業に反撃する職場・生産点を基礎とした闘いを強めよう!