2010年4月12日

外注化「4月実施」を阻止したぞ 5波のストと青年の決起で

週刊『前進』06頁(2435号2面1)(2010/04/12)

外注化「4月実施」を阻止したぞ
 国鉄闘争の絶滅を狙う大攻撃と対決5波のストと青年の決起で勝利開く

 JR東日本による検修・構内業務全面外注化の「4月1日実施」は粉砕された。昨年10月以来の動労千葉や動労水戸、国労共闘の渾身(こんしん)の決起、そして平成採の青年労働者の怒りの噴出によってぶっ飛ばされたのだ。この勝利の中に動労千葉が呼びかける「国鉄分割・民営化絶対反対、1047名解雇撤回」を掲げた新たな全国大運動の具体的な中身、展望が鮮明に示されている。それは、戦後労働運動の限界を突き破り、大恐慌の時代に立ち向かうまったく新たな労働運動だ。外注化阻止決戦はまだ激しい攻防渦中にあるが、5カ月間の闘いを振り返ってその教訓をつかみ取っていきたい。

 新たな全国大運動の突破口

 日本の労働運動の基軸として30年間にわたって火花を散らしてきた国鉄闘争が、歴史的な転換点を迎えている。一つには、23年間にわたる国鉄1047名解雇撤回闘争を跡形もなく解体することを狙う「政治和解」の動きであり、今一つは、「第2の分割・民営化攻撃」の全面的貫徹をかけたJR東日本の検修外注化攻撃だ。
 大恐慌情勢がますます深まり、国家財政破綻の危機は支配階級の足元まで迫り、労働者の怒りは社会の隅々にまで渦巻いている。民主党・連合政権はこうした中で、いよいよ改憲・戦争への衝動を募らせるとともに、労働運動の火を一つ残らず消し去ろうと躍起になっている。4者4団体一部幹部をも使って執拗(しつよう)なまでに全闘争団員に屈服を迫る姿は、支配階級の危機の表れだ。これに完全に決着をつけなければ、道州制導入を始めこれ以上一歩も進めないところに支配階級は立たされている。
 この大攻撃と対決し、その突破をかけた飛躍を成しとげることがわれわれに鋭く問われている。

 青年の心つかみ全職場揺るがす 

 昨年10月以来の検修全面外注化阻止の闘いは、こうした支配階級の全体重をかけた攻撃に正面から立ち向かって決定的な勝利を切り開いた。国鉄分割・民営化以来、JR東日本の大合理化計画が破産に追い込まれたのは初めてのことだ。動労千葉を先頭とする11月集会派の昨年来の闘いが青年労働者の心をつかみ、JR東日本の職場全体を揺るがしたのだ。
 この勝利は、動労千葉争議団9人と和解絶対反対派の国労闘争団員の決起の根元的力となり、新たな全国大運動への決定的な跳躍台となった。
 ここを出発点に、「国鉄分割・民営化絶対反対! 解雇撤回!」の大義を掲げ、国鉄闘争の全歴史を革命的に継承する新たな大運動に打って出よう。この闘いは、今後の労働運動の帰すうを決める位置を持っている。

 職場からの徹底抗戦の闘い

 「職場から徹底抗戦の闘いを組織しよう」——動労千葉の田中康宏委員長は年頭にこう訴えた。外注化「4月実施」阻止はなによりも、現場組合員の自己解放的決起にとことん依拠し、激しい職場攻防にかちぬくことをとおして切り開かれた。
 全面外注化を巡る職場攻防は昨年夏から始まった。JR千葉支社は昨年6月以降、幕張車両センターでの交番検査から動労千葉組合員を全員排除した。さらに10月から3月までの間に、支部三役3人を含む5人もの支部役員を強制配転した。
 幕張や木更津の職場には何十人もの職制が張り付き、ロッカーや詰所まで無線機を持って組合員の動向を監視した。掲示版には「暴言、威圧行為は厳重に取り締まる」という掲示が張られ、少しでも声をあげれば「現認!」と処分の脅しを乱発した。つぶすか、つぶされるかの容易ならざる攻防だった。
 動労千葉は一人ひとりの強制配転に対して全組合員がストライキで反撃に立つとともに「組織拡大でこの攻防に決着をつけるぞ」と総決起した。
 動労千葉は10月1日以降、実に5波にわたるストを打ちぬいた。同時に、検修全面外注化の三つの矛盾——すなわち「安全の崩壊」「偽装請負」「JR東労組内部での怒りの噴出」を徹底して突きだした。法的検討を重ね、執行部が現場と密着して問題点をえぐり出し、鉄道業務の丸投げ外注化が必然的に偽装請負のオンパレードになることをはっきりさせた。これは現場の決定的武器となり、JRを追い詰めた。
 抗議行動やスト、組織拡大オルグの先頭に立ったのは6人の平成採組合員だ。「外注化の問題はおれたち自身の問題なんだよ!」という叫びは、外注化への最も核心を突いた批判となって職場に響き渡った。JRはもはや青年に「働きがい」や「頑張ればそれなりの生活が手に入る」といった幻想も与えられず、青年労働者から職場を奪い、誇りも未来も奪うことでしか延命できない。ここに新自由主義攻撃の最大の破綻点があるのだ。
 数十万枚のタブロイド判チラシも決定的な威力を発揮した。当局—カクマル結託体制のもとで抑え込まれてきた怒りの声が、50カ所・5千人の検修職場からほとばしり始めた。「ストを配置しろ!」という突き上げが東労組内部のあちこちで起こった。
 2月1日に、2人の労働者がスト破りを拒否して動労千葉に加入したことも資本に決定的打撃を与えた。JR資本は、東労組や国労の組合員が動労千葉に加入することを恐れ、彼らをスト破りに動員することもできなくなった。JR東労組や国労を含めて外注化を巡る団交は完全にストップし、JR資本は戦略的な構え直しを強いられ、「4月1日実施」を見送らざるをえなかった。

 戦後労働運動の全総括かけ

 JR東日本の検修全面外注化計画は大恐慌下での延命をかけた死活的攻撃だ。「ニューフロンティア21」(00年)以来の大合理化を全面的に実行し、JRを数百の子会社・孫会社に分割して、大多数のJR労働者を低賃金の非正規職に突き落とすものだ。行き着く先は安全の根底的崩壊であり「第2、第3の尼崎事故」だ。
 この攻撃は、動労千葉や動労水戸を解体し、国鉄労働運動を根絶することなしに一歩も進まない。JRのなりふり構わぬ組織破壊攻撃は危機の裏返しでもあるのだ。
 国鉄分割・民営化を巡る攻防はなにも決着がついていない。1047名闘争を軸とする階級的力関係は、なによりもJRでの労使関係に最も強く刻印され続けてきた。JRは新自由主義を体現する極悪企業だが、NTTや日航、他の民間資本と比べれば本体業務の外注化、子会社化の面では遅れている。01年以降、JR東日本で大々的な外注化が始まったが、検修職場に限って言えば9年間で外注化できたのは三百人分の仕事にすぎない。
 検修外注化は、1047名闘争解体攻撃と表裏一体であり、動労千葉や動労水戸を解体して国鉄労働運動を根絶する攻撃そのものなのだ。

 反合・運転保安闘争路線武器に

 動労千葉はこの攻撃の性格を徹底的に見据え、外注化反対の闘いを「第2次分割・民営化反対闘争」と位置づけて総力で立ち向かった。
 外注化攻撃こそ80年代以来、全世界を覆い尽くした新自由主義の核心的攻撃だ。日本でも国鉄分割・民営化以来、外注化—子会社化があらゆる産別で強行され、膨大な労働者が非正規職に突き落とされてきた。こうした攻撃は、連合や全労連のダラ幹が「妥結」という形で合法性を与え、自ら攻撃の手先となることで初めて成立してきた。
 動労千葉は、こうした国鉄分割・民営化以来の流れを断ち切り、労働者の怒りを総結集する闘いとして、この闘いを全国闘争に押し上げてJRを追いつめた。
 田中委員長は、検修外注化阻止闘争について「これは戦後労働運動の全総括をかけた闘いだ」と繰り返し訴えてきた。
 80年代初頭の臨調行革攻撃以降の30年間、あらゆる労働組合が新自由主義攻撃、規制緩和・民営化の攻撃とまともに闘えず団結を突き崩されてきた。必死で抵抗を模索してきた現場活動家の多くも展望を持ちえず、有効な反撃を組織できずに後退を続けてきた。
 こうした国家ぐるみの大攻撃に正面から立ち向かい、闘いをとおして団結を強化・拡大するような求心力を持った闘争をいかにして打ち抜くことができるのか。この課題に向き合い、戦後労働運動の限界の突破をかけ目的意識的に打ち立てられてきたのが動労千葉の反合・運転保安闘争路線だ。動労千葉は1972年船橋事故闘争以来、資本の弱点である安全問題をつかんで離さず、合理化絶対反対の闘いを「反合理化・運転保安闘争」としてつくり出してきた。
 昨秋以来5カ月間の闘いは、この路線を武器に外注化反対の具体的闘いをつくり出し、闘いをとおして団結を拡大する過程そのものだった。
 外注化4月実施を粉砕されたJR資本は、いっそう激しい組織破壊攻撃を続けている。動労千葉は恒常的なスト態勢を堅持して闘っている。
 国鉄決戦勝利の新たな全国大運動と検修外注化阻止闘争は、二つにして一つだ。その相互媒介的発展の中から巨大な求心力を生みだし、国鉄闘争のまったく新たな発展をつくり出す決戦だ。
 5カ月間の攻防をとおしてJR青年労働者の総反乱と、JR体制打倒のかつてない展望が開かれている。JRで働く青年労働者のみなさん、マルクス主義青年労働者同盟に結集し闘おう。