〈焦点〉 米帝の強い要求背景に 陸自アフガン派兵も狙う
〈焦点〉 米帝の強い要求背景に
陸自アフガン派兵も狙う
日帝・自衛隊がアフガニスタン侵略戦争への参戦を継続する給油新法延長法案が参議院に送られ、自公による衆院再議決で成立に向かう重大局面を迎えている。また他方では、当のアフガニスタン情勢が新たに緊迫してきている。
10月28日にパキスタンのイスラマバードで、アフガニスタンとパキスタンのジルガ(部族会議)が開かれ、タリバンとの対話を呼びかけることで合意した。この会議はパキスタンのクレシ外相とアフガニスタンのアブドラ前外相が率いており、事実上の政府間合意である。米軍とNATO軍の侵略戦争が激しく展開されている中でこうした合意が行われること自体、米帝を軸としたアフガン侵略戦争の絶望的な危機を示している。
要するにアフガニスタンのカイライ政権もパキスタン政府も、アフガン戦争の軍事的見通しに完全に絶望しているということだ。同じ28日には米紙ウォールストリート・ジャーナルが、ブッシュ政権も「タリバンとの対話を検討している」と報じた。01年9・11反米ゲリラ戦争を契機に米帝を先頭として帝国主義が「テロ絶滅」を叫んで開始した侵略戦争は、今や決定的な転機を迎えているのだ。
アフガニスタン現地では10月27日、米軍のヘリコプター・ブッラクホークがタリバン兵の攻撃を受け墜落した。また同じ日に自爆攻撃によって2人の米兵が死亡している。タリバンの攻撃を受け米軍ヘリが頻繁に墜落するということ自体が、実に重大なことだ。
10月27日の東京新聞では、米帝の要求で日本政府が検討してきたという陸自アフガン派兵の全容が報道されている。それによれば、米帝が日帝に求めているのはCH47大型ヘリ6機による補給や「負傷兵救出」が中心で、それは戦場での武器使用をも伴う「駆けつけ警護」に当たる。そのため福田政権時代に断念をブッシュ政権に伝えたが、米帝はあらためて再考を迫っているというのである。
この事実も、米軍やNATO軍のアフガンでの絶望的な軍事的敗北と行き詰まりを示しており、米帝は今や、インド洋での給油活動の継続にとどまらず、陸自派兵による日帝・自衛隊の全面的な軍事的動員をも狙っているのだ。
これに対し日帝・麻生政権は、今日の帝国主義間争闘戦の激化と日米同盟の危機の中で、米英や独仏帝国主義に伍(ご)して帝国主義的利害を貫くために、給油新法延長の強行と同時に、アフガニスタン本土への陸自派兵の衝動を明らかに強めているのである。
米軍はこの間、イスラム神学校への空爆などパキスタンへの越境攻撃を繰り返している。またイラク侵略戦争の敗勢の中で、シリアへの越境攻撃も強行した。米帝は世界金融大恐慌の爆発に痛撃され、帝国主義間争闘戦と侵略戦争衝動をより強めている。これに対して日帝・麻生は、帝国主義間争闘戦に勝ち抜くために労働者への階級戦争と戦争・改憲攻撃をいよいよ激化させようと狙っている。
プロレタリア世界革命でこの最末期の帝国主義を打倒するため、万国の労働者は団結し闘おう。