2010年4月19日

労働者の誇りかけ「政治和解案」の断固廃棄を 国鉄1047名解雇撤回、検修全面外注化阻止の全国大運動へ 分割・民営化への怒り解き放つ時だ

週刊『前進』06頁(2436号4面1)(2010/04/19)

労働者の誇りかけ「政治和解案」の断固廃棄を
 国鉄1047名解雇撤回、検修全面外注化阻止の全国大運動へ
 分割・民営化への怒り解き放つ時だ

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 政治解決の基本内容


 ■4党の前原国交相への申し入れ(「国鉄改革1047名問題の政治解決に向けて(申し入れ)」)の核心点
 1.和解金 一人平均1,563万3,750円
       総数910世帯(約142億円)
  ①高裁判決金は550万円、遅滞金利分(注)は639万3,750円(小計1,189万3,750円)。
  ②訴訟費用等374万円。
   (注)支払日までの金利分とし、平成22年6月30日の支払を想定。
 2.団体加算金 58億円
   4者・4団体が、国鉄清算事業団を解雇された者1,029人の生活面の支援を続けてきたことに鑑み、当時、斡旋に応じて再就職した者の雇用主に支払われていた雇用奨励金及び住宅確保奨励金を参考とし、4者・4団体に団体加算金を支払う。算定に当たっては、4者・4団体の非営利性に鑑み、特段の配慮を行う。
  (なお、本団体加算金については、団体の判断により今後の原告等の就職活動、自営業の資金等に活用することも可能)
 ■4党と政府の合意文書「国鉄改革1047名問題の解決案(四党申入れ)について」
 1.政府は、以下のことを条件として、平成22年4月9日に民主党、社会民主党、国民新党及公明党(以下「四党」という。)から申入れのあった「国鉄改革1047名問題の政治的解決に向けて」による解決案を受け入れる。
  (解決案受入れの条件)
    四者・四団体(原則原告団910名全員)が、次の事項について了解し、その旨を正式に機関決定すること。
   ①この解決案を受け入れること。これに伴い、裁判上の和解を行い、すべての訴訟を取り下げること。
   ②不当労働行為や雇用の存在を二度と争わないこと。したがって、今回の解決金は最終のものであり、今後一切の金銭その他の経済的支援措置は行われないこと。
   ③政府はJRへの雇用について努力する。ただし、JRによる採用を強制することはできないことから、人数等が希望どおり採用されることは保証できないこと。
 2.四党は、1.を了解する。

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 対照表 1047名問題「解決案」の推移

 2・23各党担当者素案
解決金 1650万円(1世帯当たり)
年金相当分 1300万円(1世帯当たり)
計2959万円
総計270億円
18事業団支援金 各1億円
計18億円
55歳以下のJRへの雇用要請 約230人
雇用助成金 要求中にあり

 3・18四党正式案
和解金
高裁判決金 1182万5000円
雇用救済金 1224万円
計2406万5000円
総計218億9900万円
18事業団支援金 全体として計10億円
55歳以下のJRへの雇用要請 約200人(JR関連会社も含む)
雇用助成金   要求中にあり

 3・3四党担当者合意案
解決金 1650万円
生活補償金 1300万円
計2950万円
総計270億円
18事業団支援金 各1億円
計18億円
55歳以下のJRへの雇用要請 約200人
雇用助成金 要求中にあり

 4・9政府・四党解決案
和解金
高裁判決金 1189万3750円
訴訟費用等 374万円
計1563万3750円
総計約142億2671万円
団体加算金 58億円
18事業団支援金 明記されず
55歳以下のJRへの雇用要請 「保証できない」と記載
雇用助成金 明記されず
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 1〜3月国鉄決戦は画歴史的なものとして革命的に戦取された。この中でおびきだされた政府と4党(民主党・社民党・国民新党・公明党)による1047名闘争の最終的な「解決案」は、「政治和解」なるものの反革命的正体を満天下に暴き出すものとなった。「解決案」を粉々に打ち砕いて、1047名解雇撤回・検修全面外注化阻止へ、動労千葉が呼びかける新たな全国的大運動へ驀進(ばくしん)しよう。国鉄・沖縄・三里塚・法大をめぐる決戦を爆発させ、鳩山政権打倒、日帝打倒、プロレタリア世界革命に向かって前進しよう。

 〔Ⅰ〕 動労千葉を先頭に切り開いた1〜3月決戦の画歴史的地平

 世界金融大恐慌は依然として進行している。それはますます発展し深化して、世界を争闘と分裂、戦争の時代へと引きずり込みつつある。この激動の中で、日帝は帝国主義の最弱の環として、ますますその脆弱(ぜいじゃく)性をさらけだしてきている。
 この日帝が帝国主義間争闘戦で延命していくためには、大失業と戦争、そして財政赤字の天文学的巨大化、伝統的な自民党的政治支配の崩壊、民主党・連合政権としての民主党政権の登場という現実のもとで、労働者階級とのいま一段の階級的決戦によって労働者階級の階級的団結を破壊し、労働者階級を帝国主義的抑圧体制に組み敷くしかない。
 このような観点からみるとき、国鉄−JRをめぐる労働者階級との攻防のもつ重要性は計り知れない。日本における新自由主義の全面展開は、1980年代の国鉄分割・民営化の強行によって初めて可能になった。しかし、動労千葉の断固たる闘いと1047名解雇撤回闘争が展開され、23年以上も持続してきたことは、日帝ブルジョアジーとその階級支配にとって重大な破綻点を形成するものであった。
 そして、国鉄の分割・民営化に断固反対する闘いが国鉄—JR戦線に顕在化しつつある中で、新自由主義は破綻し、JR自身もその新自由主義的あり方の矛盾の爆発によって行きづまってしまうことになったのだ。新自由主義が歴史的に破綻しきったその証左が今日の大恐慌であるのに、その現実から逃れるための彼らの政策は、またまた新自由主義的手法を極限まで進めるしかないのである。
 現在、JR東で強行されようとしている検修・構内部門の全面的外注化は、分割された国鉄をさらに何十、何百もの子会社に分割して民営化・民間委託化するものである。これによって、労働者の組合的団結を粉々に分解し、賃金を2分の1化、3分の1化してしまう大攻撃である。
 また、すでに進行しているライフサイクル攻撃も、国鉄分割・民営化のもとでのゆがんだ、間違った要員政策・要員削減のつくりだした要員不足問題を労働者を犠牲にしてのりきるものだ。若い運転士を兵役のように駅務などに動員し、ハンドルを奪ってしまう攻撃である。しかしこれは鉄道産業としてみるとき、運転保安上の危機を必ずつくりだすものであって、鉄道事業としての自己否定への道にほかならない。
 日本の新自由主義化攻撃の最基軸としてあった国鉄分割・民営化攻撃に唯一真っ向から対決し、労組の階級的団結を堅持しぬき、新自由主義を根幹のところで打ち破った動労千葉は、その後の長い間の分割・民営化路線にもとづく組合破壊攻撃をはね返して国鉄戦線に断固屹立(きつりつ)してきた。この動労千葉が今、歴史的に打ち固めてきた組合的階級的団結、そしてその時代認識と反合理化・運転保安闘争の路線をもって、大恐慌下で強行されるJRの第2の分割・民営化攻撃というべき検修全面外注化攻撃、ライフサイクル攻撃との闘いに総力をあげて決起したのである。そして、この10年1〜3月において4波のストライキを敢行し、その成果を組織拡大へと結実させる闘いに全力で突入している。
 JRこそ新自由主義下の日帝の矛盾と脆弱性を集中的に表現するものである。鉄道産業のもつ総合性ということも含めて、JRでの安全・運転保安確立の闘争を軸とする反合闘争の路線は、他の諸産別の闘いにも必ず普遍的に通底する階級的本質をもっている。
 1〜3月の国鉄決戦はこの意味で、4大産別を始め全産業的にもそれぞれの職場での〈反合・運転保安闘争路線>を創造的に形成しつつ、動労千葉(動労水戸・動労西日本—動労総連合)のストライキを自らも担うべきストライキとして、階級的一体的に闘われたのである。この点でも巨大な意義がある。
 動労千葉の4波のストライキと動労水戸・動労西日本のスト決起を軸に、さらに2・13東日本本社包囲、3・20イラク反戦、3・28三里塚の大集会・デモが展開され、職場生産点のスト闘争と反戦・沖縄・三里塚・法大の諸闘争が、「大恐慌をプロレタリア世界革命へ」の革命性をみなぎらせて実現した。このことの意義も計り知れない。これは、国鉄決戦の数年がかりの大爆発を軸に、4・28〜5・15を突破口とする沖縄決戦(反戦・安保・沖縄決戦)の大爆発へと直結していくものとしてかちとられている。
 ここに、第1の国鉄分割・民営化との闘い、第2の分割・民営化攻撃との闘い、そして大恐慌下の大失業と戦争への全闘争が、一つの階級的労働運動の白熱的爆発としてついに一体となったのである。国鉄決戦に勝利し、それをプロレタリア世界革命へと発展させるべき闘いが、本当に現実的に第一歩を歩み始めたのである。
 また、三里塚決戦、法大・全学連の決戦も、そして全戦線のすべての闘いも、プロレタリア革命に向かっての帝国主義との大闘争の巨大な流れに合流して一体化し、ともに闘う情勢がついに切り開かれたのである。

 〔Ⅱ〕 解雇撤回闘争根絶の攻撃を全労働者の総決起で打ち破れ

 (1) 「4・9合意」の粉砕こそJR体制打倒への突破口

 この闘いをさらに前に推し進めるために何よりも必要なことは、日帝の総力をあげた国鉄1047名闘争の全面解体・圧殺策動を、闘う全労働者の怒りの爆発によって粉々に打ち砕くことである。そして、大失業攻撃に立ち向かう労働者階級の闘いの真っただ中に、解雇撤回を掲げて闘う1047名闘争の不屈の旗を全労働者の結集軸としてあらためて打ち立て、JR体制打倒へ攻め上ることだ。
 政府と4党が出した最終的な「解決案」なるものは、その一字一句が分割・民営化による不当解雇を真っ向から正当化し、1047名の23年間の闘いを踏みにじった断じて許すことのできないものである。1〜3月の動労千葉を先頭とする第2次国鉄決戦の強力な発展、つまり革命の断固たる前進こそが、あらゆるペテンを打ち破ってついにこの「解決案」を引きずり出し、「政治和解」なるものの「密集した反革命」ともいうべき反動的正体を自ら暴露させるにいたったのである。これを徹底的に粉砕することが、革命の次の大前進への道を開く。
 まず、この「解決案」なるものの形成と推移は次のようなものである。
 ①昨年12月、民主党の小沢一郎を中心に与党3党の幹事長・国対委員長が集まり、国労本部など4者4団体との「和解案」作成に直ちに入ることを決定した。
 ②12月末から4党(与党3党+公明党)の担当者が2月下旬までに10回も会合を重ねた。
 ③2月初旬には鳩山の参院決算委での答弁が演出された。
 ④2月23日、各党担当者が解決案素案(2・23案)をまとめた。
 ⑤3月3日、4党担当者案(3・3案)決定。
 ⑥3月18日、3・3案を一部修正して出された4党の申入書(3・18案)が国交相に提出された。
 ⑦4月9日、政府と4党が3・18案を大きくつくりかえた最終案で合意し、署名。4者4団体幹部が即日、受諾を発表した。
 こうした時間的流れをみても、動労千葉などの1〜3月闘争の圧殺のために、4者4団体派が必死になってことを急いだことは明らかである。しかし、この昨年12月からの与党3党+公明党の激しい動き、2・23案→3・3案→3・18案→最終案への内容的展開をみても、鳩山政権、ひいては日帝ブルジョアジーがきわめて強力な意思をもって、この「解決案」策動を推進してきたことは明白である。
 敵階級は、今日の大恐慌下で動労千葉と11月集会派が1047名解雇撤回闘争の大旗を握り、JRでの第2の分割・民営化攻撃粉砕闘争と1047名闘争とが一体化していくことをなんとしても阻止しようと必死になったのだ。日本の労働戦線の基本的支配構造を下から革命派が引っくり返していくことに、心底から恐怖したのである。国鉄決戦はいよいよ史上最大の決戦過程に突入したということである。

 (2)涙金と買収の金銭和解で23年間は売り渡せない

 政府と4党が最終的に打ち出してきた4月9日の「解決案」は、その反階級的本質をきわめて鮮明な形で示している。
 結論的に言えば、これは「国鉄分割・民営化は正当である」「JRに法的責任なし」「旧国鉄による解雇にも何の瑕疵(かし)もない」「09年3・25判決の550万円の支払いで十分」といった内容を、完膚なきまでにはっきりと徹底的に確認しているということである。4者4団体幹部は自己の裏切りをごまかすために、「雇用・年金・解決金」の3項目が解決案に反映されるなどと言いふらしてきたが、実際にはこの3項目すべてが完全に踏みにじられている。
 「解決案」は4党の申入書と政府・4党の合意書という二つの文書からなっている。その骨子は次のようなものである。
 ▼和解金は、原告910人に対して高裁判決金(550万円に延滞利子がついたもの)が1人平均1189万3750円。プラス訴訟費用等として1人あたり374万円。
 ▼国労本部など4者4団体に支払われる団体加算金が約58億円。
 ▼①すべての訴訟を取り下げる、②不当労働行為や雇用の存在を二度と争わない、③政府はJRへの雇用について努力するが採用の保証はできない、の3点を原告団の全員が承認し、正式に機関決定することを「解決案受け入れの条件」とする。
 これは何を意味するのか。

 「雇用」「年金」は拒否

 第一に、「雇用」はまったくのゼロ回答である。「解決案」は受け入れの条件として、政府は雇用を「保証できない」「JRによる採用を強制することはできない」と明文をもってはっきり言い切った。これは、1人も採用されなくても文句を言うなという宣言以外の何ものでもない。しかもこの条件を原告団全員があらかじめ承認せよ、4者4団体が機関決定して確認せよと迫っている。
 また、2・23案以来鳴り物入りで宣伝されてきた「雇用助成金」は影も形もない。雇用との関連で要求していた、闘争団員が運営している事業体への支援金(2・23案で18億円、3・18案で10億円)も、跡形もなく吹き飛ばされてしまっている。
 第二に、「年金」もゼロ回答だ。2・23案では「解雇で消滅した期間の年金相当分約1300万円」となっていた。ところが3・3案では「年金」の文字が消えて「生活補償金」に性格が変わり、3・18案では「雇用救済金」となり、最終案ではついにその言葉すらなくなった。
 第三に、「解決金」については、呼び名が「和解金」に変わり、「原告1人につき2200万円」などと、あたかも一人ひとりに2200万円という金額が支払われるかのようなデマゴギーが大々的に流されている。これはとんでもない大ウソ、インチキだ。
 2200万円とは、原告への「和解金」と4者4団体に支払われる巨額の「団体加算金」とを合体させ、それを1人当たりいくらと計算して出した数字にすぎない。原告に支払われる額は「高裁判決金」と「訴訟費用等」の計1563万3750円だ。しかもこの「訴訟費用等」は、それまでの「年金相当分」や「生活補償金」や「雇用救済金」に当たる部分が一切なくなった代わりに突然出てきた、積算根拠も不明な得体の知れないものである。この項目は、本来は原告に支払われるべき金を弁護士に渡し、弁護士を買収するために、最終段階で意図的に設けられたと考える以外にない。
 したがって、闘争団に支払われるのは、結局は高裁判決の550万円とその利子、計1189万3750円だけだということである。それもあくまで「平均値」だ。実際には多くの闘争団員が、それよりさらに下回る額しか受け取れない。このどこが「路頭に迷わない解決」か! これをペテンと言わずして何というのか。

 4者4団体に58億円

 第四に、一層許せないのは、これも最終案で突然出てきた「団体加算金」だ。原告に支払う金が2・23案の2950万円から3・18案の2406万円へ、最終案でさらにその半分以下へと大幅に減額されたその代わりに、4者4団体に58億円もの巨額の金が支払われる。
 この58億円は、4者4団体が「国鉄清算事業団を解雇された者1029人の生活面の支援を続けてきた」ことへの見返りとして支払うのだ、と説明されている。分割・民営化当時に「斡旋(あっせん)に応じて再就職した者の雇用主に支払われていた」金を参考にして算定した額だという。したがって離職者への支援金ですらなく、解雇者の再雇用に応じた資本家に政府が国鉄分割・民営化への協力金として支払ったのと同じ性格のものである。
 しかもここでは動労千葉が明確に排除されている。「1029人」という数字は国労闘争団966人と全動労争議団63人の合計である。1047名から動労千葉争議団9人と組合未加入の解雇者9人を除いた数字が1029人なのだ。また動労千葉争議団9人は鉄建公団訴訟の原告でありながら、今回の「和解金」の支給対象である910人の中には入らず、最初から除かれている。さらに、1029人と910人の差の119人は訴訟を提起しなかった被解雇者であり、彼らには事実上、一銭の金も支払われない。
 すなわちこの「団体加算金」は、動労千葉の排除と1047名闘争解体のためにこそ設けられたといってよい。動労千葉以外はすべて完全に奴隷的に屈服させる。そのための4者4団体幹部に対するあからさまな買収費用として、この58億円があるのだ!
 この金は、「団体の判断により今後の原告等の就職活動、自営業の資金等に活用することも可能」と言うが、要するに4者4団体の一部幹部のもとに濡れ手に粟(あわ)のような巨額の金が転げ込むのであり、その使途は彼らの裁量に一切が委ねられるのだ。国労本部などのダラ幹が「政治和解」の名のもとに実は自らの私腹を肥やす陰謀が、この過程で進行していたということである。なんというおぞましさ!

 全闘争の放棄が条件

 第五に、さらに最も重大であり断じて許すことができないのは、「解決案受け入れの条件」である。政府と4党の最終合意文書の最大の主眼はここにある。この条件は実にすさまじいものだ。すべての訴訟を取り下げるだけではない。「不当労働行為や雇用の存在を二度と争わないこと」「解決金は最終のもの」「今後一切の金銭その他の経済的支援措置は行われない」と言い放っている。「二度と」「最終」「一切」という言葉はきわめて凶暴で異様だ。まるで「罪人」に向かってものを言うような言い方である。
 JRへの雇用について、「採用を強制することはできない」「保証できない」と明記したのも異様だ。通常の和解文書ならここまでは書かない。
 これはもはや「和解文書」の形態をとってはいるが根本的に異なるものだ。ここで政府と4党は、闘争団に対して“お前たちは解雇されたんだ”“本来なら救済される資格などない存在だ”と牙をむきだしにし、“お情けをかけてやるのだから今後は一切闘わないことを誓約しろ”と迫っているのである。1047名闘争に対するこれ以上の侮辱はない。
 しかもこの条件を「原則原告団910名全員」がのみ、かつ「正式に機関決定」をしない限り、一銭の金も払わないぞと居丈高に宣言しているのだ。「原則」という言葉が入っているのは絶対反対派の闘争団員の存在を意識しているからであり、反対派の原告を一人残らずつぶせ、それが「政治和解」の最大の条件だということだ。
 もっと重大なのは、「不当労働行為や雇用の存在を二度と争わない」という文言には、通常ならあるはずの「本件」に限定する言葉は一切ない。これは解雇撤回闘争など今後一切やるな、放棄しろということだ。これを労働組合の正式の機関決定にせよというのである! しかもそれを、4者4団体のもとにある全労働組合に強制しようとしているのだ。不当労働行為や解雇を「二度と争うな」と労働組合に要求することは、労働組合に対する事実上の解散要求だ。まさに究極の労組破壊、労働運動つぶしである。
 4者4団体幹部はこれらすべてを丸のみし、即座に受け入れを表明した。まさに前代未聞の大裏切りだ。そして6月30日に、訴訟の取り下げと金の一括支払いを同時に行うことを決定した。それまでの間に反対派をたたきつぶして、「受け入れ条件」をすべてクリアすることを政府・4党に約束したということである。
 国交相の前原は9日、政府・4党の合意発表に伴う談話の中で「今回この問題の解決が図られたとしても、国鉄改革には、いまだ完全民営化を果たしていないJR三島会社(JR北海道・四国・九州)やJR貨物の自立をはじめ、未解決の課題が残されています」と、「国鉄改革の完遂」に一層全力をあげると言っている。第2次国鉄分割・民営化攻撃を徹底的に進め、JALにしたような極限的な首切り合理化の嵐に、再び全国鉄労働者を、さらには4大産別を始め全労働者をたたき込もうとしているのだ。だからこそこの「政治和解」を、労働者階級にとってとことん屈辱的なものにし、それをつうじて労働組合の完全な変質と全労働運動の絶滅をたくらんだのだ。
 昨年12月以来の全過程は、政府・4党とJR資本・日帝ブルジョアジーが4者4団体にこれをのませるために、4者4団体幹部や弁護団を露骨に買収し、一層の全面屈服を要求する過程として進行したのである。そして4者4団体幹部と弁護団を牛耳る一部の弁護士は、58億円もの「団体加算金」や原告1人あたり374万円=総額34億円の「訴訟費用等」という巨額の金と引き替えに、この買収に応じ、今や日帝の1047名闘争圧殺攻撃の完全な手先となって登場したのである。

 (3) 絶対反対の闘争団員こそ全労働者の階級的魂だ

 総じて言えば、この「解決案」なるものは、とてつもない大攻撃である。国鉄分割・民営化という希代の大反革命、20万人の首切りと200人以上の自殺者を出した不当労働行為の極致というべき「いったん全員解雇、選別採用」という大攻撃を考えるとき、「550万円プラス利子」などというペテンでこの「解決案」をのめと闘争団員に強要することは、労働者への襲撃にも等しい行為である。1047名闘争の23年の長い苦闘に対して、また、国労組合員の誇りにかけ、労働者として人間としての生き様をかけて闘った多くの人びとに対して、こんな解決案で階級的全面屈服を強制することは断じて許されない。
 しかし、この闘いは、過去の評価の問題にとどまらない。分割・民営化をめぐる攻防は今もJRで続いている。しかもJR体制の打倒か否かをかけた重大な決戦局面を迎えている。この時に、分割・民営化との闘いの幕引きを図るとは何たる裏切りか。「第1の分割・民営化は正当、JRに法的責任なし」と認め、ましてや「JRの事業の発展に協力する」などと言って、今日の第2の分割・民営化と少しでも闘えるのか。ライフサイクルや検修全面外注化の攻撃は、第1の分割・民営化の必然的帰結であり、その矛盾の爆発を取り繕う反革命なのである。
 分割・民営化攻撃そのもの、JR体制のあり方そのものへの根底的対決なしに、どんな闘いもできない。現実には今、JR総連内も含めて、平成採の青年労働者を先頭に、第2の分割・民営化への反撃の闘いがすでに始まっているのである。そしてさらに、動労千葉・動労総連合と国労共闘を先頭としたこの第2次国鉄決戦は、4大産別を始めとした全青年労働者、労働者全体の怒りと結合して、大きなうねりになろうとしている。国鉄戦線の革命的流動化が一大反響を呼び起こし、日本の階級的労働運動の再生への道が切り開かれつつあるのである。
 今次「政治和解」を推進し、これをもって1047名闘争を解体しようとする者は、この第2次国鉄決戦に対する階級的裏切り分子であり、必ず動労千葉と11月集会派への反革命的敵対勢力となり、権力・ブルジョアジーの手先と化していくものとなる。
 だが1047名闘争とそれを支える労働者の大半は必ず、この「解決案」のあまりの反革命性に階級としての誇りにかけて反対し、決起する。すでに国労闘争団の中から絶対反対派の闘争団員の不退転の決起が始まっている。分割・民営化への23年もの怒りと闘いは、金で売り渡せるものでは断じてない。労働者階級の本質的な革命性において、大分岐と決起は必至である。
 「政治和解」策動に、今こそ階級的鉄槌(てっつい)を加え、粉々にしよう。むしろこの「解決案」という名の反革命をたたきつぶすことで、第2次国鉄決戦の炎は圧倒的に燃え盛っていく。革命の波は労働戦線を必ずなめ尽くしていくであろう。
 1047名闘争の革命的貫徹を! 
第2次国鉄分割・民営化粉砕、検修全面外注化粉砕、ライフサイクル粉砕、国労中央および4者4団体の腐敗した幹部を完全打倒し一掃して、動労千葉・動労総連合と11月集会派の大前進をかちとり、日帝打倒・プロレタリア革命への道を今こそ驀進しよう。

 〔Ⅲ〕 国鉄決戦と4〜5月沖縄決戦の一体的推進で勝利を開こう

 (1) 大恐慌と戦争への突入は革命的情勢の決定的成熟

 国鉄決戦の圧倒的推進を基礎に、今こそ4〜5月沖縄決戦に突入しよう。
 世界金融大恐慌が爆発し、深化し、発展しつつある中で、帝国主義の世界体制・世界経済体制は未曽有の危機に陥っている。この中で米帝を先頭に、各国が国家をあげ、古典的といえる形で帝国主義的通商貿易政策を遂行し、なりふり構わない市場争奪戦、資源争奪戦に突入している。そしてますます相互絶滅戦的な争闘戦へと突き進んでいる。
 大恐慌の爆発で暴露された過剰資本・過剰生産力はまったく解決されず依然として温存されている。財政投入はすでに膨大すぎるほどに行われているが、大失業の重圧下で国内市場は長期不況から根底的に脱却することはできない。投資が投資を生んでいく動きが経済の内側から本格的に起きてくるとはならないのだ。さらに財政を投入するしかないが、今度はそれが一層大きな危機をつくり出す危険がある。あまりに巨大な国債の発行は必ず国債の暴落を引き起こし、ひいてはインフレと通貨の暴落を引き起こす。とくにアメリカ帝国主義のドル暴落は、とてつもない破滅的結果を米帝と世界経済にもたらす。
 今、このプロセスはじりじりと進行している。すでに一定の形で破綻が始まりつつある気配がある。

 帰結は戦争か革命か

 はっきりさせておいた方がよいことは、米帝の場合、いや日本、欧州、中国なども、かつて29年大恐慌からの脱出過程でルーズベルトがアメリカ経済に投入したような巨額の財政投入を、すでにこの08年〜10年の過程でやってしまっていることだ。しかし、それでも大恐慌が引き起こした大不況情勢は、本格的には打開されないのである。
 今日、景気は「底打ち」「回復過程」などという話が流されており、確かに一定の相対的回復はある。しかし帝国主義ブルジョアジーや金融ブローカーたちが望む、かつての大好況のような方向にはけっして向かわない。
 帝国主義論的にいっても、歴史的事実からいっても、こうした大恐慌から大不況の地獄へという行き詰まりの中で、帝国主義がやることは同じだ。帝国主義権力を動員しての輸出の促進であり、市場の奪い合いであり、資源の奪い合いだ。世界の帝国主義は今、また中国などの大国も、ほとんど同時に同じ危機に陥っている。これは、今回の大恐慌が29年恐慌よりもはるかにすごいところだ。世界同時大恐慌=大不況なのである。
 これが今からいよいよ帝国主義間・大国間の争闘戦として爆発していく。そして帝国主義間争闘戦の最後の言葉は軍事力、軍事的力関係であり、究極的には戦争の力である。イラク戦争も、アフガニスタン戦争も、こうした「大恐慌と戦争」という条件のもとで今、新たな意義を付与され、アクセルが踏まれつつある。イランをめぐる情勢もいよいよ煮つまっている。
 最も恐るべきことは、中国の超大国的膨張とその軍事力強化に対し、米帝は、中国の力がこれ以上強まれば米帝の軍事力がもはや十全に展開できない危機に陥るとして、危機感を爆発させていることである。この間米帝は、台湾への武器供与問題や中国・元のレート問題などをめぐって、中国との間にきわめて厳しいパワーゲームを展開しており、相互にぎりぎりの状況下での対応関係に入っている。
 要するに、大恐慌は同時に新たな世界戦争への道を開いたということだ。レーニン帝国主義論を現代的に適用することが今、労働者階級にとって不可欠になっているということである。

 (2) 米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒へ

 米帝の沖縄基地についての基本的態度も、大きくは、こうした情勢によって決まっている。米帝にとって、中国問題、あるいはアジア・太平洋問題、また対日問題という点から言っても、沖縄の米軍基地、または「基地沖縄」という現実への徹底した執着は激しく、絶対に手離したり、機能の低下を許容したりすることはない。ギリギリのところで米帝の取る態度はきわめてハードなものとしてある。
 日帝と安保・自衛隊の動向について言えば、日米間の矛盾や争闘戦はいよいよ激しくなっているが、米帝の今日的・圧倒的な経済的・軍事的実力と日帝のそれとの格差に規定され、また、日帝の敗戦帝国主義としての戦後史的階級関係に規定されて、日帝は、日米安保体制強化の形態のもとでの日帝の軍事大国化という戦後の路線を大きく超えた行動には簡単には踏み出せない。鳩山内閣も、対米自立的な一定の言動があっても本格的に踏み出すことはできない状況にある。日米安保と沖縄基地について、基本関係を動かせる状況にはない。
 しかし、ここで重要なことは、鳩山政権は平時の通常の政権ではなく、帝国主義の根底的危機の爆発の時代に、連合のダラ幹勢力を取り込んで、労働組合の勢力を半ば政権内に取り込むことで成立したボナパルティズム的性格を持つ政権であるということだ。このことから鳩山政権は事実上、普天間基地について、「最低県外、海外」への移転という誓約を沖縄県民に対してしたということである。しかも決定的なことは、この鳩山の誓約を沖縄県民(プロレタリアート)が全県的な圧倒的な大衆行動の力で打ち固め、さらに名護市長選において、県内への移転はどんなものでも許さないとする人物を市長に選出したことである。
 つまりここでは、鳩山のボナパ的でペテン的な本質を持っていた「県外、海外」という言葉に、階級的大衆行動によって階級的実体を打ち込み、一つの現実的力関係を形成したということである。そして、これはさらに4〜5月、全県民のゼネスト的決起への力となって発展しつつあると言っていい。
 鳩山は、5月末までに移転先を万全な形で決定すると言っているが、米帝は辺野古新基地建設という現行案か、普天間の現状の継続しか承認しないとみていい。逆に沖縄県民(プロレタリアート)は、どんな形のものでも沖縄県内に建設することは断じて容認しないという点で、きわめて固い。また、現行案については、民主党自身が自民党との関係でも事実上放棄している。これを侵せばほとんど内閣総辞職間違いなしの問題である。「分散移転」などと言って鹿児島県徳之島などを狙っているが、すでに4200人の決起で基本的に粉砕されている。これを力で押し切ることは政権の崩壊に直結する。はっきり言って、鳩山に出口はないのである。
 ここで、基本的に押さえるべきことは何か。それは、大恐慌が大失業と戦争を生み出すという情勢の真っただ中で、沖縄基地問題で日米安保体制がガタガタになるということだ。すなわち米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒という革共同の沖縄綱領的内容が、一定の突破口を切り開くことができるということだ。日米安保の一角に大きな風穴を開けることも可能なのだということだ。
 何よりも、労働者階級の総決起によって、また、沖縄的には全県民型のプロレタリアートのゼネストによって、普天間基地即時撤去、辺野古移転絶対粉砕の闘いを展開し、階級的力関係の革命的変革をかちとっていかなければならない。鳩山内閣を参院選を待たず粉砕することは、文字どおり日本の政治危機の極限的爆発を意味する。あらゆる形での、政党の分裂や離合集散がありうる。
 しかしこれは、もはやプロレタリア革命か反革命的ブルジョア独裁権力の凶暴化か、の二つに一つしかない非和解的な階級的大激突として進行するのである。革共同は今こそプロレタリア世界革命の旗を掲げて、階級的労働運動路線の白熱的展開をとおして、労働者階級の革命的階級形成に向かって驀進しなければならない。

 職場と街頭の結合を

 さて、再び5月に向かっての沖縄決戦論自体に戻れば、この闘いはまず第一に、何よりも国鉄決戦を基軸に驀進することを土台にして進む。その上で、日本(本土)のプロレタリアートは、沖縄県民=沖縄プロレタリアートの反戦・反安保的な革命的決起に、プロレタリアートとして完全に連帯する闘いを階級の総力をあげて闘う必要がある。さらにこの闘いは、実は「改憲・戦争、民営化=道州制攻撃・労組破壊」という帝国主義の新自由主義攻撃との闘いそのものであることを確認しなければならない。
 さらに言えば、資本は国内で労働者同士を分断し競争させ、搾取し収奪するが、それは対外的には外国の労働者と競争させ、対立させ、ついには戦争で殺し合わせることで海外の利権を握り、収奪と搾取を行い、超過利潤をがっぽりと稼ごうとしているのだということ。つまり、国内で労働者と労働者を分断して搾取することと、海外で他国の資本と闘うために労働者同士を戦わせるというのは、全一体として帝国主義の労働者支配のメカニズムを形成するのだ。レーニンが帝国主義論で説いている戦争論はまさにこれである。
 したがって労働者階級は、生産点における労働組合的団結、階級的・党的な団結を圧倒的な基盤としつつ、生産点から街頭にいたるすべての地点で反戦政治闘争に爆発的に決起する必要がある。
 今こそ、レーニン帝国主義論とレーニン戦争論から徹底的に学び、実践しなければならない。革共同は、3全総でも、70年決戦でも、また80年代や90年代においても動労千葉の闘いと結合しつつ、こうした闘いを貫き通してきたことをはっきりさせよう。
 沖縄のプロレタリアートと本土のプロレタリアートがともに国鉄決戦を闘い、それと固く結合して米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒に総決起していくことである。沖縄の基地労働者の決起を最先頭にして、この闘いをかちとろう。5月から6〜7月へ、日本階級闘争の決戦に次ぐ決戦を、本質的にはすさまじい内乱的闘いとして圧倒的にかちとろう。そして、プロレタリア革命とプロレタリア独裁の樹立に向かって突き進もう。
 ここで今ひとつ付け加えるならば、この国鉄と沖縄での決戦は同時に三里塚決戦であり、法大決戦であることを明確にして前進しよう。また、沖縄決戦の反戦・反安保的爆発が、アメリカのプロレタリアートや韓国のプロレタリアートとの国際連帯を圧倒的に強めることを自覚しよう。カリフォルニアの教育労働者の闘いが高校への軍のリクルートをめぐる怒りとして爆発したこと、韓国の労働者が常に戦争の危機の中で生きていることを、忘れてはならない。
 国鉄決戦の爆発こそ、こうした沖縄決戦論を大いに膨らませる土台を与えているのである。逆に、反戦政治闘争の前進がまた国鉄決戦の大爆発へと返っていく。こうした闘いを縦横に展開できる党へと革共同は飛躍しよう。
 そして60年安保闘争も、70年安保・沖縄闘争も、80年代の国鉄分割・民営化阻止決戦をも超える大闘争を数年がかりでつくり出し、プロレタリア革命をグイと引き寄せる力をつくり出していこう。