2010年2月22日

〈焦点〉 イラク撤退・米帝打倒へ

週刊『前進』06頁(2428号5面4)(2010/02/22)

〈焦点〉 イラク撤退・米帝打倒へ
 3・20全世界一斉デモを

 米帝を先頭とする国際帝国主義のイラク・アフガニスタン侵略戦争がますます長期化・泥沼化し、危機を深めている。両国に駐留する米軍は撤退したくてもできない状況に立たされている。戦費がかさみ米国家財政赤字は3年度連続で1兆㌦を超えようとしている。
 イラクには03年3月以来、アフガンには01年10月以来、侵略戦争のためにそれぞれ10万人の米軍やNATO軍を投入している。
 2月1日発表のQDR(4年ごとの国防戦略見直し)やゲーツ米国防長官が指摘するように、米帝は今や伝統的な「2正面戦略」をそのまま続けることができない危機状態に陥っている(本紙前号「焦点」参照)。大恐慌下で米帝自身と米帝による世界支配が崩壊し始めているのだ。それでも米帝オバマはイラクとアフガンでの「二つの戦争」の意義を強調し、ますます戦争にのめりこもうとしている。
 オバマは1月27日の一般教書演説で二つの侵略戦争を「テロリストによるアメリカ国家・アメリカ人への脅威との戦い」として正当化した。アルカイダやタリバーンなどイスラム武装勢力を「テロリスト」と規定し、先制的に侵略戦争をしかけて彼らをせん滅し、「脅威」を取り除き「安全」を確保しなければならないというわけだ。まことに身勝手な論理だ。排外主義と愛国主義をあおって圧倒的な軍事力・物質力を動員・行使する侵略戦争を発動し、イラク・アフガン人民を大量虐殺したのは米帝だ。それをまだまだ続けようとしているのがオバマである。
 イラクでは3月7日に連邦議会選挙が行われる予定だ。選挙戦が激しく闘われる中、敗勢を深める駐留米軍はひとまず「撤退」過程に入っている。今年8月には全戦闘部隊が撤退、それ以外の5万人を残し、イラク人に権限を「移譲」する計画だ。
 この中でシーア派とスンニ派の宗派間戦争が再燃、大規模な爆弾ゲリラ、自爆ゲリラが相次いでいる。死者は12月8日127人、1月25日36人、2月1日36人、2月5日32人にのぼる。今や米軍が撤退過程に入り治安維持体制が薄くなるとたちまち宗派間の戦争が激化する。米軍のイラク完全撤退・権限移譲が計画どおり実施できる可能性はほとんどない。
 米帝占領下でイラクの連邦国家の政治権力を握るのはシーア派のマリキ首相であり、石油利権もマリキ主導の政府が握っている。クルド人も大統領ポストを得たうえ、自治区で独自に石油を生産し、石油輸出で外貨を稼いでいる。ところがスンニ派は旧フセイン・バース党政権の一角を占めていたことから、今は差別的に「冷遇」されている。この不満が爆発して宗派間戦争となっている。
 イラクの全政治勢力の参加で連邦議会選が成立したとしても、また米軍・外国軍が撤退したとしても、資本主義的基盤の上のイラクにおいては連邦的バランス政治以外に国家統治は成り立たない。民族間、宗派間の利害対立をのりこえ矛盾を解決できるのはプロレタリアートだけである。プロレタリアートの政治的登場の大前提が米軍のイラク撤退である。イラク撤退・米帝打倒へ、3・20イラク反戦世界一斉デモを爆発させよう。