2009年7月 6日

オバマ翼賛・大企業擁護 日本共産党8中総を批判する

週刊『前進』08頁(2398号7面1)(2009/07/06)

「資本主義の防波堤」を自認
 オバマ翼賛・大企業擁護で「政権担当能力」売り込む
 日本共産党8中総を批判する

 日本共産党は6月4、5の両日、24回大会第8回中央委員会総会(8中総)を開いた。都議選、総選挙を前に、オバマへの書簡や日本経団連との会談などを自賛し、「現実政治を動かす党」とか、「政権を担う党への成長」をうたって、党員を奮起させようとしている。だが、それは、帝国主義の末期的危機の中で、資本主義の防波堤となって生き残ろうとするものであり、日共スターリン主義の底なしの反革命化を刻印するものである。

 資本主義のルール説き労働者を抑圧

 日本共産党委員長の志位和夫は、8中総の幹部会報告で、総選挙にあたって、日本の進路を示す「二つの旗印」を掲げて臨むとしている。
 「第一は、国民の生活と権利を守る『ルールある経済社会』を築く。そのために異常な財界・大企業中心の政治を転換すること」
 「第二は、憲法9条を生かし、世界とアジアの平和に貢献する『自主・自立の平和外交』に転換する。そのために異常な『軍事同盟絶対』の政治から脱却すること」
 日本共産党は、そもそも今日の世界大恐慌の情勢について、「経済危機から国民の暮らしをどうやって守るか」という問題の立て方しかできない。それは、資本主義がよりよい政策を出せば立て直し可能であり、労働者はそのために協力しようというものでしかない。「資本主義の枠内での民主的改革」は、今や文字どおり資本主義体制を守るスローガンになっているのだ。
 志位は、「ルールある経済社会」をつくるために、「大企業の横暴勝手を抑え、その社会的力にふさわしい責任と負担を求める」と言っている。
 そして、昨年秋から、日本経団連、トヨタ、いすゞなどの幹部と志位が直接会談をやり、「雇用に対する大企業の社会的責任を果たすことを求めた」ことを大々的な成果として押し出している。
 志位は、「私たちの立場は『大企業打倒』でも『大企業敵視』でもありません」とし、「日本経済の健全な発展を促すとともに、企業の発展にもつながる道」を提起すると言っている。そして、この行動に「少なくない経済界の人々から共感の声」が寄せられていると言って感激している。
 重要なことは、この大企業との直接会談について、「わが党が政権を担う党へと力量を高めていくプロセスとしても意義ある取り組み」と位置づけていることだ。「経済界の人々」=ブルジョアジーに認められていく度合いに応じて政権に近づくと言っているのだ。
 何よりも重大なことは、日共は、労働者の職場闘争、労働組合の力、階級的な団結によって、資本家階級と対決し、その攻撃を打ち破るというように絶対に考えないということだ。
 志位が大企業の労働者と懇談する場合も、志位が会社幹部と会談するための材料を仕入れる「事情聴取」のようなもので、「現行法を厳しく守らせる」とか「人間らしい労働のルールをつくる」というのは、日共の国会議員に委ねられるのだ。現場の労働者にはもっぱら「労働局に派遣労働者の違法解雇の是正を求める申告運動」に取り組むことが説かれる。
 資本主義は終わりだ、資本主義の枠内では生きられない、と誰もが感じている時に、「資本主義の枠内」をわざわざ強調して、労働者に賃金奴隷としての現状に甘んじることを強要する。
 日共は何かと言うとルール、ルールと言うが、この世に超階級的なルールなどない。資本主義のルールは、支配階級=ブルジョアジーの独裁のルール以外の何ものでもない。賃金奴隷の鎖に縛り付けるルールだ。この鉄鎖を打ち破らなければ生きていけないことがいよいよはっきりしてきている時に、日共はルール=鉄鎖を強めよと言っているのだ。まさに日共はブルジョア支配を守るための「防波堤」になると言っているのである。
 「支配階級よ、共産主義革命の前に震え上がるがよい! プロレタリアはこの革命において鉄鎖以外に失うものは何もない。プロレタリアが獲得すべきは全世界である」(『共産党宣言』)。今やこのことを宣言するのが本来の「共産党」の役割ではないのか。
 大恐慌はまさに日本共産党の「資本主義の枠内の改革」という路線の綱領的破産を示すと同時に、その反革命性を浮き彫りにしているのだ。

 米帝オバマを称賛侵略戦争の先兵に

 日共が「第二の旗印」としている「自主・自立の平和外交」について。志位は報告の中で「私たちは『反米主義』ではけっしてありません」と断り、「アメリカの前向きの変化」と称して米帝を擁護している。
 米帝オバマの4・5プラハ演説を絶賛する書簡を志位が送り、それに対する米政府からの返書が来たことが最大限にうたい上げられている。
 そもそもオバマ演説を「核兵器のない世界への一歩」と評価すること自体がとんでもない錯誤である。オバマは、米帝国主義の頭目として、核兵器を独占し続ける、拡散させない、核を持とうとする国や「テロリスト」があれば断固たる行動に出る、と言っているのであり、この演説自体が北朝鮮やイランに対して発せられた侵略戦争宣言そのものなのだ。またそれは日帝に対する核武装阻止のシグナルでもある。
 日共・志位は、このオバマ演説を絶賛することで、完全に帝国主義の側に身を移してしまった。
 これは日共が04年1月の23回大会での綱領全面改定で「独占資本主義国=帝国主義国」とは言えないという「解釈」を打ち出したこと、帝国主義の概念を完全に解体したことを根拠としている。
 そして米帝に対するこのすり寄り行動をもって、「私たちが政権を担う党へと成長していく上で、初歩的だが意義ある一歩」と自慢しているのだ。先の大企業に対する態度で「政権担当能力」に言及したように、米帝に認められたことが、政権に近づく決定的な指標になっているのだ。
 かつての綱領では、「アメリカ帝国主義と日本の独占資本主義の支配——二つの敵に反対する新しい民主主義革命」となっていた(これ自体はスターリン主義的な二段階戦略であり、プロレタリア革命=共産主義革命への敵対だ)。今や日共にとって、米帝と大企業は敵どころか、交渉や取引や会談の相手になってしまった。何という転落ぶりであろうか。
 オバマのプラハ演説は、現実には北朝鮮の核実験を餌食として北朝鮮侵略戦争に踏み込むものだ。だが、日共はプラハ演説絶賛と同時に、攻撃の矛先を北朝鮮に向け、北朝鮮の核開発は平和の流れに対する「重大な逆流」だと非難している。
 そして、北朝鮮に対する国連安保理決議にもろ手をあげて賛成した。さらに、日帝の北朝鮮制裁の国会決議についても全面賛成した。つまり、挙国一致の対北朝鮮排外主義に加わっているのだ。
 国連決議に対する日共のスタンスは「国際社会の一致した対応が必要」というものだ。驚くべきことに、日共にとっては、国連という形で「国際社会」という超階級的な共同体が形成されていて、それに刃向かう「異端者」として北朝鮮があるということなのだ。
 日共は労働者の国際連帯の側にではなく、国際帝国主義の側に立つと言っているのである。
 われわれは北朝鮮の核開発を反人民的反革命的なものとして弾劾する。しかしそれは、金正日スターリン主義が韓国を始め帝国主義と闘う労働者階級の国際的団結に敵対しているからであって、帝国主義と正反対の立場からの弾劾である。「国際社会の一致した対応」などは、帝国主義の戦争政策への加担以外の何ものでもない。
 「核の傘」と称する圧倒的な核軍事力のもとに軍事重圧を加えているのは帝国主義の側である。戦争放火者は米帝オバマだ。日共はそれをすべて免罪して米・日帝国主義の北朝鮮侵略戦争を支持し翼賛しているのだ。

 日共の3大裏切り粉砕し前進しよう

 日共は、このような反階級的・反革命的立場をこれまで以上に鮮明にした。それは闘いの現場ではもっと露骨に現れる。
 日共は労働現場では徹底的な闘争圧殺者であり、団結破壊者だ。それは「資本主義の枠内での改革」の路線に規定されている。階級的原則を貫く労働者を権力に売り渡す、その典型が国労5・27臨大闘争弾圧だ。国鉄1047名闘争では、日共は4者4団体の一勢力として動労千葉排除を最も強硬に主張している。そして、「解雇撤回」を投げ捨て「政治解決」路線を突っ走っている。
 さらに「裁判を国民のものに」と称して、統治行為に労働者人民を動員する現代の徴兵制=裁判員制度を推進してきたのも日共だ。最高裁・法務省の手先となって改憲攻撃に協力しているのだ。
 日共にとって一切の実践的結論は都議選、総選挙で議席を増やすことだ。これまでの長期低落の流れを止め、逆に上向きに転じなかったら、その先がないような土壇場なのである。
 彼らは総選挙の争点について、「(自民党か民主党か)どちらが政権の担い手になるかの選択ではない」と力説する。だがこれは、10年前に「よりまし政権への参加」と言って民主党中心の政権に入る願望を語っていたのが完全に破産したことを自己暴露するものだ。
 日共は、「2大政党」や「政権交代」の蚊帳の外に出されて、議会主義政党として存亡の危機にある。ここから議会主義的に一層純化し、帝国主義にすり寄ることで、「政権担当能力」を売り込んでいるのだ。それは労働者階級に対する敵対であり、襲撃である。
 7月闘争から11月労働者集会へ、日共反革命の3大裏切りを暴き、これを打ち破り、青年労働者を圧倒的に組織しよう。国鉄決戦を基軸に4大産別決戦に勝利しよう。
 第一に、4者4団体の策動を打ち破り、国鉄1047名解雇撤回闘争を貫こう。国労5・27臨大闘争弾圧裁判の7・17最終弁論の日の一日行動は、国鉄1047名闘争の責任勢力として登場する闘いでもある。
 第二に、裁判員制度に対する全人民的な怒りと拒否の中で追いつめられ、悪あがきする日共をさらに追いつめよう。
 第三に、8月原水禁運動を「オバマ万歳運動」にまで転落させようとする日共と連合の策動を打ち破って8・6広島、8・9長崎の反戦・反核闘争をかちとろう。
 日共反革命を打倒し革共同に結集しよう。
 (高田隆志)
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 8中総・志位報告のポイント

●「大企業打倒」でも「大企業敵視」でもありません
●「反米主義」ではけっしてありません
●財界・大企業、アメリカへの働きかけ——主張とともに行動で現実政治を動かす党
●(財界やアメリカへの働きかけは)わが党が政権を担う党へ力量を高めていくプロセスとして意義ある取り組み