▼特集 争闘戦下のアメリカ労働運動 Ⅲ 日韓米連帯で世界革命を――国鉄・原発・反弾圧が柱

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月刊『国際労働運動』48頁(0452号03面03)(2014/04/01)


▼特集 争闘戦下のアメリカ労働運動 Ⅲ
 日韓米連帯で世界革命を――国鉄・原発・反弾圧が柱

(写真 UTLA【ロサンゼルス統一教組】の賃上げ要求集会【13年11月13日】)

韓国・民主労総2・25ゼネストに連帯行動

 韓国の国鉄民営化に反対する鉄道労組の昨年末の23日間のストライキとその闘いを民主労総全体に拡大してそれを軸にし、農民や中小商店主、医師、市民運動なども含む闘いに発展させたのが、韓国民主労総の2・25国民ゼネストだ。
 東京、北海道、九州で開催された「国鉄分割・民営化で不当解雇から27年―2・16労働者集会」に韓国鉄道労組から熱いメッセージが寄せられた。韓国鉄道労組の闘いは、動労千葉を先頭にした日本の国鉄闘争と同じ闘いだ。日本、韓国、そして世界の国鉄闘争が、世界革命を実現する時が来たのだ。
 日本では、2・25当日、韓国の闘いに連帯して、JR貨物本社抗議闘争が闘われた。
 アメリカではサンフランシスコの日本総領事館前で、同地域の労働組合の結集体であるサンフランシスコ労組評議会が参加して、2・25連帯、総領事館抗議闘争が闘われた。地域内の労組だけでなく東海岸のILA(港湾労働者組合)の副委員長で、ILAローカル1422委員長のケン・ライリー氏など多くの闘う人々が結集した。
 ロンドンでも鉄道・海運・運輸労組(RMT)を中心にして連帯闘争が行われ、オーストラリアでも海運労組や機械労組が連帯している。南アフリカのANC新自由主義政権と闘い、COSATSU(南ア労働組合会議)体制内指導部との決別をかけて闘っている南ア製造業労組も、韓国鉄道労組の闘いと結びついている。
 鉄道民営化との闘いは、あらゆる公務員、教育労働者への民営化との闘いと同じだ。
 韓国全教組への労組非公認化攻撃への闘いとの連帯は、全世界に広がり、日本の11月集会に参加した時に全教組とも交流したアメリカのUTLA(ロサンゼルス統一教組)執行部のアーリーン・イノウエさんは熱烈な連帯メッセージを送っている。
 UTLAに対しても、激しい民営化攻撃がかけられている。オバマ政権は、ブロード財団(不動産王の教育民営化資金財団)が運営する教育長養成学校の卒業生で、マイクロソフトのビル・ゲイツ財団の幹部でもあった人物を新教育長に送り込んだ。新教育長は、学校の統合や閉校を連発し、チャータースクール(公設民営校)化を進めている。「保護者の苦情」を口実にして活動家を追い出し部屋に隔離し、組合を破壊する攻撃をかけてきている。こうした中で、UTLAの闘う路線をかけて今、執行部選挙が闘われている。
 自動車産業の中心地、デトロイトでは、裁判所が市そのものの破産申請を承認し、一方では、公営住宅からの住民の追い出し=不動産売却などによる大銀行への負債返済を実行するとともに、他方では市職員の年金のカット、401k(確定拠出型=給付不確定型)年金への転換を強行している。イリノイ州では、公務員年金のカットは州憲法違反であるが、《破産管理は憲法に優先する》としている攻撃だ。これに屈服している既成執行部とランク&ファイルの激突が始まっている。
 サンフランシスコ、シカゴなど全米各地で金融資本による住民追い出しに反対する住宅占拠闘争などが、地域全体の労働運動の闘いとなり広がっている。
 中曽根政権の「戦後政治の総決算」、世界の新自由主義の突破口となった国鉄分割・民営化との闘いが今、世界革命への突破口となった。
 03年11月集会以来の日韓米労働者国際連帯は、領土・靖国で排外主義をあおる安倍政権のペテンを一瞬のうちに粉砕する力をもっている。
 何が「自虐史観」だ!
 労働者は、お前らのために非正規職化され、戦場に送られるほど自虐的ではないぞ!

イリノイ大学シカゴ校で非正規職・ワーキングプア化にストで反撃

(写真 「組合の要求を拒否するならストしかなくなる」。イリノイ大学組合の正規職と非正規職は、当局との交渉に組合員がともに参加した)

 今年2月18日、シカゴ地域で最大の大学であるイリノイ大学シカゴ校(UIC)の800人の教員が労働条件改善・協約締結を求めて2日間ストに決起し、学生などの支援者も合わせて、1000人がピケットラインに立った。同校史上初のストだ。2万7500人の学生の授業が取りやめになった。
 教員たちは、12年7月に労働組合を結成したばかりである。UICには、雇用継続保障がある教員と保障されていない教員がいる。前者は、研究と教育の二つに携わり、後者はもっぱら教育に携わる。博士号を持った講師の年収が300万円しかない。それで次学期の雇用がなくなったら生きていけない。
 この二つの層は分断され、団結を作るのが困難だが、ここではそれを克服するために全力を挙げた。雇用継続の講師・研究者がますます削られ、保障のない講師=非正規職が増やされる中で、両者の団結以外に前者も今後の展望がないからだ。
 そのために、ストに先立って繰り返し行われた団体交渉では、二つの層の教員の統一要求を掲げて、それだけは譲らなかった。そうして、スト権投票率78%、スト賛成95%という団結力を作り出した。
 シカゴは、オバマの地元であり、オバマ政権大統領府のトップだったラーム・エマニュエルが市長になっている。オバマ政権の公務員非正規職化、教育の民営化・非正規職化政策のモデル地区になっている場所だ。
 ここでの教育労働者の決起は、全米の注目の的となっている。

バークレー校学生の大学営利化反対・移民連帯占拠闘争

(写真 大学営利化と移民強制送還に反対し、建物占拠とデモ【14年2月13日 カリフォルニア大学バークレー校】)

 2月13日、カリフォルニア大学バークレー校の学生たちは、同校のブルームセンターを占拠し、大学で大デモンストレーションを行った。カリフォルニア大学の総長に任命されたオバマ政権の国家安全保障省長官ナポリターノがバークレーに来ることに抗議し、総長とブルーム理事の辞任を求める実力闘争だ。入管局を配下に持つ国土安全保障省長官ナポリターノは200
万人の移民を強制送還した張本人だ。ナポリターノと投資銀行家ブルームが組んで、州予算の大学への支出に反対し、民間銀行資金で大学を運営してぼろ儲けしている。
 学生を借金地獄に引き込む大学営利化を粉砕し、移民労働者・移民学生と連帯してこの闘いが行われたのだ。生きるための闘いと国際連帯は直接につながっている。

反核・反原発は世界の労働者の闘い

 福島原発の放射能は、世界を汚染している。
 上空の偏西風と太平洋の海流に乗って到達した放射性物質のため、アメリカ西海岸も深刻な被害にあっている。
 当局に弾圧されながらチェルノブイリ被害報告を出したアレクセイ・ヤブロコフ氏らの報告書を翻訳出版し、科学的に原発被害を研究しているニューヨーク科学アカデミーのジャネット・シャーマン氏らの調査によれば、福島事故後、カリフォルニア州サンタクルス、サクラメント、サンフランシスコ、バークレー、サンノゼで、死産率が上昇しているという。
 また、サンディエゴ大学教授の研究によれば、西海岸の魚の生息にとって決定的な重要な各地の昆布の密生地で、放射能に汚染された昆布が見つかり、ヒトデの死滅が起きている。またアラスカのアザラシは出血しているという。
 動労千葉と連帯してきたワシントン州のILWUローカル21は、アメリカ最大の核兵器生産地、ハンフォードの放射能汚染地域の下流にあり、原子力への怒りは大きい。

米空母レーガン乗組員の被曝への怒りの決起

 3・11後の「トモダチ作戦」で米空母ロナルド・レーガンの乗組員が大量に被曝した。福島原発から出た放射能の風の多くは西から東に吹き、陸上に降り注いだ量より海上に落ちた量のほうが多い。
 空母ロナルド・レーガンの甲板員は降り注ぐ放射性のチリの掃除をさせられた。乗組員たちの飲料水、料理用・入浴用の水は、海水を淡水化装置にかけただけのものだった。トリチウム、セシウムなど大量の放射性元素を取り込み、内部被曝した。
 この乗組員が米軍の抑圧をはねのけて、79名も東電を相手に10億㌦(約1000億円)の損害賠償訴訟をしている。これは、核と原子力の総本山、アメリカ帝国主義体内からの大反乱の始まりだ。
 被曝させられた自衛隊兵士の反乱とともに、この「制服を着た労働者」の決起は、プロレタリア世界革命の戦略的な柱だ。

韓国労働者階級の反核・反原発

 韓国・朴槿恵政権が、隣国で福島事故があったにもかかわらず原発を推進していることへの労働者人民の怒りは大きい。
 韓国の「脱核連帯」など、多くの団体が、闘っている。
 たとえば、昨年の日比谷野音で行われた11・3全国労働者集会で発言した解雇者復職闘争特別委員会のイホドン氏は、韓国発電労組の委員長として、鉄道労組やガス公社労組とともに02年2月の全面・無期限共同ストライキを指導した人だ。韓国の原発労働者は日本の福島原発闘争とともに闘う仲間なのだ。
 北朝鮮の核問題が焦点になるなかで、韓国の原発――核開発との闘いは、韓国労働者階級にとって特に決定的な位置を持っている。
 「核には核で対抗するしかない」というソ連スターリン主義以来の思想は、核問題だけでなく、労働運動全体を変質させた。「科学の精華=原子力は巨大な生産力」「巨大な生産力が社会主義をもたらす」という思想も、スターリン主義から、それを批判したはずの第4インターにまで広がり、重大な労働運動全体の変質をもたらした。
 ひと言で言って「労働者には力はない」「巨大な力に頼るしかない」という思想を左翼的、戦闘的な労働運動に植えつけたのだ。また他国の労働者の頭上に核を落とす非人間性への自然な憤りを「科学的社会主義」の名で「感情に流されるな」と押し殺す役割をしてきた。労働者同士の連帯、団結を破壊してきた。
 労働者自身が労働者階級を解放する力に確信を持ち、生き生きと伸び伸びと闘い、団結を強めていくために、反核・反原発闘争がカギになる。
 昨年の11月集会をみるだけで、すでにそれが大きく始まっていることがわかる。

星野闘争の国際連帯

 沖縄闘争の先頭に立って、デッチあげの無期投獄されながら、「誰もが人間らしく生きられる社会」を求めて帝国主義と不屈に闘い続けている星野文昭同志と妻暁子さんの闘いは、世界の政治犯、そして闘う労働者階級とつながっている。
 アメリカの無実の死刑囚(現在は減刑された)ムミア・アム=ジャマル氏も、元旦に釈放をかちとった政治犯リン・スチュアート弁護士も星野闘争と直接に連帯している。
 民主労総は、韓国の軍事独裁政権下の弾圧の中から決起した労働者たちが作ったものだ。弾圧との闘いで全世界の労働者が団結する。この闘いの中にある労働者階級の真の人間性、連帯と団結を回復する力があらゆる労働者の運動を引きつけ、結合していく。
 世界革命は始まっている。
 国鉄決戦を柱に労働者階級の基盤、労働組合をよみがえらせ、革命に勝利しよう。