2008年8月 4日

「競争と分断」で団結破壊 橋下は関西州めざす資本家の手先

週刊『前進』10頁(2354号2面2)(2008/08/04)

「競争と分断」で団結破壊
 「大阪維新」プログラム粉砕を
 “破産”突きつけ大阪府を解体
 橋下は関西州めざす資本家の手先

 「徹底した分断と競争」「大阪府解体—道州制導入」を核心とする大阪府知事・橋下との闘いは、すべての労働者にとって最重要の課題だ。全労働者の力で橋下を絶対に倒そう!

 第1章 「ゼロベース」で競争けしかける

 橋下は就任直後から「民間の破産会社なら解雇・賃下げは当たり前」と叫ぶとともに「全事務事業をゼロベースで見直す」ことを打ち出した。府政・府予算にかかわる全勢力に「ゼロベース」を突きつけ、“限られた予算”の分捕りあいをけしかけたのだ。
 さらに橋下は、330億円もの賃金強奪——人件費予算として329億3千万円を削減。このほかに「物件費」などで計上している非常勤職員の賃金なども削減——を、団体交渉が決裂したまま大阪府議会に提案、民主党もふくめた賛成多数で7月23日に成立させた。
 橋下は「『大阪維新』プログラム案」(6月5日公表)で、「大阪府は民間企業でいえば破産状態」「府民のみなさんはがまんを」「府職員は自らの人件費削減を通じて痛みを分かち合う覚悟で」と迫った。
 しかし、なぜ5兆円もの借金ができたのか。大阪府の財政危機の理由が人件費なんかにあるわけがない。だから、いくら賃金強奪をしても財政危機は続く。

 第2章 財政危機は資本主義破産の帰結

 「バブル」崩壊後の90年代以降、大企業・大銀行の延命と恐慌対策のために660兆円もの公共事業が実施された。その負担の大半(約8割)は地方自治体に押しつけられ、債務は雪だるま式に膨れ上がった(図)。しかも小泉以来の「三位一体改革」で地方交付税交付金が大幅に削減され、自治体財政は決定的に破綻(はたん)する。
 しかも大銀行や大資本は、貸し付けたカネから巨額の金利をむさぼり続けている。自治体が破産しようとも、ブルジョアジーどもはけっして債権放棄しない。こんな借金など、労働者階級が権力を握り、生産を支配して踏み倒せばいいのだ。革命こそもっとも現実的な「解決策」だ。

 第3章 道州制の推進で弱肉強食社会に

 知事室に張った近畿地方の地図を毎日ながめ、「関西州」設立の妄想をふくらませている橋下は、府民の生活をなんとかしようなんてハナから考えていない。任期中に大阪府政を徹底解体して道州制導入の先兵となり、財界・市町村長会をはじめ全反動勢力を道州制推進に糾合しようとしているのである。
 日本経団連など道州制推進勢力は、「道州制は究極の構造改革」だと言っている。その中身は「軍事・外交に特化した強権的中央政府」「ブルジョアジーが新自由主義で直接支配する道州」「そのもとで一切の矛盾を押しつけられ、弱肉強食のリストラ競争をけしかけられる基礎自治体」だ。ここには戦後的地方自治も戦後的社会保障もない。ブルジョアジーによる日本全土の「分割・民営化」そのものだ。
 橋下の攻撃は、その全面的開始だ。「維新案」は、「府県を越える“広域的な行政組織”の実現をめざす中で、大阪府の“発展的解消”が将来目標。これにより『関西州』へのステップを確かなものにする」と明言。他方で「高齢化社会を乗り切るのは自己責任と互助」と言い切り、府議会でも「住民サービスは市町村、府は産業政策に特化する」(7月8日)として新名神高速道路など大型事業継続を打ち出している。

 第4章 分断と団結破壊が橋下の生命線

 こうした橋下の攻撃の生命線は、府民(民間労働者)と公務員労働者、あるいは公務員労働者同士を競争させ、蹴落としあいをさせるということにある。それなしに橋下の攻撃は成り立たない。橋下が恐れているのは何よりも労働者の団結だ。
 そして6月20日7000人集会、7月22日5000人集会の府労連闘争で、橋下の最も恐れる「団結した労働者」が登場した。6月の豪雨の中、そして7月の炎天下、意気軒高と府下全域から集まった組合員は、「このままでは腹の虫がおさまらない」「橋下を倒すまで闘う」を合言葉に集会・デモを貫徹し、職場に戻った。“必ずや一矢報いてやる!”という戦闘意思が、すべての職場にみなぎっている。
 連日の職場攻防、現業統一闘争、賃金確定闘争から09春闘、そして09年春の卒業式・入学式での「日の丸・君が代」攻防——団結拡大のチャンスが次々とやってくる。本格的な決戦はこれからだ。橋下よ、「絶対に打倒してやる!」と逆襲をねらう数千人の府労働者を生み出したことに戦慄(せんりつ)せよ!
 われわれは橋下の大攻撃に対して、「戦後地方自治を守れ」ではなく、真っ向から革命を対置して闘う。
 1947年の2・1ゼネスト前夜、ある自治体労働組合では「2月2日には出勤して、革命政府と人民のために社会を回す」ことを決定していたという。自治体労働者は、ストライキで全社会をぶっ止め、ブルジョアジーに代わって社会を運営する力を持っている。いまこそ、20年前の国鉄分割・民営化攻撃に対して唯一ストライキで闘った動労千葉のように闘おう。今こそ処分を恐れぬストライキに全職場から立つ時だ。
 これから全職場で、査定給との本格的な激突が始まる。職場の仲間の分断を絶対に許さない、一人ひとりの生きざまをかけた真剣な実践が問われる。そして、この鉄火の中からつくりだされる団結こそ、組合を革命的につくり変え、橋下を打倒する力となる。団結して橋下を倒そう!