2009年10月26日

世界の闘う労組がやって来る

週刊『前進』06頁(2413号2面3)(2009/10/26)

世界の闘う労組がやって来る

 韓国民主労総 ゼネスト情勢の韓国 ソウル本部と全解闘が訪日

 11・1労働者集会には、アメリカ・韓国・ブラジルなど世界各国から例年をはるかに越える参加者がやって来る。国際連帯の発展という意味でも、新たな大飛躍の扉を開くものになることは間違いない。1万人の大結集で会場を埋めつくし、各国からの代表を迎え、共に闘おう。(編集局)

 日韓の被解雇者が合流する

 待ちに待った革命情勢が到来した! 民族・国籍・国境を越えた労働者たちが一つの階級として団結する場が11・1日比谷野音だ。
 今春から今夏、金属労組サンヨン(双龍)自動車支部の工場占拠闘争が世界の資本家どもを震え上がらせた。ストを率いたハンサンギュン支部長は「壮絶な双龍自動車77日間闘争を終え、いまもわれわれすべての労働者に与えられた宿題は、まさに団結、また団結の道だけです」と獄中から訴えている。「11・1日比谷で会おう!」「日比谷から世界を変えよう!」——世界革命に向けた出会いと団結がここから大きく広がろうとしている。
 今年も韓国から民主労総ソウル本部とその傘下労組から数十人の代表団がやってくる。
 民主労総の全国16地域本部の一つであるソウル本部は、組合員数16万4000人、傘下単組数250(08年11月現在)。1970年11月13日、ソウル清渓川(チョンゲチョン)の被服工場で「勤労基準法を守れ!」と叫んで焼身したチョンテイル烈士の精神を継承し、中小零細企業や非正規職労働者、女性労働者、外国人移住労働者などの組織化に力を注いでいる。
 今年は全国解雇者復職闘争委員会(全解闘)の被解雇者たちが初参加し国鉄1047名闘争と合流する。国鉄分割・民営化攻撃と果敢に闘って団結を維持し、今や世界の労働者階級の結集軸となっている動労千葉と、全解闘との結合は、日韓労働者の新たな共同闘争を切り開くに違いない。
 道州制の先兵を自認する大阪府知事・橋下が7月、ソウル青瓦台を訪ねた。イミョンバク大統領はその際、「短い間に多くの変化をもたらしたと聞いている。公務員の給与カットは韓国ではなかなかできない」と橋下を称賛した。イミョンバクは今や、公務員労組の解体に躍起となっている。

 公務員労組への攻撃に怒り

 公務員特別法の受け入れをめぐって分裂していた全国公務員労組と全国民主公務員労組、法院公務員労組が組織統合を決めた。この18万人公務員労働者の統合の動きにイミョンバク政権は激甚に反応し、7月には時局大会に参加した公務員労働者への懲戒攻撃を開始。9月30日には罷免2人を含む11人の重懲戒が行われた。さらに、公務員労組の民主労総への加盟そのものについて「公務員の政治的中立」に反すると弾圧に出てきた。
 10月に労働部長官に就任したイムテヒは「健康な労使文化が緊急の課題」として最初の訪問先にソウル・メトロを選んだ。ソウル地下鉄労組は、行政安全部とともに「労使政平和宣言」を結び、民主労総脱退を進めている。
 さらにイムテヒは、実施を延期してきた「複数労組許容」と「労組専従賃金支給禁止」を来年1月に実施することを宣言した。これに御用労総=韓国労総が反発、11月7日に全国20万人を集めて労働者大会を開き、12月末にゼネストを構えるに至った。民主労総も11・8全国労働者大会を開き、イミョンバク政権と激突しようとしている。現場労働者の怒りが両労総を突き動かしている。
 公共運輸連盟は、傘下の鉄道・ガス・発電・社会保険・年金・医療などの労組が、イミョンバク政権が推し進める公共機関先進化方案=民営化を阻止する闘いに入った。10月10日には公共部門労働者大会を開き、公共機関の民営化中断と公共部門での雇用拡大のために共同で闘うことを決め、11月6日からストライキを含む共同闘争に突入することを宣言した。
 11・1日比谷で団結を打ち固め、ゼネスト情勢下の11・8韓国労働者大会に駆けつけよう!

 南北アメリカ 体制内派の制動破り 民営化と闘う新潮流が台頭

 米労働運動の軸=ILWU

 11・1全国労働者総決起集会に、ILWU(国際港湾倉庫労組)から、ローカル10(第10支部)などが参加する。今年7月に動労千葉が参加したサンフランシスコ国際労組会議を主催した組合だ。ILWUは、1934年ゼネスト以来のアメリカで最も戦闘的な労働組合の伝統を引き継いでいる。
 ILWU本部が体制内化している中、08年メーデーでイラク戦争反対を掲げて西海岸29港をスト破りゼロで全部封鎖できたのも、これらのローカルの奮闘があったからだ。同日、イラクの港湾労働者は、アメリカの労働者に呼応し、歴史的な「銃を突き付けられた占領下の1時間連帯スト」を貫徹した。

 教育の民営化攻撃との激闘

 全米第2の大規模地域教組であるUTLA(ロサンゼルス統一教組)からは、セシリー・マイアトクルス西部地域議長らが参加する。
 オバマ政権は大恐慌の犠牲を労働者階級に転嫁し、とりわけ公務員労働者に攻撃を集中している。特に労働組合の組織率が高い教育労働者については、オバマ自身が何度も「教育問題演説」をするなど直接乗り出し、チャータースクール(公設民営校)化や、生徒のテスト点数と教員賃金との連動化を叫んでいる。
 こうした政権をあげた攻撃を最も集中的に受けているのがUTLAだ。この激突の中で、250校のチャータースクール化攻撃に対する路線を巡って、UTLA執行部とランク&ファイル(一般組合員)の間でかつてない分岐・流動が起きている。
 世界史的な民営化攻撃である国鉄分割・民営化と真正面から闘い、団結を守り、拡大している動労千葉労働運動の路線が、11・1集会の国際交流で生かされていく。
 このほか、元AMFAローカル9(米航空整備士労組第9支部)で現在IBT(国際トラック運転手労働組合、チームスターズ)に所属して闘っているジョセフ・プリスコ氏らや、TWSC(運輸労働者連帯委員会)のスティーブ・ゼルツァー氏も参加する。
 また、カリフォルニア大学バークレー校で9月、ストライキと大集会を組織したSWAT(学生・労働者行動チーム)も来日する。

 ブラジル2百万労組の代表

 南アメリカからは、ブラジル労働党ルラ政権と闘う労働組合のナショナルセンター、コンルータス(全国闘争連盟)の代表が参加する。
 労働党は、同党が市政を握るポルトアレグレ市で01年から3回の世界社会フォーラムを開き、それを利用して02年の大統領選に勝利した。そして「労働党」「労働組合」の名の下にアメリカとのFTA(自由貿易協定)や年金破壊、公共事業民営化などの新自由主義政策を強行した。
 世界社会フォーラムのスローガン「もう一つの世界は可能だ」は、「資本主義でもなくプロレタリア革命でもない、もう一つの道は可能だ」という意味だ。これは、資本主義に対して巨大な決起を開始した南米の労働者人民に対して「労働者階級が主体になって資本主義を打倒してはならない」と説教するものだ。
 ブラジル繊維産業トップを副大統領とし、米巨大銀行の頭取を中央銀行総裁にしたルラ政権のように「良い資本家」と協力せよというのだ。これを賛美しているのがJR総連や第4インター、そして塩川派だ。
 第4インターブラジル支部は農地改革相としてルラ政権に入閣。ロセッチ農地改革相は、土地なし農民に対して警察と大地主私兵による大弾圧までやった。世界最大級の貧富の格差があったブラジルでは、さらに格差が拡大している。
 ルラ政権による戦争と民営化・労組破壊と必死に闘い、体制内労働運動と決別して団結を拡大しているのがコンルータスだ。昨年は、GMの世界最大級の工場=サンジョゼドスカンポス工場の労組執行権を既成労組から奪取した。コンルータスは、中南米の諸労組との連帯活動を展開し、「帝国主義諸国の労働者との団結が死活的に重要だ」と言っている。
 この200万コンルータスの11月集会への参加は、日本、いや世界の階級闘争を塗り替える画期的な事態だ。
 さらに、ドイツの左翼紙記者も来日する。
 11・1集会に全力で結集し世界革命の突破口を開こう。