2008年7月14日

海外紙が報道した6・29渋谷デモ

週刊『前進』06頁(2351号3面3)(2008/07/14)

海外紙が報道した6・29渋谷デモ
 世界にとどろく団結の力

 6・29サミット粉砕デモは、報道管制を超えて世界のメディアが報道し、労働者の闘いの息吹を伝えた。韓国・ハンギョレ新聞は1面で報道した(写真)。ドイツ紙とあわせて紹介する。(編集局)

 第1章 韓国『ハンギョレ新聞』 日本のデモ隊は予想外の戦闘力を示した

 日本でのG8を前に、新自由主義改革に反対する勢力が結集した。
 29日午後、東京の代々木公園入口を封鎖した日本警察が、首脳会議反対集会を終え「サミット粉砕」を叫んで街頭行進に出る2千人の労働者・学生などに向かってくり返し4列縦隊を要求し、道をあけなかった。日本警察は、50〜60団体が参加した「6・29全国労働者総決起集会」の後、デモ隊を分散させるため、10分単位で公園入口の封鎖をちびちびと解いた。街頭行進の各所に2500人の機動隊を投入した。
 これに先立ち5月28〜29日には、法政大学校内で反サミットを訴えた「中核派」学生38名を住居侵入を理由に逮捕し、うち15人を起訴した。
 おとなしいと噂される日本のデモ隊は、この日、予想外の「戦闘力」を示した。50〜60代の全共闘世代が中心となったこの日のデモ隊は、日本警察に対し激しい肉弾戦を辞さなかった。この過程で8名の活動家が公務執行妨害容疑で警察に逮捕された。国鉄千葉動力車労働組合国際連帯委の広沢こう志は、「何よりも今回の集会を通して日本の労働者が力強い姿を示したことが成果」だと語った。
 日本では小泉政権以降、急速に新自由主義的構造改革を推進した結果、非正規職を量産し、反貧困運動や労働運動も新たに力を得ている。特に25歳の派遣労働者が起こした秋葉原無差別殺人事件以降、派遣労働の劣悪な労働環境が浮き彫りにされている。
 G8会議が開かれる北海道では5日、「G8サミット1万名平和ウォーキング」など大小の反サミット・対案サミット集会と文化芸術イベントが開かれ、「もうひとつの世界」を模索する。韓国の全国農民会総連盟や民主労総関係者など30名も3日から北海道国際連帯集会に参加する。
 全農の関係者は「北海道でロウソク集会を検討している」と語った。日本のマスコミの幹部は「日本の警察当局は韓国の集会参加者の動きを最も警戒している」と耳打ちした。特に29日のデモでは、韓国のロウソク集会の力に学ぼうという声もあがり、目を引いた。
 警視庁は「東京が主要な戦場」と、1日最高2万1千人を動員、空港や地下鉄、総理官邸など警戒態勢を強めている。

 第2章 独『ハンデルスブラット』 互いに腕を組み鎖をつくり警官隊に抵抗

 日本でもG8サミットへの抗議行動はある。
 警察は、後ろから盾を押し付け、前からはデモ参加者の腕を引っ張る。レインコートを着たデモ参加者たちは、互いにうでを組んで鎖を作り、密集したブロックになった。顔をゆがめながら彼らは警官隊に抵抗した。
 日本社会は、日常生活からのごくわずかの逸脱しか許さない。窒息しそうな状態に若者たちはがまんできなくない。そうなった者たちは国家権力の強権に直面する。
 それは内田晶理も同じだ。内田も渋谷にいた。「トヨタなどのグローバルなコンツェルンが巨額の利潤をあげるために若者を搾取している」と29歳の内田は語った。2年前まで彼は学生だった。大学は、彼が抗議運動をしたことで停学にし、大学から締め出した。彼は7カ月獄中にいた。7人収容の留置所に他の犯罪者と一緒にいた。内田は東京の法政大学でグローバル化反対のデモをしただけなのだ。
 このような状況にATTACジャパンは困惑している。「抗議行動は日本社会では非常に大きな勇気が必要だ」とアキモトは語る。
 日本政府は治安対策で国境を閉ざす。抗議デモの参加者が祖国に送り返された。ATTACドイツも少数の支援者を日本に送る予定だが、同じことが起こり得る。アキモトは警察の投入を心配して言う。「ドイツのようなデモになれば、警察の反動が過剰に強硬になるのではないか」。
 共産主義者・内田が監獄での経験を語った。「私は23日間、朝から晩まで取り調べを受けた。警察は『親が心配している』と圧力をかけた。しかし警察は私の口から何も聞き出せなかった」
 警察は圧力で彼を屈服させられなかった。彼は友人たちと「革命的共産主義の同盟」をつくった。レーニンの模範にならったという。真剣かつ明快に彼は語った。「日本でもうすぐ革命をやります」