■News & Review 韓国 民主労総が2・25国民ゼネストへ総力決起

月刊『国際労働運動』48頁(0451号02面01)(2014/03/01)


■News & Review 韓国
 民主労総が2・25国民ゼネストへ総力決起
 朴槿恵退陣、民営化・鉄道労組弾圧粉砕へ

(写真 朴槿恵退陣!民営化・年金改悪阻止!鉄道労組弾圧粉砕! 民主労総決意大会【1月18日 ソウル駅前広場】)

1・18民主労総決意大会を開く

 「朴槿恵(パククネ)退陣!民営化・年金改悪阻止!鉄道労組弾圧粉砕! 民主労総決意大会」が1月18日午後2時30分からソウル駅広場で開催された。
 大会でイヨンイク鉄道労組委員長職務代理と地方本部長たちが舞台に上がり鉄道労働者たちの今後の闘争を決意した。シンスンチョル民主労総委員長は「今、朴槿恵政府と権力と資本の果てしない貪欲に満ちた世の中を止めなくてはならない。彼らが言う民営化はより大きな貪欲、資本の果てしない貪欲を満たすためのものであり、民衆の幸福ではない。それがまさにわれわれが闘う理由だ。民主労総と連帯するすべての国民とともに力を合わせてこの地の民衆の新しい歴史を書こう。鉄道労働者たちの闘争と民主労総ゼネストはいま始まった」と2・25国民ゼネスト闘争の成功を決意した。

二大労総の公共部門が特別対策委を結成

 朴槿恵政府が昨年末から「公共機関正常化対策」という名で公共機関の団体協約を全面攻撃している。1月末の大統領ワークショップを前に各公共機関に団体協約改悪推進計画提出を強要している。これに対して昨年12月24日、公共運輸労組・連盟保険医療労組、金融労組、公共連盟、公共労連など二大労総(民主労総、韓国労総)所属の当該労組は「欺瞞的な公共機関正常化対策粉砕のための特別対策委」を構成した。
 特別対策委は1月23日、38の重点管理機関労組代表者会議で機関別労使交渉、協議を拒否して、共同対策委員会の対政府交渉要求を中心に共同対応などの闘争を決意した。

保険医療労組などが医療民営化阻止へ

 保険医療労組は1月15~16日に行われた全国集中・支部長専従幹部修練会をとおして闘争本部発足式を持ち、朴槿恵政権の医療民営化政策と営利資本から国民の健康権を守るために産別組織の命運をかける全面闘争を宣言した。
 保険医療労組は△2月25日国民ストライキに組合員上京闘争△医療民営化阻止汎国民対策委員会結成△4月7日保険の日汎国民闘争△4月全体組合員教育及び汎国民キャンペーン△4月臨時国会日程に合わせて医療民営化阻止総力闘争△5月1日メーデー全国労働者大会総力組織△5月地方選挙闘争に医療民営化を強行する朴槿恵政権とセヌリ党審判闘争及び6月臨時国会で医療民営化強行時に産別ゼネストなどを決意した。
 1月28日、108の労働、市民社会、保険医療団体が「医療民営化阻止と医療公共性強化のための汎国民運動本部」(以下汎国本)準備委員会発足を宣言した。汎国本(準)は「朴槿恵政府が発表した保険医療投資活性化対策は医療を営利化、産業化に追い込む重大な分岐点になるしかない。国民には医療費暴騰、医療院と病院労働者には構造調整の結果をもたらすものであり、これは災難であるばかりだ。汎国本(準)は財閥企業の強欲とその強欲を煽る政府の傲慢さに抗して自らの生活を守るための全国民的闘いをつくっていく」と明らかにした。
 汎国本(準)は医療民営化阻止100万人署名運動、全国的なロウソク集会、国民行動の提案を行っていく予定だ。2月中には汎国本の正式発足を予定しており、医療民営化解説10問10答、国民認識度調査発表とあわせて4月初めに医療民営化反対汎国民大会を推進する。

KTX民営化阻止へ鉄道労組弾圧を糾弾

 1月27日、民主労総と鉄道労組をはじめとするKTX民営化阻止汎国民対策委、民営化反対共同行動が記者会見を開いた。1月21日、国会の鉄道発展小委員会で発表された鉄道公社の「経営改善及び負債削減方策」によると「仁川空港鉄道と五つの民間資本駅舎持株売却、地方路線一般列車運行縮小と料金引き上げ、鉄道労働者の構造調整」が盛られている。記者会見で参加者たちは「民営化の災難が現実化している。朴槿恵政府は鉄道民営化は絶対しないと強調したが、一方で鉄道売却を推進しており二律背反的な動きを見せている」と国土交通部とコレールに計画撤回を強力に要求した。
 一方、1月22日には鉄道労組弾圧糾弾全国同時多発記者会見が開かれた。鉄道公社は現在523名を懲戒委員会に回付、202名の告訴・告発に続き、多数の組合員に強制配転などの脅しをかけている。152億900万㌆の損害賠償請求と組合費116億㌆の仮差し押さえ申請でも足りずに鉄道公社は慰謝料10億㌆まで請求している。これに対して民主労総は全国17の駅舎で同時多発記者会見を開き、労組弾圧を糾弾した。

旧正月帰郷宣伝戦、全国50余カ所で

 1月29日、旧正月帰郷宣伝戦が全国で行われた。民主労総は2・25国民ストライキの成功のために全国の主要鉄道駅舎とバスターミナルで帰郷宣伝戦を大々的に繰り広げた。宣伝物はハンギョレ21特別パンフレットで〈鉄道、医療民営化、年金改悪、公務員、鉄道労組弾圧〉など民主労総ゼネストの主要議題とミリャン送電鉄塔、KBS受信料引き上げ、国家情報院の大統領選挙介入など多様な議題を扱っている。
 宣伝戦は民主労総加盟傘下組織と民言連、鉄道対策委など市民社会団体と共同で行われた。全国の主要駅舎とターミナルの50余カ所で行われた。今回の帰郷宣伝戦は国民ストライキ組織化の熱気が熱く、例年よりも大々的に展開された。

2・25ゼネスト実務準備が真っ盛り

 1月18日、民主労総総力決意大会以後、2・25ゼネスト準備のための組織実務準備が真っ盛りだ。民主労総の指導委員と役員たちは個別事業場と地域別巡回懇談会を開催しており、旧正月以後には全国巡回が一層本格化している。また加盟傘下組織の組織担当者会議、教育宣伝担当者会議が引き続いて開かれた。組織担当者会議では加盟組織別ゼネスト準備を点検して、教育宣伝担当者会議では加盟組織の教育宣伝点検と国民ストライキ宣伝に対する意見集約が行われた。2月17日から25日までは集中宣伝週間として多様な形式の宣伝戦を準備している。
 (大森民雄)
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KTX女性乗務員闘争の8年後

非正規職よりも劣る正規職の現状

 2006年、KTX女性乗務員たちは鉄道産業外注化による大量整理解雇を阻止するために延々3年にわたる闘争に突入した。それから8年たった2014年現在、KTX女性乗務員たちは、コレール観光開発㈱という鉄道公社子会社の職員になっている。
 06年当時、鉄道公社の期間制非正規職だった乗務員たちは「コレール観光開発」に移籍して正規職になった。あれほどに願っていた「正規職」の夢が実現されたわけだった。しかし「KTX乗務員の2番目の涙をぬぐってやるための現場証言および懇談会」に参加した女性乗務員たちは非正規職にも劣る労働条件に置かれている現状を次のように証言している。
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 イジョンミンさんは「毎週2回頭髪検査、手の爪の検査、靴の検査、耳飾りの検査、メークアップの検査などがあって、中間考査と期末考査もあって、評価に入れられる奉仕活動もある」として「担任先生の役割をするチーム長もいて、よく見られなければ昇進できない。しかし校長先生の役割をする支社長ににらまれたらこれも水の泡だ」と吐露した。
 思い切り髪も短くすることができない。医者に診断書を出して、チーム長の許諾を得て、やっと髪を切って短髪にすることができる。鉄道と航空者などをひっくるめて、ズボン着用を禁止するのもKTX女性乗務員が唯一だ。さらに会社は「顧客応対時、目の高さを合わせるサービス」を試行するという名目で、下着が見える姿勢での「跪きサービス」を強要する。モニタリング結果に反映するものだというので拒否することができない。
 乗務員たちを最も極端に追い込めるのは「長時間労働」だ。鉄道公社は直接雇用の乗務員の労働時間基準とは異なる、長時間変形勤労方式をKTX乗務員たちに適用している。キムヨンジュン鉄道労組局長は「週40時間勤務をする一般会社員の出勤後退勤までの拘束時間が月平均186時間であるのに反して、KTX女性乗務員の場合、出勤から退勤までの時間合計が月232時間に達する」と説明している。
 しかし232時間は基本勤務にだけ該当する時間だ。会社は「休日先充当」という名で本人の同意なしに毎月追加で1~2日の休日勤務を追加で強制する。そうなれば乗務員たちは月250時間以上、週あたり最大60時間以上を会社で送ることになるわけだ。会社に束縛されながら2回往復勤務をしなければならない。変形勤務形態も月3~5回程度続く。非常待機組もなく随時に勤務時間変更を携帯メールで告知してくる。
 イジョンミンさんは臨時列車充当を拒否したなどの理由で解雇されたりもした。イジョンミンさんは昨年4月、夫が出張で出た間に子どもを幼稚園に連れていくために2日間の休暇を願い出た。しかし1日だけ受け入れられ、残りの1日は午前10時30分出勤だった。子どもを幼稚園に送るには十分な時間だから関係ないと考えたが、急にパート長から「臨時列車発生でスケジュールが午前5時30分に変更された」という携帯メールが飛んできた。会社側に願い出てみたが返ってきたのは「個人の事情を聞いてやることはできない」という言葉だけだった。
 イジョンミンさんは「同意なく出勤時間を変えるのは就業規則とわが社の社規に違反するということを知っていた私は『同意できない』と言い、本来の出勤時間の10時30分に出勤した」と説明した。その後、会社は不当な待機勤務を要求する携帯メールを送り、イジョンミさんはこの状況に対処するためにバンド(インターネット上のSNSの一種)を作った。
 イジョンミンさんは「その後、臨時列車充当勤務を拒否し、カカオトークとバンドなどに書き込みをして臨時充当拒否などを扇動したという理由で懲戒委員会に回付され、昨年5月10日に解雇された。その後、再審請求をやって職級が下がる降格の懲戒を受けた」とぶちまけた。
 過度のモニタリング(背面監視)と感情労働強要も乗務員たちの精神的苦痛を加重させている。乗務員のイヘミンさんは「感情労働者としてスマイル症候群が生じるほどに義務的に微笑むわれわれに対して『モニタリング』というおぞましい制度がある。このモニタリングというのは1年中、毎日毎日行われる」と説明した。
 毎日行うが、モニタリングの標的になる職員は決まっている。イヘミンさんは「1月に2回ずつモニタリング対象になる乗務員がいるかと思えば2カ月になっても3カ月になっても1回も対象にならない乗務員もたくさんいる」と明らかにした。
 懲戒を受けたイジョンミンさんの場合、標的モニタリングに苦しんでいる。イジョンミンさんは「懲戒を受けて勤務する間は標的モニタリングじゃないかと疑われるモニタリングを受けて警告状も発布された。普通、モニタリングは午前9時から午後6時台であるけれど、私は夜11時にもモニタリングを受けた。面接の期間中にも私にモニタリングがなされたのだが低評価の理由は大部分『微笑まない』だった」と説明した。もしモニタリング点数が3回連続90点未満の場合、サービス三振アウト制で会社を辞めなければならない。
 はなはだしくは最近、乗務員にからみついた乗客が、それを拒絶した乗務員に報復のクレームをするということが発生した。イヘミンさんは「乗務員たちはこのクレームで警告措置を受けた。また、会社は当時移動をしていた乗務員たちが特室の空いた座席に座っていたとして特室の空いた座席を利用してはならないという告示までも張り出した」と明らかにした。
 鉄道労組コレール観光開発ソウル、プサン支部が昨年12月、組合員たちを対象にアンケート調査をした結果、77・6%が「勤務時間があまりにも長くて家庭生活や社会生活に支障がある」と答えた。休日先充当と休日奉仕活動、CS教育参加などの理由も勤務評価・昇進のため(59・2%)。会社ににらまれると思って(32・3%)などの答えが多数だった。
 キムヨンジュン局長は「鉄道公社は2006年、期間制非正規職だったKTX乗務員たちを子会社の正規職に採用したら雇用や労働条件などの問題が解決すると主張した。しかし8年が過ぎた今、KTX乗務員の労働条件はむしろ2006年以前の期間制非正規職だった時よりも劣悪になった」と説明した。