2009年11月16日

2万1千人 11・8沖縄県民大会 県内移設容認発言に「帰れ」

週刊『前進』06頁(2416号3面1)(2009/11/16)

“普天間即時閉鎖・辺野古新基地拒否”
 2万1千人 日米安保を揺るがす
 11・8沖縄県民大会 民主党政権に怒り爆発 県内移設容認発言に「帰れ」

 宜野湾海浜公園野外劇場内外で開かれた「辺野古への新基地建設と県内移設に反対する11・8県民大会」は2万1千人を結集し、「普天間基地即時閉鎖・返還」と「辺野古新基地建設反対」を明記した大会決議を採択、県内移設を容認する民主党・連合政権への沖縄労働者人民の怒りがあふれ出す場となった(前号速報)。11・13オバマ米大統領来日を目前に日米安保体制の根幹が揺らいでいる。階級的労働運動の力で「米軍基地撤去、安保粉砕・日帝打倒」へ突き進もう!

 11・8沖縄県民大会

 民主党政権に怒り爆発
 県内移設容認発言に「帰れ」
 県民大会は「新政権への期待」を組織しようとした主催者の民主党や社民党、日本共産党などの思惑を労働者人民の怒りで吹き飛ばした。
 沖縄労組交流センターと全学連は、労働組合を始め参加者に1万枚を超えるビラを配り、「民主党・連合政権にお願いしても基地はなくならない。労働者・学生の闘いで基地撤去を! 辺野古の基地建設を13年間止めたのは現場の実力闘争だ。沖縄の労働者こそ基地をなくす闘いの主体だ」と訴え、大会を牽引(けんいん)した。
 開会あいさつで登壇した玉城・沖縄県議会副議長は、米軍基地のある都道県でつくる渉外知事会会長の松沢・神奈川県知事が11月6日、訪米中の講演で「辺野古移設推進」を要求したことに対し、「県民を蹂躙(じゅうりん)するものだ。撤回を」と発言し、松沢に同行して県内移設容認を表明した仲井真・沖縄県知事に対しても「同罪である」と弾劾の姿勢を示さざるを得なかった。大会は「松沢知事発言に抗議する」緊急決議を満場の拍手で採択した。
 この会場の雰囲気を象徴的に示したのは、政権与党となった国民新党政調会長・下地が登壇した瞬間だった。登壇とともに会場は「帰れ!」の怒号で騒然となった。下地は岡田外相が公言した「嘉手納統合案」の推進者だ。下地が「この場は鳩山政権を批判する場ではない」「日米安保は必要」と発言すると、「ふざけるな!」「裏切り者!」などの激しいヤジがたたきつけられた。
 民主党の喜納参院議員は「県外移設の選択はあり得ない」と公言した岡田外相や北澤防衛相の責任に言及もできず、「オバマ大統領は沖縄に来て県民の声を聞くべき」などの発言に終始。同じく政権与党となった社民党党首の福島は、与党としての責任を追及されることを恐れ、大会参加をキャンセルした。
 労働者人民の怒りが一線を越えていることは、参加者がまいたビラにも表れた。地元宜野湾市の参加者は「移設ではなく“無条件撤去”を議論すべき。移設反対なら、どこへ移すかという議論になる。基地や軍隊はなくすべき」と訴えた。
 こうした巨大な怒りの中で、大会決議は「普天間基地の即時閉鎖・返還」と「辺野古移設反対」を鮮明にするものとなった。そして政府は、平野官房長官が「大会の内容は聞いていない」と述べ、「まるで他人事のよう」(琉球新報11・9)と地元紙にも批判される事態に陥った。

 鳩山が労働者の怒りの的に

 8・30総選挙で民主党は「最低でも県外移設」を公約に掲げ、沖縄の4選挙区全区で自民党候補を全滅させた。沖縄労働者人民の基地への怒りが爆発したのだ。この怒りに支えられて初めて鳩山政権は成立した。
 これは連合中央を取り込んだ民主党・連合政権の絶対矛盾だ。日米安保体制の実体たる沖縄米軍基地の存立、すなわち日帝の存立の根幹が沖縄の労働者の怒りで根底から揺らいでいる。選挙公約を投げ出して県内移設を容認した鳩山政権は、労働者人民全体の激しい怒りの的となり、早くも進退窮まっている。
 浮き彫りになったことは、96年の「普天間返還合意」を名護新基地建設にすり替えた日米帝国主義の暴挙を、13年にわたる現地・海上での実力阻止行動で阻止してきた地元沖縄を始めとする労働者人民の力だ。この闘いを、基地問題の根源=日米安保体制そのものと全面的に対決し、これを根底から粉砕する闘いとして発展させることが、唯一の勝利の道であることが示されたのだ。

 米兵がまたも県民ひき殺す

 72年5・15のペテン的「沖縄返還」から38年。沖縄米軍基地の返還は、面積でわずか15%。「国土の0・6%に在日米軍基地の75%が集中している」現実はそのままだ。イラク戦争を始め米帝の戦争政策の展開と、日米同盟による日帝・自衛隊の参戦体制のエスカレーションの中で、米軍基地はむしろ強化された。「返還」以来の基地被害も航空機事故だけで20件を超えた。その上に今大会前日、米兵による県民轢殺(れきさつ)事件が発覚した。95年の少女暴行事件をきっかけに噴き出した労働者人民の怒りは、もはや鳩山「友愛」政権への幻想で抑え込むことなど不可能だ。
 辺野古移設阻止! 米軍基地撤去、安保粉砕・日帝打倒へ沖縄の労働者を先頭に闘いぬこう!

 交流センターと全学連

 国際通り010デモと集会
 “労働者の力で基地撤去を”
 「国鉄1047名闘争を先頭とする階級的労働運動の前進にこそ沖縄基地撤去の勝利がある」「民主党政権の裏切りへの怒りで県民大会を成功させよう!」
 県民大会前日の11月7日、沖縄労組交流センターを中心に約50人が沖縄県庁前と国際通りで街宣行動を行った。
 「70年のコザ暴動に参加した」という年輩の女性、「明日の大会は必ず行く。また話そう」と応じた青年労働者、「星野文昭さんの投獄は許せない。協力したい」と話し込んだ人……。署名はふくれあがった。
 その後、国際通りをデモ行進。「県内移設を既定路線とした民主党・連合政権を打倒しよう!」のシュプレヒコールが注目を浴びた。

 沖縄労働運動の新たな前進誓う

 デモの後、沖縄青年会館で労学総決起集会が開かれた。司会の労働者が「訪韓闘争と連帯して闘おう」「動労千葉派として沖縄労働運動の新たな前進を」と呼びかけた。
 沖縄民権の会の座覇光子さんが「沖縄問題は日本全体の問題、世界の問題だ。日本の労働者が沖縄の労働者と連帯することが大事」とあいさつ。
 北部合同労組副委員長の富田晋さんは基調報告で「沖縄は大きな分岐と流動の渦中にある。国鉄1047名解雇撤回闘争こそ、万国の労働者の団結と基地撤去を実現する闘いだ。県外移設を公約した民主党政権は辺野古案を一夜にして容認した。この裏切りは絶対許せない。体制内派から沖縄反戦闘争の旗を取り戻そう。沖縄は革命の火薬庫だ。われわれが火をつける」と訴えた。
 地元の労働者が次々と決意表明した。NTT労組の真喜志康彦さんは「沖縄の世論は70%以上が県外移設だ。民主党政権はこれに真っ向から水をかけた。職場の同僚もみな怒っている」と報告。南部合同一般労組の柿本博人さんは「県民大会の主催者は“鳩山政権尻押し大会”を目指しているが、沖縄の労働者は許さない。沖縄問題はプロレタリア革命の問題だ。1047名闘争を闘うわれわれこそが先頭に立てる」と訴えた。
 基地労働者は「基地の再編で解雇攻撃が来ている。体制内派の制動を破り、断固たるストで闘うことがカギだ」と強調した。北中城村議の宮城盛光さんは「明日は地域からバス2台で参加する。11・1労働者集会に結集した労働者・学生の力でこの社会を変えられる」と訴えた。
 続いて、相模原市議の西村綾子さん、ス労自主、大阪の自治体労働者、広島労組交流センターの仲間、坂野陽平全学連委員長代行など、本土の仲間が決意を語った。西村さんは「相模原も基地の街。沖縄のみなさんとともに闘う。神奈川県・松沢知事の発言を許さない」と語った。自治体労働者は「国鉄1047名闘争と沖縄闘争は同じ問題だ。これまでの平和行進は何だったのかという怒りが必ず4大産別決戦で爆発する」とアピール。坂野君は「2学友を奪還した。11・1集会の力だ。安保・沖縄問題は日帝の最大の矛盾だ。ここに日帝打倒の路線がある。労働者学生の力で米軍基地撤去、辺野古移設絶対反対で闘おう」と訴えた。
 「県民大会をわれわれの力で牽引しよう!」と力強いシュプレヒコールで集会を締めくくった。

 参加者の怒りの声

●沖縄市職労の組合員(36) 民主党は沖縄県民の意識とまったくミスマッチだ。
●地元中学校の教育労働者(55) 公約を翻した民主党は県民を愚弄(ぐろう)している。県内移設を要求した神奈川県知事・松沢の発言は論外。基地は即刻撤去。民主党政権が公約を守らないなら許さない。
●地元の大学生(20)
初参加です。県民の声は一つだし、とても大きいと実感した。
●高教組の組合員(32)
 基地問題はこれからが本番だ。民主党の公約破りはほうっておけない。
●那覇市の高校生(15)
 ここまで頑張ってるのに、何十年も基地がなくならない。アメリカや日本政府に声が届かないことが悔しい。
●与那原町の公務員(41)
 行動を起こすことで政治も動くと信じる。沖縄はいつまで我慢すれば良いのか。
●豊見城市・無職(80)
 沖縄に復員した時の、松の木一本ない焼け野原に衝撃を受けた。戦争につながる一切に反対だ。
●大宜見村・無職(75)
 大会をきっかけに、県外の人も含めて国全体で議論して欲しい。