2009年11月16日

検修部門の全面外注化絶対阻止へ 革共同国鉄委員会

週刊『前進』06頁(2416号5面1)(2009/11/16)

検修部門の全面外注化絶対阻止へJR体制打倒・解雇撤回に立とう
 国労5・27臨大闘争弾圧の有罪策動粉砕を
 革共同国鉄委員会

 11・1労働者集会は、国鉄1047名解雇撤回を基軸的スローガンに5850人を大結集し、大恐慌下の戦争と大失業の攻撃をプロレタリア世界革命に転化する労働者の国際的隊列を生み出した。11・1を経て、国鉄決戦は直ちに10春闘に向けた新たな攻防に突入した。10月29日、JR東日本は検修業務の全面外注化を提案し、2010年4月1日にこれを実施に移すと言っている。まさにそれは、動労千葉−動労総連合の解体を狙うものであり、国労を最後的に壊滅させようとする攻撃だ。国労5・27臨大闘争弾圧での7被告への有罪策動を打ち破って、検修業務全面外注化阻止の決戦に立とう。

 階級的労働運動の解体狙う2千人規模の大合理化攻撃

 10月29日、JR東日本は検修部門の全面外注化を動労千葉や国労に対し提案した。「グループ会社と一体となった業務体制のさらなる推進について」と題されたこの提案は、仕業検査業務、機動班業務、駅派出業務、構内の信号業務、ホームでの列車の分割・併合業務、資材・倉庫関係業務など、検修の主要業務をことごとく外注化するというものだ。
 この提案の狙いを、JR東日本は「コストダウンを徹底した効率的な事業運営のもとでグループ全体を発展させ」るためだとしている。JR東日本は、「創造的破壊」を叫ぶ「グループ経営ビジョン2020−挑む−」のもとに、かつてない大合理化に乗り出してきたのである。
 今回の提案をJR東日本は、「エルダー社員の技術力・ノウハウを活かせる仕事の場(出向先)を拡大」するものと位置づけている。そして、この施策は約2000人分の業務を対象とする。つまり、JR本体で約2000人の人員削減を強行するということだ。
 しかも、業務はグループ会社に一括委託される。その場合、出向先で必要なエルダー社員が確保できなければ、現役社員をグループ会社に出向させることになる。事実、JR東日本は「若年出向も含めてやっていく」と公言している。
 そもそも、エルダー社員制度そのものが、とんでもない制度だ。「年金満額支給まで雇用の場を確保する」という口実で、技術力を持つベテランの労働者を定年後、再雇用し、グループ会社に出向させて、現役時代と比べて2分の1程度(月額約17万円)の低賃金でこき使うというものだ。
 JRは、社会保障が解体され年金が削られる一方、本格的な大失業時代が到来する中で、定年を迎える労働者はどんな低賃金・強労働を強いられようとエルダー社員に応募するほかないと見て、大規模な外注化を強行しようとしているのだ。
 しかも、今回の外注化提案は、検修業務の根幹に及ぶ。安全の要をなす検修業務の全面外注化は、これまで以上に激烈な安全の崩壊をつくり出すことは明らかだ。

 外注化を阻んだ動労千葉の闘い

 05年4月25日のJR西日本・尼崎事故が示すように、JR体制下で、鉄道の安全はすでに根本的に崩れている。JR東日本もまったく同じだ。
 JR東日本は00年以来、検修業務の部分的な外注化に着手するとともに、01年には「設備メンテナンス再構築」と称して保線・土木・建設・機械・電力・信号通信部門の全面外注化を強行した。これにより、設備部門の労働者は、国労組合員を中心に強制的に出向に出された。さらにJR東日本は、「車両メンテナンス近代化構想」と併せて、検修部門の大合理化を目的とした「新保全体系」の導入を企てた。
 以降、レールの破断や異常摩耗が続発し、送電システムの崩壊や信号トラブルの続発など、鉄道事業総体の安全は徹底的に解体されてきた。JRの車両故障の発生率は、今や私鉄の14倍に及ぶ。
 だが、動労千葉は職場から反合・運転保安闘争を貫き、この攻撃と全力で闘ってきた。その結果、千葉支社管内での検修部門の外注化は、8年にわたり阻まれている。
 この間、JR東日本は、動労千葉の拠点をなす幕張車両センターで、支部役員を強制配転するなどの動労千葉への組織破壊攻撃を執拗(しつよう)に続けてきた。今回の提案は、動労千葉の闘いによって阻止されている検修部門の外注化を、動労千葉を解体することをとおして一気に強行しようとするものだ。
 それにとどまらず、JR東日本管内のすべての検修職場が外注化の対象となる。
 だが、こうした攻撃に踏み出してきたこと自体に、JR体制の危機がある。極限的な合理化の結果、JRではあらゆる職場で人員が不足し、業務がまともに回らなくなっている。それに加えて、これから大量の労働者が退職期を迎える。国鉄分割・民営化以来、特に検修部門や駅などで必要な人員の養成を怠ってきたJRは、ここに来て決定的な危機にぶち当たったのだ。
 その危機を検修業務の全面外注化で乗りきろうとするJRの施策は、あらゆる所に矛盾点と破綻点をつくり出す。一つでもJRの思惑どおりにことが運ばなければ、攻撃の全体が破産する。JR体制は、一層の危機を自ら促進しているのだ。
 絶対反対を貫いて闘えば、全面外注化は阻止できる。JRが狙う合理化はかつてなくすさまじいものだが、それはJR体制打倒の好機でもある。青年労働者を先頭に、JR体制を内側から突き崩す総反乱に立つ時が来たのである。
 この闘いは、1047名解雇撤回闘争にとっても決定的な意味を持つ。1047名闘争は、JRによる解雇を撤回させ、1047名をJRに復帰させる闘いだ。それは、JR体制をぐらぐらに揺さぶり、音を上げさせ、打倒することによって勝利する。JR東日本が管内全域に及ぶ検修部門の外注化に着手したということは、1047名の被解雇者とJR本体労働者が強固な団結を取り戻し、一致してJR体制に闘いを挑む時が巡ってきたということでもある。

 率先妥結したJR総連と鳩山・小沢を賛美する大転向

 JR東日本が10月29日に検修部門全面外注化の提案を行ってきたのは、すでにJR総連・東労組がこれに率先妥結したからだ。JR総連カクマルは、崩壊寸前にある資本との癒着・結託体制を維持するために、これまで以上に露骨な形で資本の手先となったのだ。
 11・1に向けて動労千葉は、JR東日本の組織破壊攻撃と全力で立ち向かってきた。動労水戸も、7月以来4波のストで運転士登用差別を居直るJR東日本と非和解的に闘いぬいてきた。
 東労組カクマルは、今回のJR資本の提案が、動労千葉−動労総連合解体を核心的に貫く攻撃であることを自覚した上で、その最先兵の役割を買って出た。彼らもまた、国鉄分割・民営化時のファシスト反革命の原点に立ち戻ったのだ。
 このJR総連カクマルを賛美し、松崎明のもとに1047名闘争と国労をひれ伏せさせようとしているのが、戸塚秀夫・東大名誉教授や樋口篤三・元「労働情報」編集長、山崎耕一郎・社会主義協会代表代行らの策動だ。国鉄分割・民営化における動労カクマルの裏切りを「労働者の対案戦略運動」などと言い、労働運動の新たな発展の道であるかのように描く彼らのデマゴギーを、われわれは絶対に許さない。
 国鉄分割・民営化においてカクマルがやったことは何か。86年1月、動労本部は鉄労などとともに国鉄当局と労使共同宣言を結び、スト絶滅を誓った。さらに動労カクマルは、九州や北海道から大量の労働者を本州に異動させる「広域異動」に積極的に応じた。これは、動労組合員を国労の組織率の高い職場に集中的に配属することにより、国労組合員を職場から排除することを目的に行われたものだ。国鉄当局やカクマルは、これを「血の入れ替え」と呼んだ。この攻撃をテコに、国鉄当局は国労や動労千葉の組合員を「余剰人員」として人材活用センターに放り込んだ。
 動労カクマルと鉄労が野合してつくられたJR総連は、87年2月の結成大会で、「国鉄改革を妨害する不良職員は採用するな」という特別決議まで上げた。このファシスト的ごり押しを支えに、国鉄当局は労働処分歴のある国労や動労千葉の組合員をJR不採用としたのだ。JR総連カクマルは、まさに1047名首切りの張本人だ。
 労働者の首を切れと労働組合の名で資本・当局に要求することが、戸塚らの言う「対案戦略運動」の本質だ。
 JR総連カクマルを賛美するこうしたやからはまた、民主党・連合政権に労働者を屈従させようと全力を挙げている。
 樋口篤三は、JR総連の実質的な機関誌『われらのインター』に「鳩山友愛革命に注目を」と題する論文を載せ、民主党幹事長・小沢の基本路線である「地域主権国家」=道州制導入と「東アジア共同体」構想を手放しで絶賛した。

 労働者の怒りは民主党に向かう

 だが、道州制導入はまさに公務員労働者360万人首切りと、戦争遂行に向けての国家改造攻撃そのものだ。東アジア共同体構想とは、日本帝国主義の対米対抗的なアジア侵略にほかならない。鳩山の言う「友愛政治」とは、戦前の労働総同盟、戦後の同盟の母体となった反共主義的御用労組「友愛会」をモデルに帝国主義的労働運動を育成し、その反革命的力で階級的労働運動を圧殺するということだ。これは、最後は産業報国会に行き着く。
 JR総連カクマルを賛美する者は、必ず侵略戦争翼賛へと転落する。それは、「11月末の集会に鳩山と国交相・前原を呼んで1047名問題の政治解決を図る」とうそぶく4者4団体を始め、民主党・連合政権を賛美する者が、必ずたどり着く末路を示している。
 だが、階級的労働運動を圧殺して資本主義を救済するために登場した民主党・連合政権の本質は暴かれ、これへの巨大な怒りが噴出しつつある。
 11月8日の沖縄県民大会では、沖縄に米軍基地を押しつけ続ける民主党に対し、沖縄の労働者の絶対非和解の怒りがたたきつけられた。

 11・27判決公判闘争に結集し10春闘へ総決起態勢築こう

 社会保険庁労働者1千人首切りに対する怒りもまた、火を噴こうとしている。不採用を通知された労働者を切り捨てて「日本年金機構労組」の結成をたくらむ自治労社保労組幹部は、社保庁解体が道州制の突破口となることを十分認識した上で、動労カクマルに匹敵する階級的大罪に自覚的に手を染めたのだ。こんなことが労働者階級により厳しく断罪されることなしに通用するはずがない。
 民主党・連合政権は今や、「事業仕分け」の名で恫喝的な社会保障解体の攻撃にのめり込み、消費税やたばこ税の大増税へとあからさまにかじを切った。今後ますます激化する大失業情勢の中で、労働者の巨大な怒りが民主党・連合政権に向かうことは間違いない。
 その闘いの最先端に1047名解雇撤回闘争と検修部門全面外注化阻止の闘いは位置している。
 4者4団体を始めとする体制内勢力の民主党・連合政権への屈服と総転向を突き破り、1047名解雇撤回・JR体制打倒への突撃路を切り開くものこそ国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いだ。
 5・27裁判の判決公判は11月27日に迫った。11・1で打ち固められた労働者階級の力を再び総結集し、有罪攻撃をなんとしても打ち破ろう。
 5・27被告団は国家権力やJR資本はもとより、一切の体制内派と非和解的に対決している。
 被告団は、鉄建公団訴訟原告団への統制処分に行き着いた国労本部の裏切りを徹底弾劾するとともに、その後、解雇撤回を投げ捨て、4者4団体路線に走った鉄建公団訴訟原告団一部指導部の変節とも厳しく対決しぬいてきた。さらに被告団は、08年2月の旧弁護団解任という壮絶な決断をとおして、あらゆる体制内派との根底的な決別を宣言した。
 尼崎事故を弾劾し、JR西日本と最先頭で対決してきたのも被告団だ。
 こうした被告団の闘いは、国労本部を打倒して1047名闘争を階級的によみがえらせ、JR体制を覆す攻防の最先端に立っている。だから敵階級は被告団に憎悪を集中し、有罪攻撃を振り下ろそうとしているのだ。
 だが、被告団はいかなる攻撃にも屈しない強固な団結と勝利の確信をつくり出してきた。被告団とともに闘おう。11・27判決公判と報告集会に総結集し、1047名解雇撤回・検修部門の全面外注化阻止へ、10春闘の決戦態勢を打ち固めよう。