2009年2月 2日

ソマリア沖海自派兵阻止を 「海賊」とは漁場を奪われた漁民

週刊『前進』08頁(2377号6面2)(2009/02/02)

ソマリア沖海自派兵阻止を
 「海賊」とは漁場を奪われた漁民 世界再分割戦への参入が目的だ

 第1章 麻生が派遣準備を指示

 新自由主義政策の破綻は、1929年を超える世界大恐慌のなかに帝国主義をたたきこんでいる。全世界のGDP(国内総生産)の5割を超える株価時価総額が失われ、生産を半減しても、資本主義的生産が成り立たない世界大恐慌情勢のもと、麻生政権は「最弱の環」日帝の危機を反映してかつてないデタラメさでソマリア派兵を強行しようとしている。海自護衛艦2隻を派遣し、しかも許し難いことに、兵士を集団リンチで殺害した特別警備隊=海自特殊部隊20人を乗艦させ、ヘリコプターや高速艇を駆使して「海賊船」を急襲=乗員を殺害することまで想定している。
 1月22日、与党の『海賊対策プロジェクトチーム(PT)』は、ソマリア沖の「海賊対策」として海自護衛艦の派遣を決定した。これにより麻生首相の指示で浜田防衛相は、1月28日に派遣準備を海自に指示した。約1カ月の準備期間の後、海上警備行動を発令し、3月の派兵開始とソマリア沖での海自の侵略行動が具体化する。
 ソマリアを巡っては、この1年間で、3度の国連安保理決議がなされた。12月16日の3度目の決議では「同国の領土・領空に入って海賊を制圧する」ことを容認した。すでに安保理は6月と10月の決議で「領海内での」「無期限」の活動を容認。帝国主義的論理をもって各国は「海賊制圧のため」陸海空の全部隊の展開が可能だとしている。この決議のもと、すでに軍隊を派兵しているのは、英、独、仏など欧州連合(EU)諸国とロシア、中国、インド、パキスタンだ。アデン湾を通行する船は年間2万隻、うち10%の2千隻が日本国籍だ(1月23日付東京新聞)。この決議のもとで、中国海軍は早々とミサイル駆逐艦を派兵し(1月21日付沖縄タイムス)、「対海賊対策」というソマリア人民虐殺戦争に突入している。

 第2章 武器使用が派兵の狙い

 1月12日の日韓首脳会談では、「海賊対策」という人民虐殺戦争に両国が「協力」し、①要請に基づき両国の船舶を相互に警護する②航行する船舶情報を共有する③日本が周辺国と協力してマラッカ海峡の「海賊」対策に関して情報提供する——ことなどが取り決められている(1月26日付東京新聞)。
 日帝・麻生の海自派兵の狙いは武器使用である。交戦による武器使用で日帝の危機を突破しようと策動しているのだ。それは「海賊対策新法」「派兵恒常法」の成立策動であり、改憲攻撃である。民主党もこれらには賛成しているのだ。
 麻生が言う派兵の国内法的根拠は、「自衛隊法による海上警備行動(自衛隊法82条)」で、海上保安庁による対処が困難な場合、自衛隊に発令される。しかも、自衛官には逮捕・取り調べ・送致などの司法警察権が認められていないために「海上保安官が護衛艦に同乗する」としている。
 「海上警備行動」でソマリア沖まで派兵できるというなら、世界中のどこにでも「警備行動」で派兵できるということになる。われわれ労働者階級人民は、これらのデタラメを絶対に許さない! 帝国主義支配階級は自らよって立つ「法」も「体裁」も投げ捨てて海外派兵を強行しようとしているのだ。断じて許すな!
 海自の護衛対象は①日本籍船舶②外国船籍の日本人乗組員③同・乗客④日本の海運会社が運行を管理している船舶——などである。
 武器使用基準は「現行法に基づく派兵」に規定され、「警職法第7条」に定められた「正当防衛と緊急避難」を「準用する」とされているが、武器使用に関する具体的な中身は非公開の「部隊行動基準(ROE)で定める」としているため、明らかにされない。
 そもそも警職法第7条で使用が認められている武器とは「拳銃」である。護衛艦の主要兵装であるSSMミサイル、魚雷、ロケットランチャー、62口径速射砲、機関砲などが第7条でいう「武器」に該当するというのか!
 昨年11月、インド海軍のフリゲート艦がオマーン沖で民間船舶を撃沈した。乗組員1人が虐殺され14人が行方不明となっている。また、ソマリア沖で英海軍が銃撃戦で2人を射殺している。
 だが、与党PTはこれらの撃沈や射殺を「正当防衛」「緊急避難」である、と容認する立場を表明している。インド海軍が撃沈した「海賊母船」が、後に、タイ企業が運営する漁船であることが判明している。それでも日帝麻生・与党PTは、「海賊」として撃沈=人民虐殺を容認する立場を固持し、海自護衛艦のソマリア沖への派兵を強行しようとしているのだ!
 要するに海自護衛艦が誤認で民間船舶を撃沈しても「正当防衛である」と開き直ることをすでに日帝・麻生は表明しているということだ。

 第3章 労働者・兵士の団結を

 そもそも、帝国主義がいう「海賊」とは、戦争と環境破壊で、生きるための糧である漁場を奪われた漁民である。彼らは「すべての外国船が出ていくまで戦う。死ぬのは一度。怖くない」と述べて、帝国主義と闘っている(11月14日付朝日新聞)。生きるために帝国主義の侵略と闘っているのだ。漁業と生存を守るために鳥島射爆場撤去を要求して闘っている久米島と同じ漁民だ! 
 何のためのソマリア派兵か! 世界大恐慌下、労働者・兵士を犠牲にして資本が金をもうけるためだ。帝国主義の生き残りをかけた世界再分割戦争のためだ!
 兵士はブルジョアジーのために死ぬことを拒否しよう! 資本のために戦場に行って命を落としたり、不正義の戦争のために苦悶(くもん)し、やつれきったりするより、労働者・兵士の人間的な解放という労働者階級人民の革命事業のためにともに闘おう。労働者は倒産・リストラ、解雇・「派遣切り」攻撃に命をかけて職場占拠とストライキに決起している。派兵が「国家・家族のため」というのは大うそだ。失業攻撃と実力闘争で闘っている労働者に合流し、団結して帝国主義ブルジョアジーを打倒しよう!
 世界の資本家どもが、おのれの利益のために労働者兵士を戦場に送り、虐殺し、世界中の労働者人民を死に追いやっている。打倒されなければならないのは帝国主義ブルジョアジーであり、オバマ、麻生だ。労働者階級人民・兵士が結合したゼネストで、ソマリア派兵を阻止し、世界大恐慌をプロレタリア革命に転化しよう!
 〔革共同反軍闘争組織委員会〕