2010年2月 1日

“ベアも定昇も認めない” 「経労委報告」

週刊『前進』08頁(2425号6面2)(2010/02/01)

“ベアも定昇も認めない”
 「経労委報告」に怒りの大反撃を

 1カ月以上遅れ

 日本経団連は1月19日、経営側の春闘指針である経営労働政策委員会報告(経労委報告)を発表した。02年に経団連と日経連が統合して以降、毎年12月中旬に発表してきたものが、今回は1カ月以上遅れた。きわめて異常な事態である。
 これは民主党・連合政権の誕生に直面し、自民党支持一辺倒だった経団連が報告を全面的に書き直さざるを得なかったためで、小沢問題や普天間基地問題などに示される支配階級の激しい分裂と抗争、日帝支配の危機を象徴している。
 世界大恐慌下で、「経済は2番底が懸念される状況」(大橋洋治・経営労働政策委員長)とブルジョアジーは最初から予防線を張り、今年の経労委報告はベアも「困難」、定昇維持も再検討と、全面的な賃下げ攻撃を振りかざしている。
 連合や全労連の春闘での総屈服の中で、厚労省の調査によると、昨年は基本給などを削減した企業は全体の30・9%、定昇制度のある企業のうち定昇凍結・延期を行った企業が20・6%にも達している。まさに大恐慌下で首切り・賃下げ攻撃が吹き荒れているのだ。
 だからこそ、今春闘は労働者の怒りを組織し、一律大幅賃上げを掲げてゼネストで決起しなければならない情勢だ。だが連合は最初から統一ベア要求を放棄し、定昇確保をブルジョアジーにお願いするだけの、奴隷的な立場に終始している。
 この連合のとんでもない屈服につけ込み、今回の報告で経団連は「雇用優先」を振りかざし、“首になりたくなかったら賃下げをのめ”とばかりに、「ベースアップは困難と判断する企業が多い」とベアを真っ向から否定した。さらに「賃金カーブを維持するかどうかについて実態に即した話し合いを行う必要がある」と、定昇の凍結や廃止をも露骨に宣言した。
 だが今や日本の失業率は実質的には10%をはるかに超えている。雇用維持などは真っ赤なうそであり、ペテンである。
 しかも経団連は、「(定期昇給制度は)高成長が続くことを前提とした賃金制度」などと述べ、定昇廃止を完全に視野に入れ、労働者への一層の賃下げと大失業、団結破壊と非正規職化の攻撃を狙ってきている。

 連合の全面屈服

 さらに「報告」は、大恐慌下で資本主義そのものが崩壊の瀬戸際にある中で、一方では「企業は……付加価値を継続的に生み出し……その付加価値を社会に還元する……経済社会にとって不可欠の存在」と、企業の存在意義と資本主義の維持を振りかざし、他方では「企業内労使協調による生産性向上運動」(御手洗「序文」)なるものを労働者に強要している。
 このきわめて反労働者的な経労委報告と、連合や全労連の体制内指導部の奴隷的な総屈服に怒りを爆発させよう。
 動労千葉を最先頭とする国鉄決戦と10春季ゼネストで階級的に大反撃しよう。