2010年3月22日

〈焦点〉 日米密約報告が狙うもの

週刊『前進』06頁(2432号5面4)(2010/03/22)

〈焦点〉 “有事核持ち込み容認も”
 日米密約報告が狙うもの

 3月9日、外務省の有識者委員会が、日米政府間の「密約」に関する調査報告書を岡田外相に提出した。①1960年安保改定の際、核の配備を事前協議の対象とするとしたが、核搭載艦船の寄港はその対象外とする「討論記録」、②同じく60年安保で、朝鮮有事の際の米軍出動は事前協議の対象外とする「議事録」、③69年佐藤・ニクソン会談での沖縄への核再持ち込みに関する「合意議事録」、④71年6月、沖縄返還協定調印の前に、沖縄返還に伴う原状回復補償費の「肩代わり」をめぐる非公表の「議論の要約」。この4点について調査・報告したものだ。
 いずれもすでに米側では情報公開で明るみに出て、密約があったことは周知の事実だった。一部は当事者も認めたにもかかわらず、外務省と歴代の政府は国会答弁などで頑強にそれらの文書の存在そのものを否定してきた。民主党・連合政権は、これまでの戦後自民党政治を否定し、「対等で緊密な日米同盟関係」をつくるために、この密約問題を使ったのである。
 もとより、外務省の関係者でつくられた有識者委員会は、密約を徹底的に暴き、断罪しているわけではない。「広義の密約」とか「密約とは言えない」などの表現で、基本的にはごまかしている。
 レーニンがロシア革命において、「秘密条約の破棄」を宣言し実践したように、秘密外交の中に帝国主義強盗どもの戦争と侵略と金銭取引の実態が隠されている。特に、ここで問題になっている密約は、主として日本政府が核兵器持ち込みの実態を労働者人民から覆い隠すことが目的だった。それは60年安保闘争、70年安保・沖縄闘争を始めとする労働者人民・学生の闘いの爆発に日帝がどれほど追いつめられ、恐怖していたかを示している。
 では鳩山政権は、より民主的に、核兵器と安保同盟から脱却するために密約を「暴いた」のか。否、まったく逆だ。日米争闘戦の激化のもとで、敗戦帝国主義的現実からの脱却、「対等な日米同盟」の再編・形成に向けたあがきを行っているのだ。「核」の問題をもっとオープンにどんどん議論して、核武装の道を開こうとしているのだ。戦争のできる国、憲法改悪に向かって、自民党にはできなかったことをやろうということだ。すでに17日の衆院外務委員会で、岡田外相が「将来的に有事には持ち込みを容認する事態もあり得る」との考えを表明し、「非核三原則」見直しに動き出した。
 だが、労働者階級人民の反戦・反核の意識と闘いは、簡単に一掃されてしまうようなものではない。そこには階級矛盾が絶対的に存在する。まさに日米安保は戦後の最大の階級矛盾と階級対立の最焦点である。同時に、日米の最激突点が沖縄と沖縄基地の存在、その現実であるということがあらためて突きだされているのだ。
 密約問題は、民主党・連合政権の思惑を超え、逆に労働者階級の怒りの炎に油を注ぐものとなる。それは普天間基地「県内移設」に対する怒りを増幅する。今こそ、沖縄米軍基地撤去・日米安保粉砕の新たな革命的爆発をかちとるべき時だ。それは、大恐慌下の安保・沖縄闘争、さらには改憲阻止闘争の発展を切り開く闘いだ。