2009年10月15日

綱領草案 革命的共産主義者同盟全国委員会

週刊『前進』08頁(2410号4面1)(2009/10/15)

綱領草案 革命的共産主義者同盟全国委員会

 わが党の目的

 (一)

 労働者階級(プロレタリアート)の解放は、労働者自身の事業である。この解放は、資本主義社会の全面的な転覆によって達成される。そして労働者階級の階級的解放は同時に、階級社会のもとでのあらゆる抑圧・差別からの人間の解放、すなわち普遍的な人間解放である。
労働者階級は、生産の担い手であり、社会の真の主人公でありながら、資本主義のもとでは一切の生産手段・生活手段を奪われて資本の賃金奴隷となる以外に生きることができない。そこでは、人間の根源的な活動である労働は資本の自己増殖の手段となり、労働者は人間ではなく労働力商品として扱われている。プロレタリア革命とは、労働者階級が資本家階級(ブルジョアジー)の支配を打ち倒し、ブルジョア国家権力を粉砕してプロレタリア独裁を樹立し、資本家階級の私有財産としてある社会的生産手段のすべてを団結した労働者のもとに奪い返して、自らの手で全社会を再組織することにほかならない。それは賃労働と資本の関係を廃止すると同時に、一階級による他階級への抑圧と搾取そのものを終わらせ、社会の諸階級への分裂をなくし、本来の共同性を人間の手に奪い返すものとなる。
われわれ革命的共産主義者同盟の目的はただひとつ、この労働者階級自己解放の闘いの全面的な貫徹とその完全な勝利にある。すなわち、資本主義・帝国主義の完全打倒=プロレタリア世界革命の完遂と階級社会の廃止、真の人間的な共同社会=共産主義社会の建設である。

 (二)

 この革命は、現代においては反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命としてのみかちとられる。
レーニンが規定したように、帝国主義は資本主義の最高の発展段階であるが、そのもとでは資本主義の矛盾は著しく激化し、帝国主義戦争と大恐慌の爆発はともに不可避である。帝国主義の時代はプロレタリア社会主義革命の時代そのものである。
1917年のロシア革命は帝国主義打倒のプロレタリア世界革命の突破口を切り開き、現代世界は資本主義から社会主義への世界史的過渡期に突入した。だが一国社会主義論をもってマルクス主義・レーニン主義を破壊し、ロシア革命を変質させたスターリン主義は、国際労働者階級の世界革命完遂への闘いを裏切り、圧殺して、逆に帝国主義の世界支配の補完物となり、帝国主義の延命を支える巨大な反革命へと転落した。このスターリン主義は、旧ソ連・東欧の崩壊をもってすでに歴史的に破産したが、完全に打倒されたわけではない。中国は今日、アクロバット的な資本主義化政策によって経済大国化しているが、その本質は反プロレタリア的な残存スターリン主義そのものである。さらに、スターリン主義による社会主義・共産主義の歪曲、とりわけマルクス主義の核心である労働者自己解放の思想の否定と解体は、今日なお世界の階級闘争に害毒を流し続けている。プロレタリア革命を完遂するためには、帝国主義の打倒とともに、スターリン主義を完全打倒する第二の革命をやりぬいて、真のマルクス主義を労働者階級の手に全面的に奪い返して闘うことが不可欠である。

 (三)

 この目的を実現するために、プロレタリアートは、自らを独自の政党(革命的労働者党)に組織して闘うことを必要とする。プロレタリア革命は、階級対立の中から自然に成長して実現されるものではなく、自らの歴史的使命を自覚したプロレタリアートによるブルジョアジーの打倒・労働者階級の政治権力樹立という、目的意識的な闘いをとおして初めて達成される。
われわれはさらに、資本の支配を全世界的に覆すための労働者階級の国際的な軍勢の一員となって闘う。そして帝国主義各国および全世界の闘う労働者との階級的連帯と団結のもとで、まずは自国のブルジョアジーを打倒するために全力を挙げて闘う。

 革命情勢の成熟

 (四)

 プロレタリア世界革命を実現する歴史的条件はすでに圧倒的に成熟している。今日の世界大恐慌の爆発は、労働者階級が総蜂起して、最末期の危機にのたうつ資本主義・帝国主義を最終的に打ち倒す時が完全に来ていることを示している。
ロシア革命後、1929年大恐慌から第2次大戦を経て21世紀の今日に至る歴史は、危機を深める帝国主義が、スターリン主義の裏切りに助けられることで労働者階級の相次ぐ革命的決起を圧殺し、延命に延命を重ねてきた歴史である。だがそれは、資本主義・帝国主義の危機と腐敗をさらに極限まで推し進めるものであった。とりわけ労働者階級の怒りを体制の内側に改良主義的に吸収することによって資本の支配を維持しようとしてきた戦後の国家独占資本主義政策は、その矛盾と破綻を1974〜75年恐慌として爆発させた。1980年代に本格化する新自由主義政策は、この帝国主義が行き着いた最後のあがきであった。それは資本のむきだしの弱肉強食の論理で全社会を覆いつくし、労働者階級への無制限の搾取の上に経済のバブル化・投機化を大々的に推進し、民営化による公教育や医療などの解体によって社会全体を荒廃と崩壊のふちに叩き込んだ。そして、一握りの帝国主義ブルジョアジーが他の一切の人民を犠牲にして莫大な富を手中にする状態をつくりだしてきた。
今日の世界大恐慌は、その新自由主義の全面破産の結果であり、過去1世紀にわたって積み重ねられた全矛盾の爆発である。新たな延命の道などもはやない。今や大恐慌をプロレタリア革命に転化することだけが、大失業と戦争(核戦争を含む)の破局を阻み、労働者階級はもとより全人類を破滅への行進から救い出す唯一の道である。全世界に巻き起こる労働者や農民の「生きさせろ!」の叫びを、今こそ現実の革命に転化する時だ。

 (五)

 一切のかぎは、資本の支配のもとで徹底した分断と競争にさらされている労働者が、この分断を打ち破って階級としてひとつに団結して立ち上がることにある。この団結の発展の中に、奪われてきた人間本来の共同性が生き生きとよみがえってくる。これこそが労働者階級のもつ本当の力である。社会を変革する真の力はここにある。
今日の資本主義・帝国主義は、資本のはてしない増殖運動の結果として、巨大な生産力とともに、資本主義の墓掘り人であるプロレタリアートを全世界に膨大に生み出している。万国の労働者が団結して決起するなら、資本主義社会を転覆して共産主義社会の建設に直ちに着手する諸条件はすでに完全に成熟しているのだ。

 革命の核心問題

 (六)

 プロレタリア革命をやりぬくためには、労働者階級はまず、ブルジョアジーの手から政治権力を奪取して、自らを支配階級に高める必要がある。プロレタリア革命は本質的に暴力革命である。ブルジョア独裁の国家権力を打倒して労働者階級が打ち立てる新しい国家は、プロレタリアートの独裁である。
プロレタリア独裁の樹立は、ブルジョアジーの抵抗を完全に打ち破るために必要であるだけではない。労働者階級がこの革命をとおして旧社会の汚物を一掃し、階級社会を廃止し、共産主義社会を建設する能力を実際に獲得していくためにこそ必要である。
したがってそれは、ブルジョア国家の特徴である巨大な軍事的・官僚的国家機構を暴力的に破壊・解体し、それを全人民の武装を始めとした全く別のもの(コミューン型国家、自らの死滅を準備する国家)に置き換えていくところから出発する。労働者階級はそのもとで、自分たち自身を一人残らずプロレタリア独裁権力の直接の担い手へと高め、生産を再組織し、社会の全問題を団結して解決していく力を身につけていく。さらに農民を始めすべての勤労人民をも労働者国家の共同の担い手として獲得し、組織して、諸民族の対立をなくし、都市と農村の対立をも究極的に止揚し、差別も抑圧もない社会を現実につくりだすために闘うのだ。
これこそ、労働者階級が、1871年のパリ・コミューンの経験、1905年や1917年のロシア革命におけるソビエト(労働者・農民・兵士代表評議会)樹立の経験をとおして、歴史的につかみとってきた共産主義社会実現への道である。

 (七)

 革命の勝利にとって決定的なのは、労働者階級の党の建設である。マルクス主義を歪曲したスターリン主義は、党を、現実の労働者階級の外部に、階級の上に立つ特別の集団として位置づけてきた。だが『共産党宣言』も言うように、プロレタリアートの党は、労働者階級全体の利益から切り離された利益をもたない。また特別の原則を立てて、その型に労働者階級の現実の運動をはめ込もうとするものではない。労働者階級はその闘いをとおして、自らの力で党をつくりだす。党とは、労働者階級の権力樹立とそれをとおした共産主義の実現を直接に目指す共産主義者の政治的結集体である。したがって党は、労働者階級の一部であり、その階級意識を最も鋭く体現する最高の団結形態であり、最も鍛え抜かれた階級の前衛である。
この党建設は、資本との絶対非和解を貫く労働者階級の階級的団結の形成を一切の軸にすえて闘う中でこそかちとられる。現代においては、何よりも、闘う労働組合をよみがえらせることと一体で形成・確立されるものである。
労働者階級は党をつくりだすことで、自らを一個の政治勢力として登場させる。党は階級闘争の先頭に立ち、その中でつねに労働者階級の部分ではなく全体の利害を代表し、運動の現在だけでなく未来を体現し、社会革命の諸条件とプロレタリアートの歴史的使命を全階級の前に正面から提起して闘う。労働者階級はこの党を中心にすえて、資本家階級とその国家権力によって加えられるあらゆる圧殺攻撃を打ち破り、労働組合を基礎とした階級全体の団結を強化し発展させ、権力奪取のための一斉武装蜂起に向かって、その勝利に必要な一切を意識的・計画的に準備していくのである。この党はしたがって、本質的に非合法・非公然の党として、同時にマルクス主義の党、世界単一の労働者階級の党として建設される。

 (八)

 こうした党を建設し、労働者階級の革命的な階級形成をかちとっていく上で最も重要なことは、労働組合の存在と役割である。労働組合の革命的役割を復権することこそ、マルクス主義をよみがえらせる闘いの核心である。
労働組合は、労働者が団結して資本と闘う武器であり、労働者階級の最も基礎的な団結形態である。第1インターナショナルの決議「労働組合、その過去・現在・未来」は、「労働組合は、資本と労働のあいだのゲリラ戦のために必要なのであるが、賃労働制度そのものと資本の支配を廃止するための組織された力としてより一層重要である」と提起した。すなわち、労働組合は、党の闘いを媒介として、職場生産点における資本との日常的な闘いをとおして個々の労働者を階級として団結させ、革命の主体として打ち鍛える「社会主義の学校」(マルクス)である。そしてその団結の力をもって、職場の支配権を資本家階級の手から実力で奪い取り、社会的生産を支配していく力を獲得する。この労働者階級による職場生産点の支配とその全社会的な拡大こそ、ブルジョア国家権力の打倒=プロレタリア革命の勝利を保障する決定的条件である。
さらに労働組合は、プロレタリア独裁を支える〈党・労働組合・ソビエト>という三つの柱の戦略的一環を形成し、全労働者にとっての「共産主義の学校」(レーニン)となり、階級対立の廃止と共産主義社会建設への前進を切り開いていく土台となる。
帝国主義とスターリン主義のもとではしかし、資本に飼いならされた労働貴族や体制内改良主義の支配のもとで、労働組合の革命的役割は否定され、組合は逆に資本の労働者支配を支える一手段に変質させられてきた。この現実を現場労働者の決起をもって打ち破り、その本来の姿を圧倒的によみがえらせることが今こそ求められている。

 21世紀革命の課題

 (九)

 今日、全世界の労働者に求められているのは、大恐慌と戦争への対決である。その最大の焦点は、労働組合と労働運動をめぐる革命と反革命との激突にある。
大恐慌の爆発は、帝国主義戦争を不可避とする。この戦争は、労働者の階級的団結が徹底的に破壊され、労働組合が資本家階級の行う戦争に率先協力する機関に変質させられることによって可能になる。これが第1次大戦と第2次大戦の歴史的教訓である。今まさに全世界で、帝国主義の戦争と民営化・労組破壊攻撃に対して絶対非和解で闘うのか、これに屈服するのかという形で、労働組合と労働運動の進むべき道をめぐる一大分岐と激突が始まっている。それは同時に、プロレタリア革命に恐怖して登場してくるあらゆる反革命勢力、ファシスト勢力との激突である。ここで労働者階級が屈服せずに断固として闘いぬくならば、闘う労働組合と階級的労働運動を全世界的規模でよみがえらせ、労働者階級による権力奪取への道を直接にこじ開けるものとなる。

 (一〇)

 この闘いは同時に、帝国主義とスターリン主義のもとで抑圧民族と被抑圧民族に分断されてきた労働者階級が、プロレタリアートとしての国際的=階級的団結を回復していく闘いである。民族・国籍・国境を越えたプロレタリアートの階級的団結こそ、帝国主義による侵略戦争・世界戦争を実力で阻止し、プロレタリア世界革命を現実にたぐり寄せるものである。

 (一一)

 資本主義・帝国主義の打倒は今や、農民を始めとした勤労諸階級・諸階層の人民にとって、生き続けるためのきわめて切実な要求となっている。農業・農民問題の真の解決はプロレタリア革命に課せられた大きな課題であり、農民の革命的決起は、プロレタリアートの勝利を決するうえで決定的な位置をもっている。プロレタリア革命における労農同盟の巨大な意義を明確にして闘う。

 (一二)

 国際帝国主義の最弱の環は日本帝国主義である。
経済大国日帝の実体は米帝の世界支配によりかかった脆弱なものでしかない。日本の帝国主義としての最大の破綻点は、戦後憲法体制下の労働者支配の危機性と、安保・沖縄問題、すなわち日米安保同盟関係の矛盾と危機にある。世界大恐慌下でその矛盾と危機はいよいよ爆発点に達していく。これが生み出す巨大な情勢を日本革命の勝利に転化することは急務である。
今日すでに日本帝国主義は体制的危機に陥っている。そのため日帝は、帝国主義侵略戦争への体制を強化し、安保・沖縄攻撃、改憲攻撃、民営化と道州制、労組破壊の攻撃を強めてきている。しかし、日帝は今や財政破綻国家であり、その政治支配体制は崩壊的危機にひんしている。戦後革命期以来、最大の革命的情勢が到来したのである。今や一切は、帝国主義のもとで戦争・失業・搾取・収奪・病苦・虐殺の地獄の苦しみに突き落とされるのか、それともプロレタリア革命によって日本帝国主義打倒、日帝国家権力打倒を闘いとり、社会主義への道を切り開くのか——ここにかかっている。この戦争か革命かの帰趨は、すぐれて労働組合・労働運動をめぐる攻防での労働者階級の勝利にかかっている。
資本家的政治支配、階級支配が解体的動揺に陥る中で、天皇制は帝国主義ブルジョアジーの反革命的結集のシンボルとなる。労働者階級はプロレタリア革命の一環として、天皇制の一切の形態を粉砕し、根こそぎに一掃する。

 (一三)

 日本革命の勝利は、朝鮮半島の南北分断打破・革命的統一をめざす朝鮮プロレタリアートの闘いと連帯し、また中国スターリン主義打倒をめざす中国プロレタリアートの闘いと連帯してかちとられる。そしてこの勝利は、帝国主義の総本山であるアメリカ帝国主義の打倒へ向けたアメリカ労働者階級の歴史的決起と結合して、今日の大恐慌をプロレタリア世界革命の勝利に転化する突破口となる。

 (一四)

 われわれの基本精神は、マルクスとエンゲルスが『共産党宣言』の末尾に記した次の言葉にある。
「共産主義者は、自分たちの見解と意図を隠すことを軽蔑する。共産主義者は、自分たちの目的が、これまでの一切の社会秩序の暴力的転覆によってしか達成されえないことを、公然と宣言する。支配階級よ、共産主義革命のまえに震えあがるがよい! プロレタリアは、この革命において鉄鎖以外に失うものは何もない。プロレタリアが獲得すべきは全世界である。万国のプロレタリア、団結せよ!」 
2009年 秋