2008年9月22日

裁判員制度は阻止できる 11月下旬から30万人に通知

週刊『前進』06頁(2360号6面2)(2008/09/22)

裁判員制度は阻止できる
 11月下旬から30万人に通知 労働者の反乱で粉砕を

 裁判員制度をめぐる情勢が急展開している。裁判員制度を推進してきた政府・法務省、最高裁、日弁連執行部、そして国会の全政党が本格的にぐらつきだしている。かつてないような事態が起こっている。
 読売新聞は7月27日、「裁判員制度 不安です」「政府『第二の後期高齢者医療制度』化を懸念」という記事を載せた。裁判員制度が政府を揺るがす問題に発展することを恐れた福田政権は、法務省の広報担当者などに対して広報活動の強化を厳命した。
 8月7日、社民党と日本共産党が「裁判員制度の実施延期を求める」見解を発表した。民主党の鳩山幹事長も「一時凍結もありうる」と発言した。8月13日には民主党の小沢代表が「政権を獲得すれば見直す」と表明した。
 8月20日、日弁連の宮崎誠会長は「裁判員制度が予定通り実施されるよう強く求めます」との緊急声明を発表した。翌21日、樋渡利秋検事総長は「(裁判員制度は)国民が司法に参加する民主主義の申し子。予定どおり実施し、直すべき点があれば改善していけばいい」(日本記者クラブ)と発言した。
 8月29日、最高裁は、来年の裁判員候補者は全国で29万5036人になると発表した。平均で「有権者」352人に1人が選ばれる計算だ。今年11月下旬から対象者に通知が届くことになる。労働者人民の反発や反乱は必至だ。

 第1章 日帝には打つ手がない

 そして9月1日、福田首相は辞任を表明した。ブルジョア支配の全面的な行きづまりと破綻の中で打つ手がなくなった福田は、労働者人民の怒りと闘いに耐えられず、政権を投げ捨てた。
 裁判員制度阻止・司法改革粉砕の闘いの圧倒的前進が福田打倒に大きく影響した。特に、約1500人の労働者市民、弁護士が集まった日比谷公会堂での6・13集会(「裁判員制度はいらない!大運動」主催)は、裁判員制度推進派の瓦解(がかい)情勢を決定づけるものだった。その背後に労働者人民の8割を超す圧倒的な拒否と反乱、決起があった。
 だが、社・共が表明したのは「実施の延期」「再検討」であって「廃止」ではない。共産党は「国民の理解と支持はきわめて不十分。実施のための条件整備が十分でなかった」(市田書記局長会見)として、反対に転換したとは言っていない。社民党も「制度設計の具体化で浮上した問題点」(見解)を挙げ、「実施の延期」を唱えているにすぎない。彼らが廃止を求める労働者人民の味方でないことは、このペテン的姿勢からも明らかである。
 それにしても破廉恥な話だ。4年前の04年5月、裁判員法は国会で何の議論もなく、「司法改革賛成」の大合唱の中で全会一致で通過したのだ。そのことへの反省もなしに「延期」論でごまかすことは絶対に許されない。選挙を前に、裁判員制度反対の圧倒的な世論におびえ、動揺しただけだ。
 こうした中で9月17日、保岡法相と御手洗日本経団連会長が都内で会談し、裁判員制度や弁護士大幅増員などの司法制度改革問題について議論した。解散総選挙と30万人への裁判員候補者通知を目前にして、支配階級は大動揺を隠しきれないということだ。
 プロレタリア革命派はこのチャンスを生かし、攻勢的に闘いぬこう。労働者人民の革命的分岐と大反乱をつくりだし、その中で裁判員制度と司法改革を粉砕するということである。国鉄1047名「解雇撤回」を投げ捨てる4者・4団体路線を粉砕しよう。11・2労働者集会への1万人結集こそ、その当面する最大方針であり、11・2から11月下旬〜12月の全国一斉行動をともに全力で闘いとっていくことである。裁判員制度「絶対反対・廃止」の闘いの先頭に立とう。

 第2章 「私はイヤだ」と拒否を

 裁判員制度は、労働者人民を国家権力の側に立たせ、治安維持の担い手だという自覚を植え付けるための攻撃である。「市民の司法参加」などと言うのはまやかしだ。労働者人民への分断支配攻撃そのものであり、改憲の一環である。義務と罰則で参加を強制する、まさに戦時司法への国民動員だ。そうした意味でこれは“徴兵制への道”であり、“現代の赤紙”“現代の隣組制度”である。
 裁判員に動員された人は、評議の秘密保持の義務を一生負わされる。守秘義務違反には懲役刑が科される。他方、被告人は裁判員制度を拒めない。刑事裁判で最も保障されるべき被告人の権利は、裁判員の負担軽減のためと称した迅速裁判で打ち砕かれ、「時代の気分で左右される裁判」が次々と行われていく。こんな裁判員制度は廃止あるのみだ。
 勝利の展望は大いにある。そもそも裁判員制度は、労働者人民が自分の体を裁判所に持っていかないと成り立たない仕組みだ。「私はイヤだ」と言ったら破産する制度なのだ。
 職場から絶対反対の声をあげよう。連合は08春闘で、裁判員に動員された労働者の有給休暇を要求する方針を出し、裁判員制度を積極的に推進してきた。全労連も同じだ。だが、自治体職場や学校現場などで反対行動が起こっている。ブルジョア支配に協力する体制内労組執行部を徹底弾劾し、労働者の反撃を組織しよう。
 裁判員制度阻止の闘いは実に決定的である。支配階級が一度決定した制度を労働者人民の反乱でひっくり返し、粉砕することほど痛快なことはない。そうした歴史的な闘いの中で労働者の階級的団結は拡大されるのだ。確信を持って11・2全国労働者集会の1万人結集へ突き進もう。