2008年6月 2日

サミット厳戒体制うち破れ G8司法・内相会合6・11〜13粉砕を 共謀罪廃案へ飛躍かけて

週刊『前進』08頁(2345号7面2)(2008/06/02)

サミット厳戒体制うち破れ
 G8司法・内相会合6・11〜13粉砕を
 共謀罪廃案へ飛躍かけて

 6月11日〜13日に東京・恵比寿でG8司法・内相会合が行われる。これに対する闘いは、6・29東京—7月洞爺湖サミット決戦の前哨戦であるとともに、世界の帝国主義強盗どもによる治安弾圧強化を跳ね返し、共謀罪を粉砕し、労働者階級の団結と国際主義的連帯を一層打ち固める決定的チャンスだ。世界革命派=マルクス主義者としての真価をかけて、全力で決起しよう。

 第1章 治安弾圧が重大テーマ

 サミットは深刻な経済危機と米帝のベトナム戦争敗北を背景に、1975年フランスで始まった。歴史的没落にあえぐ各国帝国主義の危機を反映して、政治・経済問題とともに当初から治安問題が決定的課題だった。78年のボン・サミットでの「航空機のハイジャックに関する特別声明」以来、治安問題は毎年重要な課題となっている。
 それは新自由主義攻撃が帝国主義の最後の延命策でありながら、危機を一層促進し、世界の労働者・被抑圧人民の怒りをかき立ててきたからだ。すでに90年代から回を重ねるごとにサミットは怒りの標的となり、抗議の叫びと激しいデモに直撃され、軍隊と警察の厚い警備力で守らなければ成り立たない有様だ。
 2001年の9・11反米ゲリラ戦闘が爆発し、以降、サミットの侵略者のなりふりかまわない強盗同盟ぶりが加速した。直後に出されたG8首脳共同声明は、同時多発反米ゲリラへの憎悪をむき出しにし、11月には米愛国者法の成立を強行し、さらに12のテロ防止関連条約の推進を決めた。日本でも、昨年11月から新入管法が施行され「外国人入国者」への指紋押捺と顔写真撮影が義務化された。
 こうした治安強化の司令塔として1997年に開始されたのがG8司法・内相会合である。とりわけ「国際的テロと組織犯罪」が重視されてきた。共謀罪もこの中で96年のリヨン・サミットから協議され、「国際組織犯罪と闘うための40の勧告」の内容として、00年に署名が始まった国際的(越境)組織犯罪条約の必要要件として、日本でも施行のための検討が始まり、法制審議会の翼賛審議を経て03年春に国会提出されたものである。

 第1節 “国産テロリストの芽を摘む”

 今回のG8司法・内相会合は、鳩山法相と泉国家公安委員長を共同議長とし、①国際テロ、②身分証明書偽造など個人情報悪用、③犯罪者情報の共有促進、④児童ポルノ、⑤これらの抜け穴を防止するための法整備と執行能力の遅れた国への支援、⑥自国内の青年労働者・移民労働者が「過激思想に感化され国産テロリストになる」問題などへの対策がテーマとなる。
 特にこの⑥は重大だ。「テロリストに育つ芽を摘み、市民社会との共生を図る」としている。5・1メーデーへのアメリカ労働者の決起や韓国・民主労総の闘い、青年労働者・農民の米牛肉輸入反対デモをはじめ、全世界の若い労働者がストライキと街頭デモに続々と決起し、警察・軍隊との激しい戦闘に立ちあがっている。このことへの恐怖のあらわれだ。
 「若者の過激化」—当然ではないか! 「国産テロリスト」—そう呼びたければ呼ぶがいい! 新自由主義攻撃に対する生きるための闘いだ。青年・移民労働者こそが、世界帝国主義を葬る「墓掘り人」となって、歴史の主人公に躍り出よう。

 第2章 階級的団結めぐる攻防

 05年のロンドン爆破ゲリラ、07年のドイツ・ハイリゲンダム・サミットに反対し8万人が戦闘的デモに決起(1100人逮捕・拘束)したことを教訓化したとして、警視庁は「サミット警備の主戦場は東京」と呼号し首都での治安訓練を日々強化している。警察庁は、7月のサミット本番では2万人の警察官を全国から北海道に投入すると発表した。
 特徴的なのは、警察力の再強化と結びつけて、自治体労働者を始め4大産別労働者を動員しようとしていることだ。これに「地域協力会」などを作り、戦争に向けた国民保護法体制の実践的訓練を兼ねてサミット厳戒体制がつくられている。暴力的な職質や微罪逮捕、監視カメラの設置や駅頭への警官の張り付き、自警団の動員が相次ぎ、地元での恒例行事が中止に追い込まれる事態になっている。一方では水際作戦と称してサミットに反対する世界の活動家への入国拒否を、入管法の「フーリガン条項」を使って実施している。さらに「サミット臨戦態勢」とも言うべき、在日米軍と自衛隊とが連携した配備が敷かれている。
 福岡県警は5月13日、「障害者」介護で生活保護費をだまし取ったとして「詐欺」をデッチあげて革労協活動家7人を組織犯罪対策法(組対法)で逮捕、10カ所を家宅捜索して3人を公務執行妨害罪で逮捕した。
 これは「暴力団・経済犯などが対象」と国会で何度も答弁して99年に盗聴法とともに強行採決した組対法が、ついに政治運動・社会運動・労働運動に適用されたものであり、全労働者階級の力で反撃しなければならない。われわれがあらかじめ警鐘を鳴らしていたとおり、組対法は労働者の階級的団結・組織を丸ごと弾圧の対象としているものだ。その矛先は革命党、労働組合およびすべての革命的戦闘的団体に向けられている。
 織田全学連委員長を始め38人を逮捕した5・28—29法大弾圧は、まさに「革命を組織的に扇動したことが罪だ」とする組対法=破防法型の治安弾圧である。
 もとより最大の反撃の軸は、完黙・非転向の闘いと階級的団結の力である。この攻防は組対法の危険性と敵の狙いを暴く決定的な好機である。ここに共謀罪阻止闘争の飛躍がかかっている。
 3・9—3・16デモへの弾圧を粉砕した青年労働者の闘いを引き継ぎ、階級的団結強化の圧倒的チャンスとして迎え撃とう。

 第3章 6・7-6・29に総決起を

 われわれの闘いは、政府・法務省を窮地に立たせている。
 「サミット前には共謀罪新設を」(昨年8月29日)と呼号したサミット議長国・共同議長の鳩山の意図とメンツを完全に打ち砕き、今国会の成立さえおぼつかないところまで追いつめてきた。通常国会開会からこの5カ月、政府与党は一度として共謀罪の審議入りを提案できなかった。03年から13回目の国会、満5年にわたる全国の闘いの粘り強い成果である。
 「共謀罪絶対反対」で闘う団結を固めてきた。共謀罪反対を軸としながら、日帝の新自由主義攻撃の矛先を粉砕してきた。共謀罪とともに出され来年5月から始まろうとしている裁判員制度は、反対の声で包囲され破綻(はたん)を深めている。
 だが、楽観はできない。06年5月〜6月に政府・与党は民主党案を丸呑みしてでも成立を強行しようとして失敗し、以来2年にわたって審議は封殺されてきた。とはいえ、いつでも再開し「審議なし採決強行」という局面にある。
 実際、日本の最高裁で無罪になった三浦和義氏の逮捕をめぐって、「共謀罪なら有罪にできる」というキャンペーンで共謀罪の必要性が宣伝されている。だがそれは、「いつでもどこでもデッチあげ可能」の共謀罪の危険性を暴露するに等しいものであり、阻止する力に転化できる。
 さらには「国際テロ対策」と称して共謀罪制定のキャンペーンを張ろうとしているが、一切は労働者の「共謀の力」、階級的団結で粉砕できる。
 G8司法・内相サミット粉砕行動に立とう。そして、6・29全国労働者集会(東京)—7・6札幌闘争の爆発をかちとろう。職場生産点の闘いと国会攻防とを結合し、階級的労働運動の力で、共謀罪を永久に廃案に追い込もう。
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 闘争スケジュール
●6月7日(土)
▽サミット内相会合糾弾・共謀罪阻止 秋葉原街宣
午前11時〜12時30分 
主催/破防法・組対法に反対する共同行動
▽渋谷デモ・恵比寿公園出発 
午後1時30分〜
主催/実行委員会
▽G8サミット戒厳態勢を許すな! 共謀罪と治安管理のグローバル化に反対する6・7集会
午後6時〜 
会場/東京しごとセンター(飯田橋駅下車) 
講演/足立昌勝さん(関東学院大学教授) 
連帯あいさつ/客野美喜子さん(三浦和義氏の逮捕に怒る市民の会)、佐東和利弁護士(裁判員制度はいらない!大運動事務局長)他 
主催/共謀罪新設反対国際共同署名運動
●6月10日(火)
▽共謀罪成立阻止・国会前行動(昼休み集会)
午前8時30分〜午後1時
主催/破防法・組対法に反対する共同行動