2009年11月12日

社保庁の1千人解雇撤回へ 張本人は連合・古賀

週刊『前進』08頁(2414号3面1)(2009/11/12)

社保庁の1千人解雇撤回へ
 団結し闘いに立とう
 張本人は連合・古賀 民主党政権の暴挙許すな

 社会保険庁で働く労働者のみなさん! 社保庁1千人の解雇攻撃は必ず粉砕できます。「不採用通知」を撤回させよう! 「絶対反対」の反撃をたたきつけよう。闘ってこそ一切の事態は打開できます。展望を切り開くことができます。団結して、ともに闘いに立とう!
 年金制度の破綻や年金記録問題で現場労働者を悪者扱いして社保庁を解体し、1千人の分限解雇=首切りが狙われている。こんなうそで固めた大陰謀を絶対に許すな。現場の労働者が首になる理由は何ひとつない。

 国鉄型の首切り

 社保庁を解体して1万6千人の職員をいったん退職させ、新たに設立する非公務員型の公法人=日本年金機構と全国健康保険協会、そして厚労省職員に分割、差別・選別して再雇用する——この中で1千人の労働者を、見せしめ的に職場から追放しようとしている。数千人の臨時職員も、いったん全員解雇される。
 これは、国鉄分割・民営化で40万人職員のうち20万人を首にしたやり方そのものだ。公務員360万人の首切りを狙う道州制攻撃そのものだ。
 「あなたから応募がありましたが、残念ながら採用できませんでした」——これが年金機構設立委員長の奥田碩(トヨタの前会長)の名前で来た不採用通知だ。こんな一片の無礼な通知で1千人もの労働者が年末12月31日で解雇される。
 こんな理不尽な話があるだろうか。1千人の労働者には、それぞれ人格も人生も生活もある。闇から闇へ葬り去られてたまるか!
 不採用の通知が来たのは、①奥田あての屈辱的な「誓約書」を拒否した24人、②正規職員のみを希望した40人余り、③一時金の自主返納を拒否した人、④人材バンク登録拒否者、⑤組合活動などでの被処分者などだ。
 これらの行動は、現場のほとんどの労働者の正直な気持ちではないか。不採用を通知されたのは特別な人たちではない。現場の怒りを体現した誇り高き労働者たちだ。
 そもそも、年金破綻の責任を現場の労働者に転嫁するなど絶対に許せない。年金を食い物にしてきのは歴代の厚生大臣や国会議員、高級官僚、ゼネコンや大銀行だ。
 グリーンピアなどで年金を何兆円も流用してきたのはいったい誰なんだ! 百数十兆円もの積立金を、新幹線や道路、ダム建設などに湯水のように投入して不良債権にしたのはどこのどいつだ! 社保庁で働く現場の労働者にはなんの関係もないじゃないか。現場の労働者が利権を得てきたとでも言うのか。
 年金記録問題も同じだ。年金制度の破綻をごまかすために、繰り返し制度を改変して混乱をつくってきたのは誰なのか? 現場の労働者は必死に膨大な窓口業務、記録業務をやっているのだ。誰が現実に責任を取って働いていると思っているのだ!
 1千兆円に及ぶ国の借金を膨らませたのは誰なのか? 年金制度を根本的に破綻させたのは誰なのか? 何千万人という労働者が何十年間も汗水をたらして働き、けっして安くはない保険料を納付してきたのだ。にもかかわらず、まもとに年金を受け取れない状況を生み出したのは誰なのか?

 ダラ幹の打倒を

 一連の攻撃は、労働組合つぶし、労働者の団結破壊として進行している。これまで協力して一緒に働いてきた仲間が「採用・不採用」で分断されようとしている。新法人に行くために競争でバラバラにされている。
 「ヤミ専従」問題での組合バッシングに対し、自治労の全国社保労組は屈辱的な謝罪を繰り返し、一時金の自主返納を組合方針とした。「ねんきん特別便にご協力を」と印刷したティッシュの配布に組合員をフル動員した。1千人もの解雇に直面しているのに、就職斡旋(あっせん)が唯一の方針なのだ。
 しかも驚いたことに、連合の古賀会長が奥田と並んで年金機構設立委員会のメンバーとなり、1千人解雇をともに推進しているのだ。
 こういう組合執行部の奴隷根性こそが、現場労働者を悪者扱いさせ、社保庁解体=1千人解雇を許している。敵の狙いは鮮明だ。労働組合を徹底的に攻撃して屈服させ、歴代大臣や国会議員、ゼネコン・大銀行の悪行をすべて現場の労働者のせいにすることだ。
 反撃しよう。闘う中でこそ展望は切り開くことができる。まずは、はらわたが煮えくり返るこの怒りをたたきつけよう。この世紀の大陰謀の正体を暴き出し、社会問題化させるのは、何よりも現場からの闘いだ。連合や自治労(全国社保労組)のダラ幹を打倒して、組合を現場の手に取り戻そう。闘う労働者の団結こそが労働組合なのだ。

 不採用者が決起

 闘いは始まっている。何よりも「不採用」を通知された1千人の労働者が声をあげ始めている。
 自分の名前と電話番号をビラに書き”社保庁の分割・民営化絶対反対、不採用通知撤回! 私は国鉄1047名のように社会保険1千人の不採用職員の先頭で闘う”と訴えるビラが全国の社会保険事務所で配布され大きな衝撃と共感、さらなる決起を続々と生み出している。この1千人の存在と闘いを軸に、社保庁労働者の闘いの大きなうねりを巻き起こそう。この闘いが、巨万の労働者の支持と共感、連帯を生み出すことは間違いない。
 1980年代の国鉄分割・民営化に対して、国鉄千葉動力車労働組合動労千葉)は2波のストライキで闘い抜いた。28人が解雇された。しかし、全国の労働者の支援を得て28人全員の解雇撤回をかちとった。また、JR不採用となり国鉄清算事業団からも解雇された1047人の国鉄労働者が今もなお、全国各地で史上前例のない解雇撤回闘争を闘っている。
 世界大恐慌の中、数百万人の失業者が街にあふれ、若者が「派遣切り」で使い捨ての道具のように解雇され、激しい怒りをたぎらせている。世の中に満ち満ちているこの怒りと結合して闘おう。
 そもそも労働者が本当に怒っている相手は資本や国だ。支配者たちは、何よりも数千万人の労働者が団結して闘うことを恐れている。闘いこそ、この”世紀の大陰謀”をうち破り、本当の敵をハッキリさせ、労働者の団結と闘いの道筋をつくりだす。闘いこそが敵との力関係を変える。
 居丈高な攻撃を加えてくる連中に一矢報いることからすべては始まる。不採用通知を撤回し全員を希望する職場に採用しろ! 社保庁の1千人解雇を突破口に公務員360万人首切りと改憲・戦争に突き進む民主党・連合政権を打ち倒そう。社保庁の分割・民営化を阻止し道州制攻撃を粉砕しよう。