■News & Review 韓国 朴槿恵政権への怒りのローソク集会「セウォル号惨事は虐殺だ!」と責任追及

月刊『国際労働運動』48頁(0455号02面01)(2014/07/01)


■News & Review 韓国
 朴槿恵政権への怒りのローソク集会
「セウォル号惨事は虐殺だ!」と責任追及

(写真 光化門清渓広場で開催されたローソク集会【5月24日】)

第2の「ローソク政局」に向け拡大

 「セウォル号惨事は虐殺だ」と真相究明と責任を追及するローソク集会が「朴槿恵(パククネ)退陣ローソク政局」とも呼べる勢いを持って広がっている。
 5月17日にソウル都心で5万人の大規模ローソク集会が行われた。5月10日の安山(アンサン)の文化広場を埋め尽くす2万余人の大規模ローソク集会から1週間後だ。5万余の集会参加者は集会後に都心行進に出た。この過程で一部参加者が鍾路3街(チョンノサンガ)から青瓦台(チョンワデ)方向に行進を試みたが安国(アングク)洞の現代(ヒョンデ)車社屋近くで警察兵力に妨げられ座り込みに突入した。その座り込みを解散しようとした時に警察が奇襲して一般交通妨害罪で115人の参加者を大規模連行した。
 5月22日には各界各層で構成される「セウォル号惨事国民対策会議(国民対策会議)」が正式発足した。この間、500余の団体は「セウォル号惨事対応各界円卓会議」を構成して公式機構発足を論議してきた。国民対策会議は円卓会議に参加していた500余の市民社会、労働、農民、学会、宗教界などを含み総610の団体が参加している。
 5月24日には、3万余の市民が参加して「セウォル号惨事第2次汎国民ローソク行動―千万人の約束」が光化門(クァンファムン)の清渓(チョンゲ)広場で開かれた。市民たちは、セウォル号遺族と国民の参加が保障され独立的な権限を持つ真相究明調査委員会構成および特別法制定を要求した。
 集会の後、都心行進をした。この行進の中で民主労総組合員など労働者市民2千余人が普信閣(ポジンカク)
前十字路から青瓦台に向かって進もうとして警察と衝突し、その過程でユギス民主労総事務総長、チョンギュソク金属労組委員長、ソンギョンドン詩人、労働党の地方選挙候補者10余人などを含む30余人が警察に連行された。
 5月31日にも2万人が集まるローソク集会が行われ、光化門広場へ行進しようとした5人が連行された。

(写真 集会後のデモ行進【5月24日】)

民主労総が6月総力闘争突入を宣言した

 民主労総がセウォル号惨事問題解決のために6月末、全組織的な総決起闘争に立つ。総決起闘争突入前には時局大会と労働者共同行動などの組織的行動を配置してセウォル号惨事と労働懸案問題解決のために6月闘争を準備する。
 5月28日に開かれた中央執行委員会で確定された方針だ。シンスンチョル民主労総委員長は記者会見文で「民主労総は政府の政治弾圧に積極対応することを決意し、セウォル号惨事対策のための6月闘争計画を宣布する。6月28日全国的な大規模総決起で責任回避無能政権を審判するものである」と明らかにしている。 
 (大森民雄)

(写真 2013年5月2日「8年ぶりの出勤」を成し遂げた時のキリュン分会組合員たち。左から2人目がユフンヒ分会長)



■インターネット新聞プレシアンへの寄稿
サムスン電子前野宿8日目... 彼らが耐えることができる理由
「ご飯一食、靴下一足」に遊びに来てください 金属労組キリュン電子分会長 ユフンヒ

金が天の世の中

 5月25日は水雲(スウン)崔済愚(チェジュウ)が人はすなわち天だという「人乃天思想」を掲げて東学を創始した日でした。ところが今、大韓民国は金がすなわち天の世の中です。政府と資本と保守マスコミらは毎日、競争と効率、規制緩和と非正規職化を叫んでいます。
 「銭乃天思想」が覆い尽くした大韓民国、金が最高の社会で人は最も安い費用です。効率と規制緩和はセウォル号皆殺しとサンワンシムニ地下鉄追突事故を呼び起こしました。貪欲(どんよく)な資本の前に全羅北道(チョルラプクド)のシンソン旅客バス労働者は命を投げ出さなければなりませんでした。
 去る17日にはサムスン電子サービス労働者が世を去りました。ヨムホソクは41万㌆(約
4万円)の月給しかもらえないのに「私たちの組合員のお父さんがまだ病院におられる。病院費が山のように積もっている。交渉が終わったらすぐ病院費を準備してくれ」という遺書を残した善良にも善良な34歳の青年でした。

夜逃げキリュン電子の詐欺売却疑惑と籠城場侵奪

 キリュン電子のチェドンヨル会長は1895日の闘争を経て作り出した正規職雇用の合意を守りませんでした。彼は労働者たちの賃金を遅配して昨年末に夜逃げしました。私たちはキリュン電子の建物の詐欺売却疑惑を明かにして企業詐欺師チェドンヨル会長を処罰せよと籠城(ろうじょう)を始めました。
 5月21日昼12時40分ころ、裁判所の執行官と用役警備が4名の女性組合員が守っているキリュン籠城場に乱入しました。法院の執行官10余名は籠城場に上がってきて強制執行をすると言いました。組合員たちは、建物の詐欺売却をしたのだと言って、強制執行はやってはならないと説明しました。
 女性労働者たちが、什器(じゅうき)を持ち去ろうとするのを阻止しようとすると、執行官は待機していた40余名の男性と女性用役たちを呼びました。40代の女性用役がオソクスン組合員の胸を足で踏みつけて「このアマ踏まれて死んじまえ」と叫びました。
 4~5名の女性用役たちは女性組合員を完全に捕縛して動くことができなくした後、什器を運び始め、ハシゴ車を利用するために荷物を屋上に運びました。私が現場に到着した時、組合員たちは1階のロビーの外に引きずり出されて泣き叫んでいました。
 一瞬本当にどうしたらいいのか分からず、当惑して涙があふれてきました。どれほど耐えて闘ってきたことか? 籠城場侵奪の報を受けた同志たちが駆けつけてきて、とうてい突き抜けることができないようだったところに空間が開けました。キリュン組合員たちはロビーに入り込んで対峙しました。

キリュン電子籠城場侵奪を防ぐことができた力

 その時、驚くことに警察が投入されて、連帯に来た労働者たちを遮断して取り囲みました。何も見えませんでした。私は屋上に登って行きました。涙が出ました。8階の階段で泣き叫びながら屋上に向かう間ずっと多くの労働者がこんなふうに死に追いやられたのだろうという考えが浮かびました。
 飛び降りるぞと叫びました。チェドンヨル会長を道ずれに死ねないならこの国も死ぬのだと泣き叫びました。そんなふうに切迫した気持ちで闘わなかったら、この状況が終わらないだろうと思いました。3時間の激烈な抵抗を見ながら執行官は荷物を持って行くことをあきらめて、用役と警察は一緒に籠城場から降りていきました。
 たくさんの人が傷つきました。女性用役に踏みつけられたオソクソン組合員は左の肋骨と右の手首を骨折して入院しました。多くの組合員と労働者たちが全身にあざができて、血が出ました。報を聞いて駆けつけた人たちの熱い心があったのでやっとのところ籠城場を守ることができました。
 いつまた籠城場侵奪があるか分かりません。しかし今日のように黙ってはおらず、共に抵抗して籠城場を守ります。同志たちがいて幸福な一日でした。
 今この時間、サムスンという貪欲な「セウォル号」から聞こえてくる声はとても残酷です。「サムスン電子サービスに通っていて、とても苦しく腹が減って死にそうだ」とみんなの助けになることを願うと書かれたチェジョンボム烈士の遺書と、「これ以上誰の犠牲も痛みも見ることができず、組合員の辛い姿も見ることができないように私を捧げます。労組が勝利する日に火葬してチョンドンジンに撒いてください」というヨムホソク烈士の遺書とはあまりにも似ています。
 ところが家電製品さえもう一人の家族だと言っていたサムスン電子の見えない手がおかしくなったのでしょうか。警察は葬礼式場に乱入して死体を奪取して、遺言どおりに葬礼をするという労組指導部を連行して拘束しました。生母に催涙液をふりかけて烈士の遺骨を奪取して行きました。

遺骨奪取、マスコミにはサムスンの広告だけ

 その日、マスコミにはサムスンの背倫と蛮行ではなくサムスン電子の全面広告が載せられました。私はものすごい無限権力を見ながらとても腹が立ちましたが、正直恐ろしくなりました。キリュンのように小さな資本でさえあのように粘り強く持ちこたえて警察を動員するのに、金も権力もすべて持って公権力の上に君臨するサムスン資本に労働者たちはどうして勝つことができるのか?
 しかしサムスン電子サービスの労働者たちは人間の最小限の礼儀と廉恥さえも捨てた野蛮のサムスンに対して困難な闘いをたくましく続けています。仕事の手を止めてソッチョ洞のソウル本社前に上ってきて2週目になる籠城を続けています。この労働者たちのために私たちは何をすることができるでしょうか?
 昨年12月、サムスン電子サービスの故チェジョンボム烈士の娘の、父の居ない初誕生日を共にした「星がきらめく初誕生日祝い」が思い出されます。心を分かち合いお互いの手を握ることが必要だと考えます。2008年の夏、キリュン電子の屋上で60日を超える断食をしている時、駆けつけてくれた人たちが思い出されます。2010年秋に掘削機の上で絶叫する時、手を握ってくれた人たちが目に浮かびます。
 悲しみは分かち合えば半分になり、喜びは分かち合えば2倍になると言います。私たちの小さな実践がサムスン電子サービスの労働者たちに暖かいご飯一食を分かち合い、靴下一足を分かち合う場になったら良いと思います。
 キリュン電子の状況はそんなに容易ではありません。籠城場侵奪がいつあるかも分かりません。ある組合員は用役警備の暴力によって入院しています。組合員たちは全身アザだらけです。シンデバン洞キリュン電子籠城場は病室のようなありさまです。
 しかしサムスン電子サービスの労働者と共にするために飲食を準備しようと思います。昨晩の雨風で寒さに震えただろう労働者たちに、温かい牛肉スープを持っていこうと思います。援助でもらった靴下セットも持っていこうと思います。28日夕、サムスン電子本館前で暖かい連帯と希望の話を分かち合えたらと思います。