2010年3月 1日

1047名闘争 与党3党への「白紙委任」許すな

週刊『前進』08頁(2429号2面1)(2010/03/01)

1047名闘争解体攻撃粉砕しあくまで解雇撤回を貫き闘おう
 与党3党への「白紙委任」許すな

 国鉄1047名闘争解体の攻撃は一挙に強まった。2月24日、与党3党と公明党が1047名問題の「解決案」の素案を策定したことが毎日新聞などで報道された。こうした形で民主党・連合政権は1047名に揺さぶりをかけ、一層の屈服を迫ってきた。国鉄闘争は1047名解雇撤回の貫徹か、闘争の最後的解体かをかけた重大な決戦局面に入っている。

 屈辱的な「解決案」丸のみに走る4者4団体の一部幹部

 与党3党と公明党が「解決案」の素案をまとめたとする報道は、一見すれば3与党が国労に「満額回答」を示したかのように見える。だがそれは、政府の回答でもないし、3与党が合意に達した内容でもない。これは、鉄建公団訴訟原告団と国鉄闘争共闘会議の提出した要求を、各党に提示したものでしかないとすら言える。
 いずれにせよ民主党・連合政権は、ブルジョアマスコミをつかって「政治解決」への期待を最大限にあおるという形をとって、1047名へのすさまじい屈服強要に打って出てきたのである。
 こうした事態の中で、4者4団体一部指導部は、与党3党にすべてを「白紙委任」する屈服姿勢をますますあらわにしつつある。それは、今後どんな「解決案」が示されようと、無条件で受け入れるということにほかならない。
 民主党・連合政権の基本姿勢は、1047名の解雇撤回を絶対に認めないということにある。今回の1047名闘争解体攻撃の起点になったのは、昨年12月25日、与党3党が鉄道運輸機構に対して行った申し入れだ。そこには、「4者4団体は、最高裁判決で示されたとおりJRに法的責任がないことを確認する」と明記されている。
 00年の4党合意と同じように、与党は「4者4団体はJRに法的責任がないことを認めろ」と居丈高に叫んでいる。これを大前提にした「解決」とは、国鉄分割・民営化に際して強行された不当労働行為の一切を容認しろということだ。
 したがって、なにがしかの解決金が示されたとしても、それは鉄建公団訴訟控訴審判決で出された「期待権侵害への慰謝料550万円」の範囲を出るものにはならない。
 しかも、「国労側の訴訟取り下げが条件」と報道されているように、仮に解決金が出されたとしても、それは鉄建公団訴訟や採用差別訴訟を取り下げ、鉄道運輸機構に「不採用について今後一切争わない」と誓った者に対してだけ払われることになるのは明白だ。こうした形で、敵は1047名を徹底的に分断しようとしているのだ。
 与党は、1047名闘争をたたきつぶし、それによって国労を壊滅に追い込んで、連合による支配のもとに全労働者を完全に組み敷こうと策している。
 この与党に一切を白紙委任し、そうした「解決」への屈服を闘争団員に強制する4者4団体一部指導部は、これまでとも一線を画した形で、解雇撤回闘争への敵対者に転落したのだ。とりわけ国労本部は、全労協からも脱退し、国労を自ら解散して、連合にひざを屈する道を自覚的に歩んでいる。それは、大恐慌下で吹き荒れる大量首切りと極限的な賃下げ、外注化・非正規職化という資本の攻撃を、自らその先兵となって推進するということだ。

 1047名闘争は大恐慌下の労働者の闘いの結集軸だ

 だが、こうした攻撃に対する労働者の怒りが、青年を先頭に激しく噴き出しつつある。だからこそ、その結集軸に1047名闘争が座ることに支配階級は恐怖し、1047名闘争解体の攻撃に乗り出してきたのである。
 現に、民主党・連合政権は社会保険庁労働者525人の分限免職を強行し、数千人の非正規労働者を雇い止めという名で解雇した。日航1万6千人の首切りと、年金大幅削減を強行しようとしているのも民主党・連合政権だ。政権に加わった連合幹部はそのことごとくを容認し、攻撃の積極的な担い手になっている。
 経団連の10年版経営労働政策委員会報告は、定昇解体をも呼号しつつ、さらなる非正規職化を強行しない限り資本は生き延びられないと絶叫した。支配階級は1047名闘争のみならず、あらゆる産別・職場で、解雇撤回を求める労働者の闘いを根絶しようとたくらんでいる。
 大恐慌情勢にあって、国鉄1047名闘争は本来、資本の支配を根本からぶち破る決定的な意味を持っている。87年の国鉄分割・民営化に際し、1047名は解雇されることを覚悟して、国鉄当局やその手先となった動労本部カクマルへの屈服を拒否しぬいた。そこには、自らの不屈の闘いをとおして、労働者階級全体に国鉄分割・民営化のような理不尽きわまる攻撃が波及することを防ぐという、誇り高い決断があったはずだ。与党3党が打ち砕こうとしているのは、この1047名の労働者としての誇りであり、階級的使命感だ。
 国鉄分割・民営化以来、現に進行した事態は、労働者を生きていくこともできない状態にたたき込んだすさまじい攻撃だ。まともな理由さえ告げられず首切り・降格・賃下げ・非正規職化を強いられる横暴極まる資本の攻撃が至るところで労働者を襲っている。
 これは、何よりも現在のJR職場でまかり通っている現実だ。JR東日本の検修外注化は、青年労働者から職場を奪い、外注会社に強制的に出向させる攻撃だ。駅では、大半の労働者が低賃金の契約社員にされ、平然と雇い止めにされて職場を追われる。だが、これに対する怒りの反撃が、平成採の中から始まった。
 資本の攻撃に対し、労働者は連合支配のもとで苦闘しつつも、地をはうような抵抗を至る所で続けてきた。これを根底で支えてきたのは1047名闘争だ。そこに1047名の誇りがある。
 1047名が一切の反動に動じず、解雇撤回を貫いて闘いきった時、国鉄分割・民営化以来の新自由主義の攻撃は根本的に覆り、労働者の総反撃が始まるのだ。

 検修業務の外注化を阻止しJR体制打倒へ闘いぬこう

 解雇撤回こそ、1047名一人ひとりの根底に渦巻く強烈な思いだ。
 1047名首切りの真相は、動労千葉の鉄建公団訴訟で赤裸々に暴かれた。当初の採用候補者名簿には、不採用とされた動労千葉組合員12人を始め、本州で不採用基準によって排除された労働者全員の名前が含まれていた。だが、鉄道労連(現JR総連)が結成大会で「国鉄改革を妨害する不良職員の排除」を要求し、そのごり押しを受け入れた国鉄当局は、現JR東海会長・葛西敬之を先頭に、117人を名簿から排除したのだ。
 1047名の解雇は、JR総連カクマルと国鉄当局の結託によって強行された。この理不尽きわまる仕打ちによって強いられた屈辱は、解雇を撤回させる以外に晴れることはない。
 解雇撤回を貫くことは、断じて「玉砕」の道ではない。動労千葉は検修・構内業務外注化とライフサイクル配転、組合破壊の強制配転に抗して2月1〜2日の48時間ストライキを貫き、2月13日には、全国から結集した1850人の労働者とともにJR東日本本社に対する大デモに立った。さらに、幕張支部の破壊を意図した支部役員への強制配転攻撃に抗して、3月1〜2日には第2波ストライキに立つ。
 反合・運転保安闘争路線を貫くこの闘いは、JR体制を揺るがしている。JR東日本は検修外注化の具体案を策定できず、東労組や国労本部との団交も停止状態に追い込まれている。
 決定的なのは、動労千葉に結集した平成採の青年労働者の怒りが、この闘いを牽引(けんいん)したということだ。今や、JR体制に対する平成採の怒りは、至る所から火を噴いている。
 進展している事態は、JR資本の側が東労組カクマルとの結託体制の清算に動きつつあるだけではない。検修外注化の手先となって資本との結託体制を護持しようとうごめく東労組カクマルの支配は、青年労働者の怒りによって下から打ち砕かれようとしているのだ。
 JR体制打倒の展望がこれほど押し開かれている時はかつてない。こうした闘いと結びつけば、1047名解雇撤回・JR復帰を実力でもぎりとることはできる。
 解雇撤回なき「解決」を断じて許さず拒否しよう。3・20ワーカーズアクションに結集し、青年労働者とともにJR体制打倒へ闘おう。