■国際労働運動の暦 11月25日 ■1912年バーゼル宣言■

月刊『国際労働運動』48頁(0458号06面01)(2014/11/01)


■国際労働運動の暦 11月25日
 ■1912年バーゼル宣言■

「戦争を革命へ」提唱 切迫する帝国主義戦争に対して階級的対決掲げた第2インター

 バーゼル宣言とは、1912年11月にスイスのバーゼルで開かれた第2インターナショナルの臨時大会で採択された、切迫するヨーロッパ戦争に対する共産主義者の闘争宣言である。
 戦争に対する闘いは、インターナショナルの最も重要な課題であり、たえずその階級的な態度を明らかにしてきた。1907年8月に開かれたシュトゥットガルト大会では、レーニンはローザ・ルクセンブルクとともに、ドイツ社民党のベーベルの出した決議案に対して、「社会主義者は戦争によってつくり出された危機を大衆の決起と資本主義の打倒のために利用する義務がある」という修正案を出し、採択された。10年のコペンハーゲン大会は、シュトゥットガルト大会の決議を確認した。
 バーゼル大会は、当時のバルカン戦争と、切迫していたヨーロッパ戦争に関連して招集された臨時大会だった。バーゼル宣言は2日目の11月25日に満場一致で採択された。それは、まず、シュトゥットガルトおよびコペンハーゲン大会で決定した「反戦闘争の指導原則」を確認している。「戦争勃発の防止に全力をつくすこと」「それでもなお戦争が勃発したばあいには、そのすみやかな終結のために力をつくし、戦争のもたらした経済上ならびに政治上の危機を、国民をゆりおこすために利用し、それによって資本主義的階級支配の排除を促進するよう極力つとめることが、その義務である」
 宣言は迫りくる戦争が、どちらの側からも「資本主義の利潤や王朝の利益のために行われる戦争」であるとして、真っ向から反対している。そして、1871年のパリ・コミューンを例に挙げて、戦争の危機を革命に転化することをうたっている。また、「大会は、万国の社会主義諸党と労働組合とが戦争にたいする戦争の点で完全に一致したことを、満足をもって確認する」とうたい、労働者階級の国境を越えた団結が戦争を阻止する力であることを鮮明にしている。 
▼社会排外主義者の裏切り
 こうした素晴らしい宣言を発したにもかかわらず、第2インターナショナルは1914年に第1次世界大戦が勃発すると、次々と戦争支持勢力に転落してしまった。最大の党員数と国会議員数を誇ったドイツ社会民主党は、8月4日の国会で戦時公債に賛成投票し、公然と戦争に加担した。ロシアでは、ロシア社会民主労働党の創始者の一人であるプレハーノフが、戦争を支持した。
 レーニンは「第2インターナショナルの崩壊」などでドイツ社会民主党の頭目であるカウツキーを厳しく弾劾した。レーニンはその中で、バーゼル宣言を「戦争と戦争に対する戦術についての社会主義者の見解を最も正確かつ完全に、最も厳粛に正式に叙述したものである」と言っている。
 「バーゼル決議が、この戦争は『なんらかの国民的な利益のためというような口実によって、いささかなりとも正当化されるものではない!』と述べているのは、まさに『ヨーロッパの大強国』間の現在の戦争についてなのである!」
▼8・17宣言の意義
 第1次世界大戦から100年(つまり第2インターナショナルの崩壊から100年)の今年7月1日、日帝・安倍は、集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、世界に向かって憲法の破棄と戦争に乗り出すことを宣言した。この歴史的事態に対し、8月17日、国際連帯と労働者の団結を掲げた大集会が開かれ、「日比谷宣言」が採択された。「世の中の『1%』の資本家と支配者が、資源や市場や勢力圏を奪い合うために『99%』の人民を動員するのが戦争です」と、戦争の階級的本質をきっぱりと暴き、「戦争を阻止する力は、国境を越えた全世界の人々の連帯と団結です」と、戦争に対する対決の道を鮮明に示している。これこそ、バーゼル宣言を引き継ぎ、貫徹するものである。
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バーゼル宣言抜粋
 大会は、社会主義インターナショナル全体が外交政策上の諸原則の点で一致していることを確認する。大会は、万国の労働者にむかって、資本家の帝国主義にプロレタリアートの国際的連帯の力を対置するよう要求する。大会は、万国の支配階級にむかって、資本主義的生産様式がもたらす大衆的貧困を、戦争行為によってさらにひどくすることに警告を発するとともに、厳粛に平和を要求する。諸国政府は、ヨーロッパの現状と労働者階級の気分にかんがみれば、自分自身にとっての危険をおかすことなしには戦争をおこすことはできない、ということを忘れないでほしい。......
 大会は、万国のプロレタリアおよび社会主義者諸君にむかって呼びかける。この決定的な時機に諸君の声をとどろかせよ! あらゆる形式で、またあらゆる場所で諸君の意志を公示し、議会で、堂々と諸君の抗議を申したて、大衆的な大示威運動に結集し、プロレタリアートの組織と力がもつあらゆる手段を利用せよ! 政府がプロレタリアートの油断のない、熱情的な平和意志にたえず注意するよう配慮せよ! こうして、搾取と大衆的殺害の資本主義世界に、諸民族の平和と友好のプロレタリア的世界を対置せよ!(岩波文庫 レーニン『帝国主義』付録)