2008年3月24日

北延伸阻止!市東さんの農地強奪許すな! 斉田 猛

週刊『前進』06頁(2336号5面1)(2008/03/24)

 北延伸阻止!市東さんの農地強奪許すな!
 労農同盟の革命的発展かけ3・30三里塚に全力結集を
 絶対反対貫き軍事空港廃港へ
 斉田 猛

 3・16イラク反戦5周年・全世界一斉デモは、青年労働者・学生の躍動的な決起を先頭に全国17都市でかちとられた。参加者は、民族抑圧と軍事占領をイラクで続けるアメリカ帝国主義とそれに加担する日本帝国主義への怒りを爆発させ、労働者の決起で革命をやりぬく決意と展望を共有した。次は3・30三里塚だ。労農連帯・国際連帯の不抜の砦(とり
で)三里塚に、反対同盟の呼びかけにこたえ全国から大結集しよう。

 第1章 最末期帝国主義が三里塚破壊の攻撃

 国際帝国主義が最末期的な危機にのたうち回っている。世界金融大恐慌の現実化はアメリカ帝国主義の歴史的な没落の現れである。わが物顔に世界に戦争を持ち込み、貧困と格差拡大を推し進めてきた米帝は、最後の延命策も無力となったのだ。日本帝国主義はこの中で最も深刻な打撃を受けている。一切の危機と矛盾を労働者階級に押し付け、搾取と収奪を強め、戦争・改憲・民営化・労組破壊の攻撃を一層激化させる以外にない。そして総資本の延命のためにアジアへの侵略と勢力圏化へ突き進もうとしている。
 そのためには最も遅れた部門の航空・農業の自由化が最重要課題だとして、経済連携協定(EPA)、自由貿易協定(FTA)をとおした東アジア経済共同体構想(アジア・ゲートウェイ戦略)を推し進めようとしている。中小の農家はつぶしてしまえ、空港を広げジェット機をがんがん飛ばせ、ということだ。
 三里塚闘争はそこに圧倒的存在感で立ちはだかっている。国策である成田空港の完成を、42年間にわたって実力で阻んできた。ここに労働者と農民の革命的連帯の砦が築かれている。
 この砦を突き崩すために今、日帝・福田政権、国土交通省、成田空港会社(NAA)は全体重をかけてきた。暫定滑走路の北延伸工事、市東孝雄さんの農地を強奪する攻撃だ。あらゆる不法・脱法行為をも総動員して、農民をたたき出そうと躍起になっている。こんなことを許してなるか。
 3・30は労働者農民の闘いの砦を守り、08年決戦の突破口を切り開く決定的な闘いとなった。全国から総決起しよう。

 第2章 北延伸は追いつめられた敵のあがき

 国鉄分割・民営化攻撃を粉砕し勝利した動労千葉とともに、そして全国の労働者・学生の闘いと一体となって、三里塚闘争は80年代の「新自由主義」攻撃を真っ向から打ち破り、「空港絶対反対・農地死守・一切の話し合い拒否」の原則を貫いて勝利してきた。
 この労農学の最強の砦を破壊するため、動労千葉・4大産別の労働運動への破壊攻撃と軌を一にして、以下のような攻撃が現地で激化している。
 暫定滑走路飛行直下の東峰部落では、朝の6時から夜中の11時まで農家の頭上40㍍をジェット機がのべつ幕なしに“威嚇飛行”を行っている。深夜11時以降は、轟音(ごうおん)をふりまいて北延伸関連工事のクレーンが稼働する。その上さらに、「3月からは騒音の激しいコンクリートはがし工事を夜中にやる」と通告してきた。こんな生活破壊の土木工事が行われている場所が、日本のどこにあるだろうか。
 「東峰の森」を伐採して強行する新誘導路工事は、「東峰部落を東西に分断し、西側を空港の中に取り込んでしまう」(萩原進さん)ことを狙いとしている。6月には国道51号線の切り替えトンネルの運用を開始しようとしている。また暫定滑走路北端の「クリーンパーク」ではダイオキシン違法埋め立ての工事を強行している。
 こうした中、年間飛行回数の30万回化(現在の1・5倍)と開港30周年キャンペーンを宣伝している。
 まさにNAA、政府・国土交通省ら総ぐるみでの常識はずれの違法・脱法、国家犯罪の数々。
 実際に北延伸計画は、仮にすべてができあがっても「滑走路は短すぎて使い物にならない」とNAA前社長の黒野匡彦自身が認めている。NAAの09年度株式上場・完全民営化はさらに延期となった。
 結局これらの常軌を逸した攻撃の数々は、空港反対農民に圧力をかけ追い出そうとする敵のあがきだ。だが42年闘ってきた反対同盟がこんなことで屈服するはずがない。反対同盟はますます意気高く、自らの正義を確信し、団結を強化し、成田空港建設の非道を弾劾しぬいて闘っている。反対同盟が存在するかぎり「暫定滑走路の3500㍍化」は絶対に不可能だ。
 あの寸断され、いびつでぶざまな空港の姿を直視してみろ。警察機動隊・私服刑事・ガードマンらを大量動員しなければ一日たりとももたない現実を考えてみろ。三里塚闘争を闘う農民・労働者・学生こそが成田空港の命運を握り、主導権を堅持している。この現実から、NAA・国交省は一瞬たりとも逃れられない。

 第3章 「FTA粉砕!」へ労農の一大反乱を

 80年代の新自由主義攻撃は、国鉄労働者および4大産別―すべての労働者に「民営化」の暴圧として襲いかかった。それとともに農民に対しては、農業切り捨て攻撃の本格化として始まった。 80年代、米価据え置き、日米農産物交渉・アメリカ農産物の輸入拡大として開始された農業での新自由主義政策は、91年の牛肉・オレンジの輸入自由化に行き着き、95年には、戦後農政の柱であった食糧管理法(政府による米買い上げ)の廃止にまでエスカレートした。
 そして現在、「攻めの農業」と称する300万戸農家絶滅の攻撃が吹き荒れている。その最大の焦点がFTA、EPA拡大の攻撃だ。2国間の貿易関税をなくす協定である。これは一方で農産物市場の明け渡しによる農民切り捨て攻撃であるが、他方でその攻撃の矛先は労働者階級自身に向けられている。「貿易自由化」の行き着く先は果てしない国際競争の激化、労働力の大量の流動化と非正規職化、民営化・低賃金・労組破壊をとおした労働者階級の団結破壊である。
 現在、対オーストラリアでは4回目のEPA交渉が行われ、対韓国のFTA交渉も再開の方向が決められた。韓国の民主労総と農民連盟のように、労働者と農民の連帯したFTA反対闘争が今まさに求められている。
 農民もけっして中途半端な条件闘争で「折り合いをつける」ことのできない、帝国主義との非和解的対立の時代に完全に突入した。農業破壊は国鉄分割・民営化攻撃、教育基本法改悪攻撃、郵政民営化攻撃、地方自治解体・道州制攻撃、司法反動攻撃といった、戦後体制の転換――改憲攻撃と一体なのだ。
 労働運動の体制内勢力が次々と無力と破産を示すように、既成農民団体も何ら具体的方針を出せない現状だ。そうした中で「三里塚に希望を見いだしたい」という農民が次々と現れている。資本主義は農業問題を解決できず、帝国主義は矛盾を激成させる。農民・農業問題はプロレタリア革命によってしか解決できない。2千万人の「ロストジェネレーション」と呼ばれる世代の青年労働者が、「生きさせろ」と叫んでいる。マル青労同、マル学同の同志たちはその先頭で「革命」の2文字を真っ向から掲げて闘っている。むき出しの農民切り捨てが始まった現在、三里塚が日本農民の先頭で闘うべき時がやってきたのである。

 第4章 青年の決起こそが社会変革の原動力

 市東孝雄さんの農地取り上げを阻止する闘いは、この労働者と農民の未来をかけた階級攻防の先端に位置している。「農地法で農地を収用する」という前代未聞の脱法行為での農地強奪のたくらみと農業・農民破壊攻撃は完全に一体だ。「市東さんの農地を守れ」の声は、ますます拡大している。「車の両輪」としての動労千葉との固い血盟を軸に、全国の労働者、農民、学生が立ち上がり、さらに「市東さんの農地取り上げに反対する会」など新しい運動が活気づいている。
 3・30集会は三里塚闘争と労農連帯の新段階を切り開く決戦突入集会だ。三里塚闘争は、帝国主義の攻撃を打ち破り、目に見える形で勝利を積み重ねている反戦・反権力の砦だ。反対同盟が42年間貫いてきた「農地死守、空港絶対反対」の闘争原則の力強さを共有しよう。労農学市民の大結集で市東さんの農地を絶対に守りぬこう。
 さらに、成田軍事空港の廃港へ闘おう。
 イラク侵略戦争が泥沼化する中、米帝は米軍再編攻撃を沖縄を始め全国で強めている。習志野駐屯地には「成田空港防衛」の新型ミサイル(PAC3)が配備された。
 イージス艦による漁船沈没事故は、太平洋でのSM3ミサイルの発射実験後の軍事行動中に引き起こされた。戦争のためなら農民・漁民・労働者の命や生活など押しつぶしてお構いなし――これが支配階級の本音なのだ。絶対に許せない。
 PAC3の成田移動展開訓練を阻止しよう。「成田市国民保護計画」を粉砕しよう。空港内労働者、成田市など周辺自治体労働者と団結して、今こそ成田軍事化を阻止し、空港廃港への闘いを強める時だ。
 3・30集会を突破口に、生活破壊の工事強行を許さず現地攻防に勝利しよう。さらに成田、芝山、多古など地域住民と連帯して阻止・弾劾の闘いを展開しよう。
 裁判闘争は決定的だ。千葉地裁は今や、国土交通省・NAAと一体となり、農地取り上げの手先にまで成り下がっている。だが、市東孝雄さんの決起を先頭とする反対同盟の農地死守の正義の主張は、農地取り上げに躍起になるNAAを決定的に追いつめている。彼らの主張は法も常識も無視した成算のないものだ。現在、耕作権(不法耕作デッチあげ阻止)訴訟と農地強奪阻止・行政訴訟が闘われているが、この闘いは空港建設の国家犯罪を暴き、農民・農業破壊を告発する階級的な裁判闘争である。
 「三里塚に取り組む」と称して階級的労働運動と三里塚の結合に敵対する塩川一派を打倒しよう。
 最後に、職場で体制内指導部と闘う青年労働者、キャンパスで逮捕・弾圧を恐れず真っ向から闘う学生諸君に3・30への大結集を心から呼びかけたい。三里塚闘争はその始まりから、全学連・反戦青年委員会を中心とする労農学の若い力で闘われてきた。「体制内と折り合いつけない」青年諸君の現在の決起は、まさに42年の「絶対反対」を貫いてきた三里塚と同じ質のものだ。青年の決起こそが社会変革の原動力だ。今こそ労農学、老壮青の革命的合流、結合を実現しよう。
 3・30大結集をもぎとり、三里塚闘争の新たな飛躍を実現しよう。