2008年4月 7日

3・30三里塚 青年労働者先頭に労農同盟の熱気

週刊『前進』08頁(2338号6面1)(2008/04/07)

3・30三里塚 青年労働者先頭に労農同盟の熱気
 市東さんへの農地強奪許さぬ
 “農業破壊とFTAに反撃を”
 

 三里塚芝山連合空港反対同盟主催の3・30三里塚全国総決起集会は、天神峰・市東孝雄さんの畑を会場に全国から1520人の労働者・農民・学生・市民を結集して闘いとられた。職場での闘いを貫き、3・16全世界一斉デモを爆発させ不当な弾圧を打ち破った青年労働者が先頭で決起した。「労農連帯の力で革命を!」の息吹が、42年の歴史を誇る闘いに新たな生命力を与えた。

 第1章 反対同盟不屈の闘魂

 広い市東さんの畑が、人びとで埋まった。反対同盟の熱烈な呼びかけにこたえて、初めて三里塚の大地を踏んだ青年たちも多数いた。
 正午過ぎ、婦人行動隊の宮本麻子さんの司会で集会が始まった。
 本部役員の鈴木幸司さんが開会宣言。「農地強奪を許さない。市東孝雄君が農地は命であると明言した。農地は私たち農民の命。いかなることがあっても譲らない」
 事務局長の北原鉱治さんが主催者あいさつを行った。「敵が再び流血の代執行のようなことをやってでも土地を取るというのなら、受けてたつ。われわれには正義がある。労働者・農民が手を握り未来を開こう」と反対同盟の鮮明な闘いの姿勢を示した。
 基調報告を事務局次長の萩原進さんが行った。
 「NAA(成田空港会社)が開港30周年キャンペーンを行っているが、成田の状況は国際空港とは名ばかりの欠陥空港だ。土地収用法はすでに効力を失った。そうした中でまたも滑走路を北へ延ばし、農地法で市東さんの農地を強奪しようという常識はずれの攻撃がかけられている。これは改憲の先取りだ。
 生き残りに必死の帝国主義首脳がサミット会議に集まる。われわれにはFTA『自由貿易交渉』にどう立ち向かうのかが問われている。これは農民だけでなく、労働者階級自身の問題だ。断固『FTA反対』を掲げようじゃないか。『自由貿易』の名のもとに帝国主義間の争闘戦、資本の国際間競争が激化し、労働者をとことん搾取し、低賃金に落とし込める攻撃だ。さらに『アジアゲートウェイ構想』は航空業界を『自由競争』にたたき込み、学生までふくめ全階層を網羅するような攻撃だ。
 われわれは1億円出されても今の福田総理には大根1本売らない。ともに闘い、理解を分かち合う人たちに作物を供給する。土地を武器に闘うのが三里塚だ。土地は国家のものではない、人民のものだ! 労働者と農民の連帯を深化し、学生・市民とも一体となって反動を打ち返そう。攻撃の先兵になった裁判所を法廷闘争で追いつめよう。農地強奪に手を着けさせない態勢を敵に先んじてつくり上げ、秋の10・5全国集会には、3000人を集めよう」

 第2章 動労千葉がスト報告

 動労千葉の田中康宏委員長が、春闘ストの特別報告に立った。「3月14日から15日、第二の分割・民営化とも言うべき業務全面外注化に対して検査・修繕部門を中心に地上勤務者80人が24時間ストに立ち上がった。今も闘争態勢を継続している。怒りの声は充満している。3年前の尼崎事故はJR体制の崩壊を示した。107人の乗客乗員を殺したのが分割・民営化の正体だ。われわれは4・26に尼崎現地での全国集会を呼びかける。JR資本打倒を真正面から掲げる以外に1047名闘争の勝利もない。JR総連カクマルを打倒して、闘う労働運動を復権する決定的チャンスだ。『万国の労働者団結せよ』。このマルクスのことばが今ほど輝き、胸に響く時はない。全世界の労働者農民と団結してこの社会をうち倒そう!」
 事務局員の鈴木謙太郎さんが「低賃金・貧困と農民切り捨ては一体」と題した農民アピールを読みあげた。(別掲)
 続いて市東孝雄さんが「農地取り上げに反対する会」の人びととともに登壇して発言し、農地死守の不動の決意を明らかにした。(別掲)
 反対同盟顧問弁護団は4人が登壇、葉山岳夫弁護士が大きな山場を迎えた裁判闘争の現状を報告し、反対同盟とともに闘う決意を明らかにした。
 「君が代」強制と闘う教育労働者が登壇し、最初に東京の小学校の米山良江さんが「職場で40秒のストライキを貫徹しすっきりした。処分を受け、定年後の非常勤教員としての採用合格が取り消された。ただちに反撃に立つ。不起立闘争の拡大で団結を」と呼びかけた。続いて神奈川、奈良、広島の教育労働者が不起立闘争を報告した。
 全逓労働者は、「郵政民営化絶対反対、超勤拒否、東京中郵銀座移転阻止」の職場の闘いを報告し、三里塚との連帯を表明した。
 沖縄民権の会の座覇光子さんは「3・16沖縄で"われわれは労働者である"と宣言し基地撤去を掲げて国際通りをデモした」と報告。さらに3月8日に亡くなった三里塚現闘の福士譲二さんの沖縄での闘いを紹介した。
 婦人行動隊の鈴木加代子さんがカンパアピールを行い、「労働者と農民の敵は同じ。分断を乗り越え団結し決起を」と呼びかけた。
 関西新空港反対住民として永井満さん、山本善偉さん、国賀祥司さんの3人が登壇し決意を明らかにした。永井さんは「40年の連帯にかけて農地取り上げの攻撃と闘う」と発言した。
 さらに部落解放同盟 全国連合会、都政を革新する会の北島邦彦杉並区議、婦人民主クラブ全国協議会、闘う「障害者」、反戦共同行動委員会から次々と連帯の決意表明が続いた。
 無期懲役攻撃と闘う徳島刑務所在監の星野文昭さんのメッセージが読み上げられた。「労農同盟の力で三里塚勝利を」とのアピールに参加者は獄内外を貫く連帯感を実感した。
 織田陽介全学連委員長は「職場・学園でつくり出した団結の力を三里塚で爆発させよう。サミット粉砕のストライキを法大始め全国の大学でぶちぬこう」と戦闘的学生運動の方針を示した。
 集会の締めくくりに、野平聰一さんが集会宣言を読みあげ、伊藤信晴さんがスローガン採択と団結ガンバローを行った。
 1520人の参加者は反対同盟を先頭にただちにデモ行進に出発した。東峰部落を横断し、天神峰の市東さん宅前を通って団結街道を北上、封鎖された現闘本部建物を過ぎると暫定滑走路の誘導路を「へ」の字に曲げている市東さんの畑だ。デモ隊の到着と同時に雨が降り始めた。高いフェンス、威圧的な監視台、わが物顔に行き来する機動隊などに対し、畑はただ静かに豊かな作物を実らせ、自らの存在感を示している。この土地を取られてなるものか、と誰もが決意を新たにした。

 第3章 農民アピール 低賃金・貧困と農民切り捨ては一体 FTAに反対しよう!

 皆さん、今、全国の農民は怒っています。
 なぜ命の源泉の食料を生み出す農民が、農業で生きられないようなことになるのでしょうか。
 「生きさせろ」という叫びは、働いても食べていけない若者だけの言葉ではありません。今や農民が、農民として生きていけるのかどうかという瀬戸際に立たされているのです。
 昨年1200軒の酪農家が廃業しました。餌代が高すぎてやっていけなくなったのです。コメ1俵作るのに1万5千円かかるというのが政府の計算ですが、1万2千円にしかなりません。
 どうしてこんなことが起きるのでしょうか。コメや野菜を、金もうけの商品と同じものとしか考えないからです。
 トヨタの車を売るために、日本の農業市場を開放するのがFTA/EPA(自由貿易協定/経済連携協定)です。日豪EPAで日本の農業は壊滅的な打撃を受けます。打撃を受けるのは農民ばかりではありません。相手国の労働者の職が奪われる。日韓FTAはその象徴です。農業切り捨てであり、労働運動つぶしの攻撃です。
 昨年から日本のあちこちで農民のデモが闘われています。世界では食料をめぐる暴動が起きています。もう我慢できない、そういう声があふれています。(中略)
 三里塚は全国の農民・労働者にFTA反対の共同の闘いに立ちあがることを訴えます。そしてなによりも、市東さんの農地を守りぬく闘いを共同の闘いとして、発展させましょう。