2009年7月 6日

8・6広島-8・9長崎大結集を 核独占と戦争のオバマ・麻生倒せ 村上 秀彦

週刊『前進』08頁(2398号5面1)(2009/07/06)

8・6広島-8・9長崎に大結集を
 オバマ賛美の日共と連合中央を許さず 核独占と戦争のオバマ・麻生倒せ
 村上 秀彦

 〈大恐慌と戦争>情勢のもとで迎える被爆64周年8・6広島—8・9長崎反戦反核闘争は、巨大な階級決戦になる。世界戦争・核戦争がリアルに切迫するその時に、いや、だからこそ日本共産党スターリン主義、連合中央から、田母神ら極右ファシストにいたるあらゆる反動勢力が、オバマ賛美と北朝鮮への侵略戦争の扇動でヒロシマ・ナガサキつぶしに殺到している。広島の秋葉市長は「オバマジョリティー・キャンペーン」を展開し、オバマ賛美で染め上げようとしている。反戦反核闘争の絶滅を許すのか否か。それは日本階級闘争、階級的労働運動の解体を許すのか否かだ。11月労働者集会1万人結集も今夏8・6−8・9をめぐる階級決戦にかちぬくことにかかっている。被爆者を先頭に労働者階級の怒りを解き放ち、「核独占と戦争のオバマと麻生を倒せ!」「北朝鮮侵略戦争絶対阻止!」を掲げ、8・6広島−8・9長崎へ全国から総力で結集しよう。(写真は昨年の8・6ヒロシマ大行動デモ)

 大恐慌-戦争切迫と対決

 新自由主義が破産し、大恐慌に突入した帝国主義は、選択の余地なく保護主義と戦争に向かっている。イラク・アフガニスタン・パキスタン・ソマリアなどへの侵略戦争の継続と激化、拡大。核実験・弾道ミサイル開発を口実にした北朝鮮への新たな侵略戦争の策動——これら一切の元凶は、帝国主義の基本矛盾の爆発だ。帝国主義が帝国主義であるかぎり、不可避に世界戦争まで突き進む。
 GM破綻からドル暴落の大破局へ向かう基軸帝国主義アメリカがその先頭を走っている。米帝に残された「最後の武器」は、第2次大戦以来築き上げてきた圧倒的に巨大な核軍事力である。米帝がこれを使わないまま「座して死を待つ」ことなどありえない。
 オバマの4・5プラハ演説は、大恐慌と戦争の時代に米帝が「最後の武器」として核を独占・行使する、新たな世界戦争・核戦争宣言だ。
 オバマは次のように言う。「核兵器が存在する限り、わが国は、いかなる敵であろうとこれに対する抑止を行い……安全、確実で効果的な(なんたる言い草!)核兵器備蓄を維持する」
 これのどこが「核廃絶」演説か。オバマは6月16日の米韓首脳会談で「核の傘」による韓国防衛を明言したが、これこそプラハ演説の具体化なのだ。
 「核兵器を使用したことがある唯一の核保有国として、米国には行動する道義的責任がある」——このフレーズには原爆投下に対する反省や謝罪らしきものはカケラもない。むしろ実際に核を使ったことがあるという米帝の「唯一性」を誇示し、世界を恫喝しているのだ。そして「行動する道義的責任」の実践として北朝鮮船を追跡し、戦争を挑発している。北朝鮮やイランや「テロリスト」に核を持たせないために戦争も核攻撃もためらわない——それがプラハ演説なのだ。

 米日帝の北朝鮮侵略戦争を阻止しよう!

 大恐慌は日帝の存立基盤を根底から崩壊させ、政治・経済・全社会的な危機を爆発させている。労働者の激しい怒りは麻生政権を打倒寸前に追いつめ、自民党支配を最後的に崩壊させようとしている。だからこそ麻生らは、戦争衝動に駆り立てられ、「敵基地攻撃能力保有」論や「核武装」論を噴出させながら北朝鮮侵略戦争へと突き進んでいるのだ。
 重大なことは、北朝鮮への排外主義と侵略戦争の扇動で自民、民主から日共にいたる「挙国一致」がつくり出されていることだ。衆参両院は北朝鮮への制裁決議、さらに北朝鮮非難を核心とする「核廃絶決議」を全会一致で採択した。臨検・戦争挑発による北朝鮮侵略戦争開戦を狙う「貨物検査特措法」も民主党の全面協力で一気に成立する情勢だ。
 そうした中で田母神が「8・6ヒロシマ講演会」強行を狙う。田母神は「日本のために核武装するべきだと考えており、講演ではそこに触れることになる」とうそぶいている。
 大恐慌が激しい核と戦争の衝動に帝国主義を駆り立てる。大失業と戦争をまき散らし、核戦争の破滅へと向かう帝国主義の打倒に向かって、世界の労働者階級は団結して闘う時だ。
 帝国主義世界戦争の最も残酷な結末を体験したヒロシマ・ナガサキの地からこのことを全世界の労働者階級に訴えて立ち上がる時だ。だがこの決定的瞬間に、日共、連合中央を始めとする全体制内勢力は帝国主義に呼応して、原水禁運動をオバマ翼賛運動と北朝鮮への排外主義で制圧し、内部から完全に解体しようとしているのだ。
 何よりも許しがたいのは、オバマ翼賛の先頭に立っている日共だ。委員長の志位は、オバマに書簡を送り、返事が来たと有頂天になっている。
 帝国主義国で「唯一」生き残ったスターリン主義である日共は、大恐慌と戦争の時代における最悪の反革命として登場することを決断したのだ。
 志位のオバマへの書簡は以下のように締めくくられている。「この書簡が、あなたの発言を歓迎する立場から、その発言の精神が世界政治で生きた力を発揮することを願ってのものであることを重ねて表明し、日米両国間の友好と友情が発展することを心から希望して、結びとします」
 世界最大の核大国の権力者で、イラクやアフガニスタンで爆弾の雨を降らせている張本人のオバマを「平和のリーダー」と称賛し、握手を求める日本共産党! 労働者階級の団結の代わりに米日の帝国主義同士の「友好と友情」の発展を期待する日本共産党!
 大恐慌と戦争に立ち向かい、帝国主義打倒のプロレタリア革命に立つべき時に、日共はオバマと手を組み、労働者階級を背後から襲撃しようとしているのだ。ルーズベルト支持を掲げて労働者の決起を圧殺し、第2次大戦に全面協力していったアメリカ共産党とまったく同じ姿がそこにある。
 端的に言ってオバマのプラハ演説とは、日共のような「反応」を労働者階級の中から引き出すことにあったのだ。核と戦争に対する怒りと闘いを「オバマ万歳」にすりかえ、米帝の核独占と新たな侵略戦争・世界戦争に賛成させ、協力させる——これこそがプラハ演説の狙いだったのだ。
 この反動的目的を全面的に貫徹しようとしているのが日共だ。日共の反革命的正体を徹底的に暴き尽くし、労働運動・労働組合から一掃しよう。

 4大産別めぐる大決戦

 「戦後最大、最長の反戦闘争」(新版『甦る労働組合』中野洋著)である原水禁運動・反核闘争の絶滅攻撃は、すなわち戦後日本労働運動の解体攻撃そのものである。その核心は、中軸を担ってきた自治労・日教組を始めとする4大産別の解体にある。
 戦後日本の労働運動は「ヒロシマ・ナガサキ」に行き着いた第2次帝国主義世界戦争の敗戦という現実から出発した。「二度と戦争を許してはならない」「ヒロシマ・ナガサキをくり返すな」という反戦反核意識は、戦後の日本労働者階級の階級意識を形成する大きな契機となってきた。戦後60年以上、日本の支配階級は、この意識を突き崩せないまま来たのである。
 それは、国鉄分割・民営化−総評解散から20年たっても中曽根が思い描いた改憲プランを阻止し続けている。教育基本法が改悪されても日教組は「教え子を再び戦場に送るな」をおろさず(おろせず)、「日の丸・君が代」不起立を貫く教育労働者が頑として存在する。自治労は依然として原水禁運動や反基地闘争の基軸的部隊だ。かつて戦争動員の中心を担った4大産別の労働者が、戦争・改憲を阻む闘いの中心であり続けているのだ。
 日帝を、戦争もできない、核も持てない帝国主義として「最弱の環」たらしめてきたのは、まぎれもなく日帝の支配機構の中に「獅子身中の虫」として存在してきた4大産別を中心とする労働者階級の闘いだ。4大産別の労働組合を解体し尽くし、戦争の先兵に仕立て上げなければ戦争はできない。
 4大産別解体の攻撃として道州制・民営化攻撃があり、それと一体で広島・長崎闘争の解体攻撃がある。道州制・民営化攻撃は国鉄分割・民営化攻撃の全社会化であり、360万人首切りの恫喝で自治労、日教組をガタガタに揺さぶり、労働組合的団結を解体し尽くす攻撃である。そしてその過程で体制内指導部を完全な帝国主義の手先として、労働者を資本・国家の奴隷にしていくものだ。そうして労働者を積極的に侵略戦争を担う存在にしてしまうのだ。
 道州制攻撃は、自民党支配の崩壊の情勢下で、反革命的現状打破の唯一の切り札として一気に全面化している。衆院選過程とも重なった8・6—8・9闘争は、道州制決戦そのものだ。
 「労働運動と反戦闘争は完全に一体のものである」(新版『甦る労働組合』)は今こそ真理である。国鉄1047名解雇撤回闘争、道州制粉砕・民営化阻止を貫いて闘う動労千葉派が4大産別の組合・職場に屹立(きつりつ)し、階級的怒りの結集軸となって、組合権力を握ろう。これこそが帝国主義の侵略と戦争を止めるのだ。
 さらに法政大での暴処法弾圧をめぐる攻防である。京都学連事件と全国大学の反動的制圧が日本階級闘争の暴力的圧殺とヒロシマ・ナガサキにまで至る突破口となった。暴処法による法大学生弾圧は最大の戦争・改憲攻撃だ。法大暴処法弾圧粉砕を8月反戦反核闘争の核心に据えなければならない。

 国際連帯と青年の決起

 核と戦争をなくす力は、帝国主義を打倒する世界の労働者の闘い、階級的国際的団結にある。「核抑止力」は究極の労働者階級分断攻撃だ。労働者階級には、たがいを核の標的にする理由などない。ブルジョアジーとその手先たちは、労働者階級をありとあらゆるペテンを使って排外主義・祖国防衛主義にからめとり「戦争やむなし」「核やむなし」の方向へもっていく。そうしてブルジョアジーの利益のための戦争に労働者を動員していくのだ。
 最大の核心は「内への階級戦争」と「外への侵略戦争」の一体性を徹底的に暴き、労働者階級の真の階級的利益であるブルジョアジーの打倒、搾取と階級の廃止に向かって、階級的団結をつくっていくことにある。「労働者に祖国はない」というマルクス主義の原点に立って国際連帯を形成していくことだ。その基礎は、職場で資本とその手先の体制内指導部と非和解で闘い、その闘いをとおして階級的団結をつくりあげていくことである。
 大恐慌と戦争の時代の今こそ広島・長崎闘争を帝国主義の侵略戦争、核戦争を阻止する国際反戦闘争としてよみがえらせよう。それは11月労働者集会で形成してきた日米韓の動労千葉派、ランク&ファイルを中心とする国際連帯を発展させる闘いである。
 「2009国際反戦共同声明」を発し、7月サンフランシスコ国際労働者会議に結集した日米韓の闘う労働組合の階級的団結こそ、帝国主義強盗同盟としての日米安保をうち砕き、北朝鮮侵略戦争を阻止し、アジア・中東—全世界で帝国主義戦争と核戦争を阻止する最大の力だ。
 ILWU(米国際港湾倉庫労働組合)は1946年、「アメリカは中国から手を引け」「原爆反対」を訴えてストライキで闘った歴史を持つ。昨年のメーデーではイラクの港湾・石油労働者との連帯ストを実現した。UTLA(ロサンゼルス統一教組)は教育の民営化と軍事化に反対し、大量解雇攻撃に逮捕も辞さぬ実力決起で闘っている。ソウル本部を先頭とする韓国の民主労総は、イミョンバク政権の組合破壊攻撃と対北朝鮮の戦争政策と激しく対決して決起している。
 今夏8月広島・長崎闘争は、日米韓の階級的労働運動の国際的団結をさらに発展させ、核をなくし、帝国主義戦争を止める世界革命の具体的展望をたぐりよせていく闘いだ。

 塩川一派や旧与田派の策動を打ち砕こう

 対照的なのが、革命情勢の到来を前にして反革共同・反動労千葉の反マルクス主義転向集団と化した旧与田残党と塩川一派である。彼らが党派性も路線性も解体して準備する「8・6」には、大恐慌情勢もなければ、オバマや麻生と対決する中身もゼロである。
 「であう、わかる、つくる 8・6ヒロシマ」「ヒロシマ平和の夕べ」——これが旧与田残党と塩川一派、そしてとうの昔に革共同から脱落した連中らの野合による集会の正式名称だ。彼らは今や正真正銘の改憲政党である鳩山民主党の政権奪取を願望する運動に合流し、これを「広大な統一戦線」などと言っている。これが労働者階級に対する絶望の思想である血債主義・糾弾主義のなれの果てだ。
 日共スターリン主義から塩川一派にいたる一切の体制内勢力との党派闘争を非妥協的に貫き、8月反戦反核闘争を「戦争・改憲と民営化・労組破壊」攻撃をうち破る4大産別決戦として闘いとろう。世界の労働者へ「オバマ打倒! 帝国主義打倒! 労働者階級の国際的団結で、核をなくせ! 戦争をとめよう!」と呼びかけよう。
 広島・長崎に青年労働者・学生の大結集をかちとり、マル青労同・マル学同1000人建設を圧倒的に前進させよう。8・6−8・9闘争は、青年労働者と学生を、帝国主義が獲得するのか、革命が獲得するのかの決戦だ。
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全世界の労働者・民衆の団結で、核をなくせ! 戦争・改憲をとめよう!
被曝64周年8・6ヒロシマ大行動
8月6日(木)12時30分 15時デモ出発
広島県立総合体育館小アリーナ

〈関連行事〉
 ◎産別交流会・学生集会
   5日午後/東区民文化センター
 ◎青年労働者交流集会
   5日午後6時/東区民文化センター
 ◎祈念式典弾劾—麻生来広弾劾デモ
   6日(木)午前7時
  主催 8・6ヒロシマ大行動実行委員会

労働者の国際連帯で核を廃絶しよう!
長崎反戦反核集会
 8月8日(土)午後6時
 長崎県勤労福祉会館
 主催 8・6広島—8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会

長崎原爆朝鮮人犠牲者追悼早朝集会
 8月9日(日)午前7時30分
 爆心地公園の原爆朝鮮人犠牲者追悼碑
  主催 長崎朝鮮人の人権を守る会

平和式典会場、爆心地に向けたデモ
 8月9日(日)午前10時
 城栄公園(路面電車・大橋下車)
 主催 8・6広島—8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会