2008年12月15日

兵士襲う隊内暴力が激増 「生きさせろ」の叫びは同じ

週刊『前進』06頁(2372号4面2)(2008/12/15)

兵士襲う隊内暴力が激増
 「生きさせろ」の叫びは同じ 労農兵の力で世界変えよう

 第1章 「生きさせろ!ゼネスト」へ

 派遣元と派遣先を串刺しにした「解雇を撤回しろ!」森精機24時間スト。これは、「生きさせろ!ゼネスト」への大きな号砲です。橋下打倒闘争第1弾であり、道州制=200万人首切り粉砕へ! 6大産別の結集した力で3・6橋下打倒闘争へ! 婦民全国協関西ブロックは階級的団結路線で新たに出発しました。
 階級への不信と青年学生の台頭に背を向けた塩川一派は、労働者の自己解放的気運にあふれるこうした闘いに恐怖し、脱落逃亡したのです。塩川一派に明日はありません。塩川一派に逃げ込んだ元反軍兵士の小多基実夫は、そもそも自衛隊監視運動と反戦運動の講釈師に自己を純化させてきていました。それゆえに「労働者・民衆・兵士の団結した力で世界を変えよう!」と闘う青年労働者の若き息吹きによって吹き飛ばされ闘いの戦列から追放されました。
 今や大恐慌時代を闘いぬく労働者の国際連帯とその党が求められています。階級的労働運動路線のもとでの反軍闘争の革命的飛躍をかちとりましょう。
 07年11月22日、テロ特措法の期限切れでインド洋周辺海域から護衛艦「きりさめ」が帰還。佐世保基地岸壁での帰還式典で艦長福原は「異常ありません」と報告し、曹長の自殺にもかかわらずこう言い放った。
 「みなさんはニッポン国民の誇りです!」こう叫んだのはイラク第1次派兵部隊長ヒゲの佐藤だ。佐藤は15年戦争における関東軍の独断専行と新軍部形成に学び「駆け付け警備による戦闘開始」による一定の軍事的暴走をも企図していた。
奴らにとって戦死以外の死は「無駄死に」なのだ。「きりさめ」のインド洋への出航は01年と05年に続き3度目だった。この曹長に何があったのか。
 99年には佐世保基地所属の護衛艦「さわぎり」の艦内で21歳の3曹が自殺。1年半後に遺族が国家賠償請求訴訟を長崎地裁佐世保支部に提起した。
 04年10月には横須賀基地所属護衛艦「たちかぜ」の21歳の1等海士が自殺。1年半後の06年4月に両親が国と先輩隊員の元2曹を相手取り横浜地裁に提訴した。この提訴は「さわぎり」の遺族の協力で実現した。
 05年11月には空自の29歳の3曹が自宅アパートで自殺し、2年半後の08年4月に妻子と両親が先輩隊員で現役の2曹と国を相手取り静岡地裁浜松支部に提訴した。
 この3件の提訴はいずれも自衛隊内のいじめ問題と暴力的体質・隠蔽(いんぺい)体質を告発している。遺族は「息子は、夫は自らの命をもって不正を告発した。この死を無にしない」と立ち上がっている。
 07年7月には「さわぎり」控訴審の証言台に元乗員が立った。報道で裁判を知った元3曹は「自分もいじめられていた。これは自分の問題だ」と決起した。

 第2章 イラク派兵を境に自殺増加

 隊内自殺では階級としては2曹・3曹が最も多い。そして余りにも若い。入隊動機も「人のために」で共通している。この兵士たちの「生きさせろ!」の思いと叫びと死への冒涜を絶対に許してはならない。
 自衛隊での自殺者数は以前6年間は60〜80人だったがイラク戦争への派兵以降は、04年が100人、05年が101人、06年が101人と一気に増加した。防衛省の発表でも派遣隊員2万人のうち在職中の死者は35人(07年10月現在)で、そのうち16人が自殺だ。

 第3章 セクハラ横行隠ぺいと対決

 航空自衛隊第1術科学校(浜松市)の校長宮下今朝芳空将補が、部下の女性自衛隊員にセクハラ行為をし更迭されていたことが11月14日の夕刊各紙で報道された。防衛省はこの事件と調査・更迭をひた隠しにしてきた。
 防衛相浜田は「(この幹部にも)プライバシーの問題がある」と発言。前空幕長田母神は隊内誌で「身内の恥は隠すもの」と明言したが、卑劣なもみ消し策動をこの女性兵士は粉砕した。
 今から10年前に防衛庁人事教育局は男女各1万人を対象に大規模な「防衛庁職員セクハラアンケート調査」を行った(回収率98%)。女性隊員975人のうち182人(18・7%)が「性的強要」を、72人(7・4%、14人に1人)が「強姦暴行(未遂)」を受けたと回答した。しかも254人のうち73人(28・8%)の加害者は直属の上官である。
 7・4%という比率は、現在の女性隊員総数が1万人であり、740人に相当する。未遂も含めた強姦暴行の凄(すさ)まじい暴力が隊内の女性労働者兵士を襲っているのだ。上司に届け出れたのは254人のうち23人(0・98%)だけ。相談もできずに退職したり、上官に報告しても不当な攻撃で二重三重に傷つき退職し心身を病み苦しんでいる多くの元隊員たちの存在が考えられる。

 第4章 決起した女性兵士の支援を

 07年6月札幌地裁で21歳の現役の女性兵士が上官による06年9月の「強姦未遂」に対し防衛省を告発し、自衛隊史上例のない裁判闘争を闘い抜いている。現在も空自レーダー基地(180人中女性5人)で退職強要など組織的攻撃と日々闘いながら勤務を続けている。
 彼女が支援者へのお礼文に引用した「私は人間である。人間に起こったことは全て私の問題である」は、「1人は万人のために、万人は1人のために」という労働者階級の立場そのものだ。この闘いへの支援要請が既に隊員家族と元自衛官連絡会から出されている。改めてこの闘いに取り組みましょう。
 京都大久保駐屯地街宣で、この運動への支援を訴えたら、日本共産党支持者が、「9条署名かと思ったらそんなこと。自衛隊に入るからそんな目に合うんです」と言った。この立場との最後的決別でもある労農兵ソビエトへの道を全党全地区党の課題として階級的労働運動路線の白熱的実践の中でかちとっていきましょう。
 (山上かな子)