2009年3月 9日

●3・20イラク反戦6周年 全世界一斉デモへ● 全世界で闘いが高揚 職場から闘いの炎を

週刊『前進』06頁(2382号2面1)(2009/03/09)

●3・20イラク反戦6周年 全世界一斉デモへ●
 渋谷大デモと国際連帯でオバマ・麻生・御手洗倒せ
 全世界で闘いが高揚
 体制内派打倒し職場から闘いの炎を

 3・20全世界一斉デモを当面する一大焦点として、全世界で労働者の闘いが激しく燃えさかっている。大恐慌が生み出す危機と大攻撃を前に、旧来の労働運動指導部がこぞって労使協調—体制擁護運動にのめり込んでいる。他方で、ランク&ファイル(現場労働者)たちが、こうした指導部の腐敗と屈服を突き破って荒々しい台頭を始めている。大恐慌を真に革命に転化するための「産みの苦しみ」「勝利に向かっての試練」だ。3・20全世界一斉デモの爆発こそ、階級的労働運動派—革命派が階級闘争の主流派に躍り出る決定的転機だ。

 第1章 アメリカ 3大都市で大デモ 階級的労働運動派を先頭に

 世界大恐慌の大爆発の中で資本家階級は、絶体絶命の危機を労働者階級への攻撃と戦争拡大へと転化し、一体で強行してきている。
 自動車ビッグ3の破綻は、UAW(全米自動車労組)解体攻撃、大量解雇、医療・年金破壊、大幅賃下げとして労働者に犠牲転嫁されているが、これも「倒産」と「戦時」——アフガニスタンへの1万7000人増派——の恫喝によって強行されている。
 アメリカで最も戦闘的な労働組合であるILWU(国際港湾倉庫労組)でも、「戦時の港湾治安維持」攻撃に屈して労働協約闘争を裏切った本部と、階級的労働運動派が激突している。

 第1節 職場生産点での団結が展望開く

 この「戦時」恫喝への体制内派の屈服と対決する中から、アメリカの階級的労働運動は、労働者が職場生産点で団結し勝利する新たな展望を開いている。08年5月1日、ILWUローカル10(第10支部)が先頭に立って米西海岸の全29港を封鎖したイラク反戦ストこそその最先端の闘いだ。これは、07年10月20日の反戦労組国際会議で、動労千葉とともに討議して打ち立てた路線にもとづく闘いだ。
 そしてローカル10は、イスラエルによるガザ大虐殺に対しても連続的な反戦闘争に決起してきた。ローカル10のジャック・ヘイマン執行委員は1月10日のサンフランシスコ1万人集会で、「『2国家案』はアパルトヘイト体制と同じ」と体制内労働運動が推進するペテン的な中東和平案を弾劾した。
 OEA(オークランド教組)も昨年の5・1港湾封鎖をともに連帯して闘い、ガザ大虐殺に対しては、執行委員会で虐殺弾劾とパレスチナ人の帰還権の支持を決議した。パレスチナ人の大虐殺と追放によって建国されたイスラエルの原点そのものを弾劾し、体制内派と鋭く対決している。
 そして現在、階級的労働運動派は、首都ワシントンとサンフランシスコ、ロサンゼルスで3月21日に開催されるイラク開戦6周年の大デモへの結集を組織している。

 第2節 UFPJが反戦全国闘争を中止

 まさにこの時、二つの大きな反戦統一戦線の一つであるUFPJ(平和と正義のための連合)は、すでに決定していた開戦6周年全国闘争をキャンセルした。「経済危機の中での全米結集反戦デモは好ましくない」(12月のUFPJ全米世話人会議)と。
 以前からUFPJ指導部は、親イスラエルの民主党や労働運動指導部との摩擦は避けるべきだと主張し、パレスチナ人民との連帯を拒否してきた。この体制内派の反動性が大恐慌下で一挙に進み、オバマに「新たなニューディール」を求めたり全世界一斉の国際反戦闘争を否定するに至ったのだ。
 大恐慌は、資本主義そのものの終わりを告げ知らせている。だからこそ、資本主義の枠を前提にしたすべての勢力が、労働者階級の根底的な解放に必死に敵対してくるのだ。体制内派との徹底した党派闘争こそが勝利を切り開く。

 第2章 韓国 5・1ゼネストへ 龍山殺人鎮圧への怒り爆発

 韓国・民主労総は2月28日、全国労働者大会で本格的な対政府闘争に突入することを宣言した。3万人の労働者、学生、市民を前に民主労総非常対策委員会のイムソンギュ委員長は「経済破綻の全責任を労働者に押しつけるイミョンバク(李明博)政権を5・1ゼネストで退陣させよう」と訴えた。その後、民主労総組合員らは龍山(ヨンサン)殺人鎮圧第6次汎国民大会に結集し、集会を禁止し戦闘警察を差し向けたイミョンバク政権と激突して闘いぬいた。
 龍山殺人鎮圧事件とは厳寒の1月20日、都市再開発地域で強制撤去が行われ、ビルに立てこもって抵抗した住民たちにテロ鎮圧部隊が襲いかかり、攻防中の出火で住民5人が死亡した大惨事だ。この事件の真相究明と謝罪、責任者処罰と補償を求める怒りは、街を埋めるキャンドルデモとなった。これは労働者と都市撤去民の「生きさせろ!」の叫びであり、昨年、韓米FTA(自由貿易協定)反対を叫んでイミョンバク政権に退陣を迫った100万人デモへと再び発展する闘いが始まったのだ。
 民主労総執行部が女性組合員への性暴力事件で総辞職し非常対策委員会体制となって1カ月、組織された労働者の力で「生きさせろ!」ゼネストを実現する正念場だ。

 第1節 12・6%にのぼる実質失業率

 韓国の1月の実質失業者は329万5千人と言われ、実質失業率は12・6%にのぼる。さらに青年層をみると、実質失業者は120万人にのぼる。民主労総によれば、事務金融連盟や公共機関事業場で人員削減が進み、金属労組の組合員15万人の実に80%以上が休業と構造調整に直面している。
 この中でイミョンバク政権は韓米FTA批准案とともに、非正規職雇用期間を現在の2年から4年に延長する非正規職関連法改悪と派遣労働拡大などを狙っている。敵の階級協調のスローガンは「経済危機克服」だ。
 ソウル市は青年失業対策として2月4日、「ソウル市公務員の自発的な給料の寄付と経常費削減で総額100億ウォン規模の『希望雇用創出ファンド』をつくり、千人の青年雇用をつくり出す」とした。ソウル市が1人あたり月100万ウォン(約6万3000円)を10カ月間支援するというものだが、期間終了後の対策もない。企業は費用負担なく青年を雇用し、その後、いつでも解雇できる。しかも、この事業財源の12億7千万ウォンは幹部公務員の「自主的寄付」、一般公務員も各職場で「ソウル希望ドリーム豚貯金箱」に募金せよというのだ。
 ふざけるにもほどがある! 昨年11月労働者集会に来日した公務員労組ソウル本部のある支部では、この「寄付」を拒否し粉砕した。
 一方、2月9日にはソウル・メトロ、都市鉄道公社、SH公社、ソウル市施設管理公団など5公企業の労使と市長が「経済危機克服のためのソウル市公企業労使政和合・平和および社会公共宣言文」を発表した。労使政協議で今年の賃金凍結と無争議の実現の先頭に立つと宣言したのだ。「誇らしい」と言い放ったソウル市長に、ソウル地下鉄労組委員長は、「労働運動は今、市民の立場で社会的信頼を得ることが重要」だと応じた。
 だが、労働現場には怒りがたぎっている。「経済危機の克服」など、労働者階級の知ったことか! 動労千葉に体現される階級的労働運動の実践が求められている。5・1ゼネストへ! 今こそ国境を越えた労働者の団結で全世界を獲得する時だ。

 第3章 欧州 大陸覆うストの波 革命おしとどめる体制内派

 欧州は、第1次大戦後のドイツ革命、30年代革命や戦後革命と、再三再四、全社会を巻き込む革命の大波を経験している。これらの情勢では、革命勝利の寸前まで行きながら社民党やスターリン主義の裏切りで、かろうじて資本主義が延命した。
 戦後、フランスの主要銀行すべてと自動車産業は国有化されたが、これはギリギリのところでの資本主義の延命策だった。他の国でも多かれ少なかれ、革命的激動が経済・社会のあり方に重大な刻印を残している。

 第1節 経済全体が崩壊寸前の欧州各国

 そして今、これまでと比較にならない超巨大な大恐慌情勢の中で、EU中軸国のドイツでも銀行破綻があいつぎ、国有化に進もうとしている。イギリスのロイヤル・スコットランド銀行グループ(RBS)の不良債権は底なしの様相だ。RBSだけでイギリス経済全体の2倍以上の債権を持っている。救済できるはずがないが、それでも救済しなければ経済全体が崩壊すると、必死になって資金をつぎ込んでいる。
 国家破綻は必至だ。そして全欧州で公務員労働者への攻撃が吹き荒れている。民間でも倒産、再編、大量解雇、賃下げだ。
 イタリアでは昨年12月12日、学校、鉄道、病院、郵便などをすべて止める150万人のゼネストで新自由主義教育改革を粉砕した。
 フランスでは1月29日の500万人ゼネストでサルコジ政権の新自由主義改革と対決している。
 ドイツでは11月に自動車部門で3万人が波状スト、2月には交通部門を軸に各州で波状ストが闘われている。
 イギリスでは、昨年7月の公共部門50万人の48時間スト、10月の鉄道ストなどが闘われている。
 ギリシャでは、昨年10月以来、繰り返しゼネストと大暴動が闘われている。
 アメリカ帝国主義の中東支配の先兵=イスラエルのガザ侵略戦争・大虐殺に対しては、マドリッド30万人、ロンドン10万人、パリ10万人など巨大な反戦闘争が貫徹されてきた。

 第2節 第4インターが解散、市民主義化

 ゼネストは、社会全体の機能をストップさせ、団結した労働者こそ社会の主人公だということをはっきりさせる。革命勝利は、すぐそこにある。そして欧州は、革命の嵐を何度も経験している。だからこそ体制内勢力は、開始された根底的な労働者の決起を、なんとか体制の枠内に引き戻そうと必死なのだ。
 フランスでは2月5日、第4インターが解散し、これまでの「マルクス主義、レーニン主義、トロツキー主義の組織」を捨てて、「反資本主義新党(NPA)」を結成した。ブルジョア新聞系運動体であるATTAC(「市民援助のための通貨取引税協会」)などに加入戦術をとってきた第4インターが、労働者自己解放の建前さえ投げ捨て、そうした市民主義運動そのものになるということだ。
 その直前に第4インターは、スターリン主義=共産党など体制内8組織と共同で、1・29ゼネストを政労資交渉に押し込む声明を出している。
 フランス共産党は、ソ連崩壊後ぼろぼろになっている。労働者階級にとっては、30年代と戦後の革命を圧殺してきた共産党の抑圧から解放され、労働者が革命に勝利する巨大なチャンスだ。巨大な1・29ゼネストが実現したのも、スターリン主義の抑圧力が劇的に低下した影響が大きい。だが第4インターは瀕死の共産党に救いの手を差し伸べ、ともに革命に敵対しようとしているのだ。
 実際、NPA(第4インター)は3・20イラク・アフガニスタン反戦闘争から全面的に逃亡している。フランス帝国主義がアフガニスタンに派兵しているにもかかわらず、反戦国際連帯闘争を否定したのだ。
 体制内派との党派闘争を貫き、3・20反戦闘争に全国から総決起しよう。