2009年9月21日

泉佐野市丸ごと民営化 病院は独法化、市職員は半分

週刊『前進』06頁(2408号3面4)(2009/09/21)

泉佐野市丸ごと民営化
 橋下の道州制攻撃粉砕へ
 空港優先で財政が破綻
 早期財政健全化計画 病院は独法化、市職員は半分

 大恐慌情勢のもと、道州制攻撃を迎え撃つ闘いの絶好のチャンスを迎えた。夕張市に次ぐ790億円もの借金を抱え「早期財政健全化団体」となることが確定した大阪府泉佐野市で激しい道州制攻撃が具体化してきた。革共同泉州地区委員会は、市職員200人削減、市立病院の独立行政法人化、自治体丸ごと民営化の道州制攻撃と絶対反対で対決する労働者の総決起を実現するために、地区党の総力で闘うことを決意し、闘いを開始している。

 200人を削減

 泉佐野市当局は9月1日、「早期財政健全化計画」素案を出した。最大の柱が20年間で市職員200人削減(現在752人)と市立病院の独法化—民営化計画だ。
 200人とは4人に1人の割合だ(病院や下水道部局を除く)。人件費抑制として200億円を削減するために非正規職化、手当のカット、保育所など民営化できるものはすべて民営化するなど、考えられるすべてのことを出してきた。泉佐野市では「財政非常事態宣言」を発した2000年からすでに200人の職員を削減し非正規職に置き換えてきた。1996年には1017人いた職員を550人にまで減らすというのだ。「半分の人数で倍働け」という道州制攻撃そのものだ。
 泉佐野市の財政破綻の原因は空港優先市政だ。
「空港のために市がつぶされる」のだ。空港のための病院、りんくうタウン埋め立てで必要になった雨水下水道、空港引き込み線のための南海連続立体交差事業、空港税収を当てにした文化会館などに巨額の先行投資をしてきた。資本家にもうけさせる事業をさんざんやって、借金を労働者と市民に押し付ける新自由主義の破綻そのものだ。

 早晩全国化する

 09年から本格施行された「地方自治体財政健全化法」は、夕張市のように財政破綻する前の段階で、自治体に首切り・民営化をどんどんやらせるためのものだ。今回関西で早期健全化団体となるのは2市2町だが、この攻撃は早晩全国化する。
 素案では他にも図書館などへの指定管理者制度導入や業務委託化、再任用・非常勤職員の活用で14億円、遊休用地の処分として54億円を計上している。ため池、里道、水路だけでなく、小学校まで売却を計画していることがわかった。「用地売却後、建設される建物等の固定資産税の収入増が見込まれる」と学校まで売却して資本をもうけさせようというのだ。
 怒りなしには読めない。同時に、絶対反対で闘う労働組合・労働運動があれば粉砕できると闘志と確信がわいてくる。

 4公立病院統合

 市立病院独法化計画は、橋下大阪府知事の道州制攻撃そのものだ。空港病院を残すために4公立病院を統合するのだ。
 橋下は、自公政権が補正予算にのせた「地域医療再生基金事業」3100億円の成立を見て、6月に突然、泉佐野・貝塚・阪南の3市立病院と府立救命救急センターを経営統合し、ひとつの独立行政法人にする計画を出してきた。9月1日には府医療対策協を開催し、民主党政権下での予算獲得と4病院統合の前倒しを追求している。
 阪南市は「病床全廃、廃院もありうる」と危機感が高まり、府に反対の意見書を提出した。国の「公立病院改革ガイドライン」に沿って病院統廃合、病床削減、ネットワーク化を進めようとしているのだ。4病院で1000人を超える労働者を首切り・非公務員化し百床以上を削減しようとしている。
 泉佐野だけで600人を超える労働者全員を非公務員化し首切りする道州制の大攻撃だ。2年後には独立行政法人化し市の財政から切り離そうとしている。現在、独法化立案の業者を選定し、12月市議会で独法化のための定款を通そうとしている。
 公立病院の独法化は何をもたらすか。06年に独法化した大阪府立病院機構では、人件費は年間1・5億円も減らされ、手術が4倍化、深夜残業が当たり前となった。看護師離職率が倍になり、低賃金の法人職員にどんどん置き換えている。また人件費削減のため外部委託が増え、重大事故寸前の事態が頻発している。これは激しい労働組合つぶしの攻撃だ。絶対反対で闘う以外に労働者に未来はない。

 泉州で反撃開始

 泉州地区委員会は猛然と闘いを開始している。病院、市役所、街頭で宣伝をガンガン始めている。われわれの絶対反対の宣伝に、病院労働者や住民が共感を寄せ始めている。打撃を受けた市長はあわてて7月13日、病院労働者を集め文書を配布した。そこには「反対の宣伝に惑わされるな」「しんどくても辞めるといわず使命感を持って働け」と書いてある。病院労働者は圧倒的に民営化反対ということだ。
 市財政健全化計画と南泉州4病院統合—民営化計画は、労働者・労働組合が団結し絶対反対で闘えば必ず粉砕できる。
 道州制粉砕、民営化阻止を闘えるのは、動労千葉派だけだ。現場労働者には激しい怒りがあるが、自治労も自治労連も闘いをまったく組織せず、屈服・敗北を強制している。自治労連は、資本・当局と同じ「経営改善」の立場に立って独法化に根本的に屈服している。資本主義の危機の救済者、連合・全労連は資本家と同じ首切り・賃下げの推進者=労働者の敵だ。
 泉州地区委員会は、自治労・自治労連執行部を打倒し、道州制攻撃と絶対反対で闘う現場労働者の闘いをつくり出す決意だ。11月1万人決起こそ勝利の道だ。国鉄1047名闘争勝利—道州制・民営化絶対反対の階級的団結をつくり出そう。
 〔革共同泉州地区委員会〕