2008年7月 7日

金融大恐慌と戦争と貧困の資本主義の「健全な発展」!? プロレタリア革命に敵対する志位発言

週刊『前進』08頁(2350号7面1)(2008/07/07)

金融大恐慌と戦争と貧困の資本主義の「健全な発展」!?
 プロレタリア革命に敵対する志位発言
 日本共産党は資本の最後の番兵

 6・29サミット粉砕の渋谷デモは、革命的激動の時代に労働者階級が進むべき道を鮮明に照らし出した。この闘いに真っ向から敵対しているのが日本共産党スターリン主義だ。帝国主義の危機が深まり、日本でも労働者階級の怒りが臨界点に達し、巨大な階級的激動期に突入したからこそ、革命を恐れる日本共産党は労働者階級の闘いに全面的に敵対してきている。日共スターリン主義を粉砕し、帝国主義打倒・プロレタリア革命をめざす階級的労働運動路線を全国のあらゆる職場で実践しよう。強固な団結を打ち固めて前進する動労千葉のように闘おう。本稿では日共・志位和夫委員長の言説を取り上げて徹底的に批判する。

 第1章 「先進国の役割が問われる」とサミットを礼賛

 6・29サミット粉砕闘争は動労千葉の呼びかけのもとに、2千余の闘う労働者・学生が大結集し、機動隊の壁をぶち破る戦闘的な渋谷デモを打ち抜いた。”世界中に戦争と貧困と飢餓をまき散らす帝国主義者どもを、絶対に打倒するぞ””労働者が団結すれば、どんなことだってやれるぞ”という怒りと、革命への情熱があふれ、その熱気ある闘いは全世界に発信された。
 6・29闘争は、戦闘的なデモをもって、全国全世界の労働者、とりわけ日本の2千万青年労働者に熱烈な団結のアピールを発した。新自由主義の攻撃のもとで、青年労働者をとことん搾取する攻撃が強まっている。労働者が人間として扱われず、使い捨てられる帝国主義社会。多くの青年労働者がこの社会になんの希望も見いだせず、苦悶(くもん)している。これに対する闘う労働者の回答は「ともに団結して、帝国主義を打倒しよう」「全世界の労働者階級がひとつになって、資本家階級に対する階級戦争に決起しよう」だ。6・29闘争は、その闘いの歴史的な開始だ。
 ところで、日本共産党はこの帝国主義強盗どもが集まるサミットに対して「『資本主義の限界』も指摘される中で、先進国の役割が問われるサミットです」(6・25付「赤旗」)などと、完全にサミット応援団として登場した。世界中で怒りのデモ・スト・暴動が沸き起こり、最末期の帝国主義を直撃している時、この労働者階級とともに闘う立場ではなく、それを抑圧する強盗ども(サミット厳戒体制を見よ!)の側に立ったのだ。

 第1節 「ルールのある資本主義」論

 5月18日に志位委員長がテレビ朝日系番組「サンデープロジェクト」に出演して語った内容を、翌日の『赤旗』が「貧困・投機・環境——資本主義は限界か/志位委員長大いに語る」と題して報じている。
 「資本主義は限界か」——志位の答えは”いや、限界ではない。ルールの高い資本主義をつくることが日本共産党の目標だ”である。
 星(コメンテーター) 
 共産党のとりあえずの目標はルールの高い資本主義ということですか。
 志位 そうです。すぐに社会主義というのは、ちょっと気が早いですが、やはりルールのない資本主義社会から、ルールのある経済社会に突き進もうということです。……ルールある経済社会という点では、EUがめざしていることは大いに参考になると思います。
 志位は、『蟹工船』現象に示されるように、巨万の青年労働者が資本主義のもとではもう生きていけないと感じ始め、闘いを求めて流動を開始している時に、「社会主義は気が早い」「EUをお手本に、ルールある資本主義をつくろう」と言っている。労働者が続々と決起し始めていることにおびえ、押しとどめようと必死なのだ。
 この番組のテーマは「資本主義は限界か」である。だから、志位はたしかに貧困や飢餓やワーキングプアの問題について触れてはいる。ところが、志位が言っている資本主義批判は、せいぜい「投機マネーが原油・穀物高騰をつくり、世界を苦しめている」「『利潤第一主義』の暴走が、限界にきている」ということである。〈帝国主義〉という段階論規定も、「死滅しつつある資本主義」「社会革命の前夜」というとらえ方もまったくない。その帝国主義がいよいよ世界金融大恐慌という形で、決定的な危機の爆発過程に突入したという認識も、まるでない。
 だから、投機マネーを国際協調で規制して「利潤第一主義」をやめさせれば、資本主義は健全さを取り戻し、まだまだ大丈夫だと言いたいのだ。

 第2章 資本家階級の立場から“内需主導経済”を提唱

 司会の田原総一朗が、日本経済の国際競争力が低下し株価が低落している事実をあげたのに対し志位はこう答えている。
 「経済のあり方を内需主導で、とくに家計を大事にする、家計にテコ入れをして、経済が健全に発展していくような方向をとるべきです。そうしないと、長期的には、先ほど言った国際競争力の問題にしても長期の展望が出てこなくなります」
 「内需主導で力強く前進している経済だったら、やはり良質な投資が出てくると思う」
 こうすれば日本から逃げていった外国人投資家も戻ってきて、”国際競争も勝てるし、長期の展望も出てくる”と言っているのだ。
 これは、完全に資本家階級の立場でのもの言いだ。だから志位はこうも言っている。
 「(投機と投資は)見分ける必要があります。投資というのは、お金を投じて、物やサービスをつくって、もうけると。これは、ある意味で健全なんです」「問題はやはり過度な投機ですよ」
 「(日本の経営者は)みんなとはいわないが、短期のもうけだけは考えるが、長期の日本社会の発展とか、経済の発展とか、とくに人間を大事にするということが欠けているんではないかと私は思います」
 志位は、資本家になった気分で「あるべき経営者像」を説教しているのだ。そして、資本家に向かって「人間を大事にせよ」と説教している。
 「人間尊重の経営姿勢」——こんなことはトヨタ奥田やキヤノンの御手洗(経団連会長)だって言っている。しかし、そのトヨタやキヤノンのもとでどういうことが行われているのか。派遣・請負労働者を超低賃金で使い捨てにし、ペットボトルのように扱い、地獄のような労働監獄を強制し、要らなくなれば簡単に首を切っているではないか。トヨタなど自動車大手は、この間の鉄鋼など原材料費の高騰の中で、国際競争に勝つために、これまで以上のコスト削減を下請け部品会社に強制している。それは労働者に対する一層の賃下げ、過労死につながる労働強化、突然の首切りとなって襲いかかっているのだ。これによってトヨタは年間2兆円もの利益を上げている。
 何が「健全な投資」か! 問題は、「資本家階級と労働者階級の非和解的・絶対的対立」がこれほどあからさまになっている時に、日共がそれを必死に覆い隠していることだ。

 第1節 秋葉原事件に「卑劣な犯行」

 日本共産党は、秋葉原事件について、「卑劣な犯行」(6・16付「赤旗」)と弾劾している。派遣労働者の加藤青年があそこまで絶望感や孤立感を抱き、腐りきった帝国主義社会への怒りと憎悪を絶望的な形で爆発させたのはなぜなのか。加藤青年をあそこまで追い込んだ真の元凶=日帝や資本家どもを何ひとつ追及せず、権力・資本家と一緒になって加藤青年を切って捨てているのだ。
 日共は秋葉原事件をきっかけに、青年労働者の怒りと闘いが日本帝国主義に向かって爆発していくことを、支配階級と同じ心情で恐れている。

 第3章 職場闘争の破壊者=日共打ち倒し、闘う団結を

 世界はいま金融大恐慌に突入し、ついにそれが世界的なインフレをひきおこしている。それは労働者階級の生活をどん底にたたき落とす。もう労働者階級は資本主義のもとでは生きていけない。
 世界金融大恐慌は、帝国主義の利害対立をも非和解的に激化させる。20世紀に2度の世界戦争で激突した帝国主義は、戦争体制を恒常化させているが、それはプロレタリアートによって打倒されない限り、必ず3度目の世界戦争に行き着く。その過程は、米帝のイラク、アフガニスタン侵略戦争と、それへの各国帝国主義の参戦という形で、すでに始まっているのだ。
 この期に及んでなお「資本主義の健全な発展」とか「ルールある経済社会」と言って資本主義の崩壊を食い止めようとしている日共は、完全に労働者階級の敵であり、反革命である。彼らは「資本主義の枠内での改革」を掲げてきたが、今や本来「資本主義の墓掘り人」である労働者階級を「資本主義の枠内」に閉じこめる最悪の勢力になっているのだ。

 第1節 綱領から「労働者階級」を追放

 日共は04年1月の23回大会で綱領を改定し、「労働者階級」も「労働組合」も追放し、国民政党(ブルジョア政党ということ)になることを宣言した。階級的なものの見方、考え方を一掃したということは、プロレタリア革命の圧殺者になるということだ。
 この立場だから志位の発言には、労働者階級の闘いがまったく登場しない。資本家に向かって「もっと人間を大事にする経営を」と哀願するだけだ。労働者階級の自己解放闘争を真っ向から否定し、すべてをブルジョア政治家や資本家どもにゆだねているのだ。
 だが、日共の反革命的な願いとは正反対に、今や全世界で労働者階級や農民・漁民が「生きさせろ!」の闘いに立ち上がっている。
 日本でもガソリン、食糧の大幅値上げで、労働者階級・農民・漁民が「もう、闘わなければ生きていけない!」と声をあげ、闘いに立ち上がり始めている。かつて米騒動(1919年)では、全国で1千万人の民衆が立ち上がった。そうした情勢が再び到来しているのだ。
 この激動情勢を今度こそ、プロレタリア革命の勝利に転化しよう。その闘いは、強固な団結を打ち固めて闘う動労千葉を先頭に、青年労働者がこれに大合流して力強く前進している。闘いは国境をこえてアメリカや韓国の労働者階級との団結に広がりつつある。
 「共産主義」やマルクスや『資本論』を語りながら、マルクス主義の革命的精髄を抜きさり、労働者階級を永遠に資本主義の鎖につなぎ止めようとする日本共産党。彼らは、職場では、民営化や合理化攻撃の先兵になっている。自分では何ひとつ闘おうとせず、逆に闘う労働者を「団結破壊者」「過激派」などと言って、資本・権力に売り渡す最悪の役割を果たしている。連合や日共・全労連こそ、帝国主義の労働者分断支配を支えているのだ。だが、彼らの危機と破綻(はたん)は決定的に深まっている。
 体制内労働運動を打倒し、全国で階級的労働運動を推し進め、労働者の団結の力で資本主義をひっくり返し、プロレタリア革命に勝利しよう。
 〔畑田 治〕