2010年3月 8日

高校無償化 朝鮮学校排除許さない 排外宣伝弾劾

週刊『前進』06頁(2430号6面3)(2010/03/08)

高校無償化
 朝鮮学校排除許さない
 「拉致」使った排外宣伝弾劾

 鳩山政権が4月に実施を予定している「高校実質無償化」の対象から朝鮮学校を排除しようとしている。絶対に許してはならない。「拉致」問題を口実とした在日朝鮮人民への排外主義キャンペーンを弾劾し闘おう。
 この動きは、産経新聞が2月11日の朝刊1面で「北が送金/朝鮮学校へ460億円/半世紀以上/高校無償化に影響」と大宣伝を始めたことに端を発した。これを受けて拉致問題担当相・国家公安委員長の中井が「朝鮮学校を対象としないよう求めている」と発言。中井は文科相・川端に「経済制裁をしている国の国民なので、十分考えてやってほしい」と、朝鮮学校の除外を要請した。
 鳩山も「朝鮮学校で教えていることが見えない中で、中井大臣の考え方は一つある。そういう方向性になりそうだ」「国交のない国だからどういう教科内容か調べようがない。基本的には国交のある国の方々が優先される」と述べ、朝鮮学校排除に動き始めている。
 高校実質無償化とは、国公立高校の授業料を無料とし、私立高校生のいる世帯には国公立高校の授業料と同等額の年間約12万円を支給、低所得世帯には約24万円を支給するもの。鳩山政権は子ども手当と合わせて「コンクリートから人へ」の象徴として押し出しているが、所得制限もなく、教育の格差拡大、教育の民営化をますます推し進める本質を持つものだ。
 その上で、昨秋の文科省の10年度予算概算要求では朝鮮学校も該当するとしていたものを、4月実施を前にして一気にひっくり返しにかかったのが今回の動きだ。
 国の動きに対応して、排外主義キャンペーンの先頭に立ったのが大阪府知事・橋下だ。「拉致問題を切り離して考えることはできない」「北朝鮮という国と暴力団は基本的には一緒。暴力団とお付き合いのある学校に助成するのがいいのか」と騒ぎ立て、府独自の助成制度から朝鮮学校を排除すると言い始めた。
 府独自の助成制度は、貧困化で私立高校の競争率が下がるという調査結果を受け、橋下が昨秋、私立高受験を促すために決めたもの。その結果、大阪では私立高校の今年の競争率は過去20年で最高となった。教育の民営化を推し進める施策だ。
 その上で、大阪朝鮮高級学校の生徒にも年収350万円未満の世帯なら年約20万円を上乗せして支給し、同校の約44万円の授業料を実質無償化するとしていたものを、排除しようというのだ。
 無償化の対象外とされた場合、高校進学をあきらめざるをえない在日朝鮮人は続出する。全国で朝鮮学校排除への抗議運動が巻き起こっている。
 攻撃の本質は何か。大恐慌と戦争の時代に失業や低賃金にあえぐ労働者が本来の敵=資本家階級に向かって総反乱に立ち上がることをなんとしても防ぐために、拉致問題を大宣伝し、労働者を排外主義・愛国主義に駆り立てようということだ。
 労働者に国境はない。排外主義と民族差別の扇動と対決し、民族・国籍・国境を越えて固く団結し、民主党・連合政権打倒へ闘おう。