2010年2月15日

〈焦点〉 トヨタ車リコールに発展

週刊『前進』06頁(2427号5面4)(2010/02/15)

〈焦点〉 トヨタ車リコールに発展
 安全の崩壊と対日争闘戦

 トヨタ自動車は2月9日、ブレーキの不具合の問題で新型「プリウス」など4車種のリコール(回収・無償修理)を日米当局に届け出たと発表した。回収台数は全世界で43万7千台である。
 トヨタは昨年11月にもフロアマット問題で約420万台をリコール。今年1月21日には、アクセルペダルの不具合問題で8車種約230万台のリコールを発表した。いずれの場合も、問題はないと対応を拒否したトヨタに対して、アメリカの当局が事実上リコールを指示したことが背景にある。昨年からのリコールと自主回収をすべて合計すると世界全体で、トヨタ単体の昨年の世界販売台数(698万台)を大きく上回る延べ1千万台を超える驚異的な数字となる。
 この事態が示すことは何か。第一に、世界大恐慌が新段階に推移しつつある中で、日本資本主義の中枢そのもののトヨタをめぐって日米争闘戦が激化しているということだ。大恐慌爆発の昨年、かつて世界最大の自動車メーカーを誇ったGMとクライスラーが自動車市場をめぐる争闘戦で敗北し倒産、米政府の管理下に置かれた。米帝の屋台骨が揺るがされる中で出たのが今年の一般教書演説だ。その中でオバマは「雇用」の最優先化と「輸出倍増」を強調した。これを即座に実行に移したのが今回のトヨタ車リコール問題だ。
 トヨタは、1月にリコールした計8車種の米国内での販売と生産を当局の「要請」で一時中止した。また、運輸長官が「トヨタ車の運転をやめるように」とまで下院歳出委員会の公聴会で証言し波紋が広がった。GMは、トヨタ車からGM車に買い換える顧客に1000㌦(約9万円)の特別奨励金まで付与している。その結果、アメリカにおける1月のトヨタの新車販売台数が前年同月比15・8%と激減した。トヨタの減少分はGMなどの米国産車に流れた。
 今回の米帝の強硬な踏み込みは、全世界的な規模でさらに保護主義を拡大・激化させる。それがまた大恐慌を加速させ、両者が相互に促進しあいながら資本主義を破局へと追いやるものとなる。
 第二にこのリコール問題が示すものは、この間トヨタが展開してきた野放図な拡大戦略の不可避な破綻ということだ。トヨタがブランドイメージとしてきた「信頼と安全」をもかなぐり捨てて争闘戦での勝利と利潤追求に突っ走ってきたのだ。トヨタの世界販売台数は、ピークの2007年(843万台)までの10年間で2倍近くに増えた。
 このトヨタの競争力を支えたものこそ悪名高い「ジャスト・イン・タイム」と「乾いた雑巾を絞る」とまで言われる徹底した「コストの削減」だ。下請け会社の労働者も含めたトヨタ関連の全労働者に対する極限的な強労働・強搾取に加え、さらにトヨタ資本は拡大戦略推進のために「生産コストの3割減」まで行っていた。極限の上に極限を重ねていたのだ。
 JRで安全が大崩壊しつつあるのと時を同じくして、日帝の基幹部である自動車産業において安全が崩壊しつつある。日本資本主義の大崩落が始まっているのだ。
 JR検修外注化阻止決戦の勝利こそ労働者階級の回答だ。