2009年4月13日

「スト絶滅」のJP労組中央 現場の怒りで打倒を 革共同全逓委員会

週刊『前進』06頁(2387号3面1)(2009/04/13)

JPエクスプレス子会社化粉砕へ
 「スト絶滅」のJP労組中央現場労働者の怒りで打倒を
 革共同全逓委員会

 第0章 はじめに

 世界大恐慌が激しく進行し、G20金融サミットでは保護主義の拡大があらわとなった。世界の帝国主義各国は金融機関の国有化に走り、国内企業保護のために融資先を自国企業に限定するなどし始めた。そして各中央銀行はついに国債引き受けにも踏み切った。1929年大恐慌をはるかに超える危機だ。輸出を命綱としてきた最弱の環=日帝経済は、保護主義拡大のなかで壊滅的事態に突入している。
 こうした帝国主義世界体制の分裂と危機の進行は、一方で資源や市場をめぐる侵略戦争の衝動を限りなく高めつつ、国内での階級的労働運動に対する国家的な破壊攻撃を軸に、労働者人民に対する猛烈な搾取と収奪を極限化させている。
 そしてこの中で連合は、「1・15労使共同宣言」「3・23ワークシェアリング政労使合意」を立て続けに結び、資本主義救済の現代版「産業報国会」の道を加速させている。賃上げどころか「定昇解体」を率先して受け入れ、「終身雇用制の解体」さらには「ワークシェアリング」の名のもとでの劇的な賃下げをのみ、労働者全体の非正規雇用化を受け入れ、資本主義の最後の救済者たる帝国主義労働運動へ完全に純化をとげた。
 連合「労使一丸路線」の旗振り役を務めたのがJP労組中央だ。今春闘では、大恐慌下で破綻があらわとなった民営郵政の救済を自らのスローガンに掲げ、一切の「賃上げ要求」を放棄し、一時金カットも丸のみした。そして民営資本としての生き残りをかけた大合理化攻撃である「JPエクスプレス(JPEX)」子会社化と大規模強制出向を率先して受け入れると表明した。今後5〜6年にわたる大々的な首切りが、郵便事業会社22万人の労働者全体に毎年毎年くり返し襲いかかる問題だ。JP労組中央は、民営郵政の完全な手先となって職場の団結を自ら破壊し、すべての犠牲をわれわれ現場労働者に転嫁することを宣言したのである。
 現場労働者の怒りは急速に高まり爆発点に向かっている。全国の職場で、郵政資本および御用組合執行部との全面的な激突は不可避だ。郵政民営化絶対反対の闘いの決定的な局面到来である。
 権力・総資本と体制内労働運動指導部が一体となった攻撃を、労働者階級総体が打ち返す戦略的路線が問われている。それが第2次国鉄決戦を土台とした民営化絶対反対の4大産別決戦だ。この4〜6月、戦端が開かれつつあるJPエクスプレス子会社化・強制出向をめぐる一大決戦を、全国の現場労働者の団結した力で徹底的に闘い、粉砕しよう。

 第1章 極限的な労働強化と合理化進める大攻撃

 明らかになったJPEX子会社化計画は、圧倒的な労働強化と大合理化計画である。SD制(注1)の導入、「セブン・イレブン(15時間)」と言われるほどの長時間労働、部門ごと・小集団ごとの独立採算制等々。賃金、組織、人事、業務内容、労働時間など、あらゆる面での全面的な合理化と労働強化が、労働者支配を徹底する観点から立てられている。巨大な公共財産であった郵政の全資産を私物化(民営化)したことを背景に、宅配便と物流大手資本との果てしない競争に全郵便労働者を投げ込もうとしているのである。郵政資本が「生き残る」ために労働者を殺すこともいとわない大合理化攻撃である。残った郵便事業会社や郵便局会社本体の労働条件も「JPEXを基準」に大々的な合理化と労働強化が待っている。郵政民営化攻撃は、これからが本番なのである。”労働者が束になって闘わなければ生きられない”問題が現場の切実な問題となっている。
 今回のJPEX子会社化・強制出向攻撃は、郵政資本がJP労組中央の合意を事前に取り付け、スト絶滅宣言(注2)まで出させて臨んできたことが決定的な特徴である。御用労組の完全な協力がなければ成り立たない攻撃なのだ。
 大企業の様々な部門を細分化する子会社化戦略は、国鉄分割・民営化以後の日帝資本の重要な経営戦略だが、原理は「労働者をいかにして徹底的に働かせるか」「いかにして労働者をバラバラに分断するか」につきる。完全な「労使パートナー路線」(JP労組本部)「労使一丸」(日本経団連)を成功させることが絶対的な課題なのだ。ここでは旧来型の民同労働運動すら論外とされ、労働者を死ぬまで働かせる、その先頭に組合を立たせる。これが敵の戦略だ。ここで失敗した資本は、大恐慌下の熾烈な競争とつぶし合いの中で滅びる以外にないのだ。「労働者を死ぬまで働かせる」以外になくなった資本主義は完全に終わりである。労働者こそが生きるべきなのだ。

 第2章 郵政民営化に絶対反対貫き現場から闘う

 旧国鉄や郵政などのいわゆる「公益事業」の民営化は、戦後発展が行きづまった70年代後半から世界的に進んだ新自由主義攻撃の中心軸となってきた。その核心は労働組合運動の徹底的な解体である。日本では国鉄分割・民営化(87年)を決定的な転回点とする総評解体が新自由主義政策の皮切りだった。07年郵政民営化=小泉「構造改革」は、その全社会化への新たな突破口だった。
 郵政民営化の実態は、とてつもなく巨大な国民資産(簿価で3兆円=時価はその10倍以上の不動産と350兆円の金融資産)の簒奪(さんだつ)と私物化であった。「かんぽの宿」を時価の20分の1でオリックスに売却しようとした事件は、その氷山の一角だ。
 世界大恐慌の中、2015年の完全民営化(株式売却)は、この巨大な権益をめぐる熾烈な争奪戦となっている。それは道州制攻撃(自治体の民営化を含む)とも通じながら、ブルジョアジーの最後の生き残りをかけた階級戦争だ。大恐慌下で、日帝・麻生政権の改憲攻撃と新たな戦争衝動が高まる中、郵政民営化絶対反対=JPEX子会社化絶対反対の決戦は、第2次国鉄決戦を先頭とする全産別の労働者の未来をかけた階級決戦と完全にひとつの闘いである。

 第3章 出向の5月「意向確認」を拒否しよう

 JPEX子会社化を突破口とする郵政民営化の貫徹=大合理化攻撃は、大恐慌下の日帝総資本の強烈な階級意志に貫かれた攻撃である。従ってわれわれ全逓労働者は、目の前の資本と闘うにとどまらず、職場と産別の枠を超えて、労働者階級全体がひとつの階級として団結し、敵階級総体との全面的な対決として闘わなければならない。
 現在の攻撃は、体制内労働組合指導部を完全な先兵にすることで初めて成立している。これが決定的な問題である。労働者階級の怒りが激しい勢いで臨界点に向かっているからだ。大恐慌下にあって、労働者階級が資本と真っ向から闘うこと自体が、プロレタリア革命の問題を全面的に突き出すものとなるからだ。「資本・権力と闘うこと」それ自体が全階級的な攻防点となっているのだ。
 まさに、労働組合の闘いの路線が死活的な問題として問われているのである。そしてそれゆえに、大恐慌下ですべての労働者階級がリストラや首切りの攻撃といかに闘うべきかを指し示している第2次国鉄決戦が、産別の枠を超えた全労働者階級の闘いの指針となっているのである。
 この情勢下で、国鉄分割・民営化以来の国家的不当労働行為と20年以上にわたって闘い続けてきた国鉄1047名解雇撤回闘争を、4者4団体派をはじめとする体制内労働運動指導部が完全に裏切り、闘いそのものを押しつぶす側にまわったことはあまりにも重大である。この情勢下で、史上最大規模の労働争議を取り下げ、敵階級に頭を垂れるとは何を意味するか? 連合や全労連のナショナルセンターが先頭に立って、労働運動全体を侵略戦争に動員した戦前の産業報国会の道に引き込む最後の引き金となることは火を見るよりも明らかなのだ。
 それゆえ、4者4団体派をはじめとする体制内派指導部と徹底的に闘い、動労千葉のように、労働組合を現場労働者の手に取り戻すことが死活的な問題なのである。
 問われているのは、労働組合が資本・権力と闘うことそれ自体なのだ。動労千葉のように、職場の団結を基礎に資本と非和解的に対決して闘いぬくこと。「労働組合とは資本と闘うための組織であり手段であり武器である」(中野洋著/新版『甦る労働組合』)ことをこの大恐慌下においてこそ徹底的にはっきりさせることなのである。JP労組中央のように「会社あっての労働者」「労使一丸」体制に屈服した瞬間、もはや労働条件のほんのささやかな「改善」すらかちとることもできないのだ。
 資本を救済するために労働者が犠牲になる道を、われわれ現場労働者は断固として拒否する。JPEX子会社化絶対反対の闘いは、われわれすべての全逓労働者の存亡をかけた文字どおりの決戦である。民営化絶対反対の路線で、すべての職場での職場闘争の創意的な展開と、組織化の前進をかちとろう。出向の5月「意向確認」攻撃を全職場の団結で拒否しよう! 民営郵政資本とそれを支えるJP労組中央の正体を徹底的に暴き、これと対決しぬこう。
 第2次国鉄決戦と固く連帯し、全国の郵政職場に断固として動労千葉派の旗を打ち立てよう。
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区別、郵便事業株式会社、JPEX(案)
服務(勤務)年間所定内労働時間、1968時間(総労働時間:2208時間)、2080時間(総労働時間:2320〜2680時間)
服務(勤務)年間休日数、119日(4週8休+祝日)、105日(4週8休)
服務(休暇)年次休暇・付与日数、20日、10〜20日
服務(休暇)年次休暇・有効期間、3年(最良)、2年
服務(休暇)その他・病気休暇、所属長が認めた期間(有給)、なし
服務(休暇)その他・冬期・年始休暇 、3日・1/2〜3、なし
給与(給与制度)歩合給制の有無、なし(手当として加算あり)、あり(歩合4:固完6)
給与(給与制度)定期昇給制度、あり(基礎昇給十加算昇給)、なし
給与(賞与)、 4.4カ月十15千円(平成19年度実績 )、あり
給与(退職金制度)、標準モデルで2000〜2200万円、あり(水準は検討中)

●表の解説
 JP労組第3回中央委員会の追加議案・付属資料「JPエクスプレスの計画概要等」の41ページ『労働時間・休暇等』より。
 JPエクスプレスの子会社化による労働条件の極限的悪化が一目瞭然。
 「年間労働時間」は、これまでの最大1968時間から「最大2680時間(!)」とされ、事実上、無制限の長時間労働となる。これまで当然だった「病気休暇」や「冬期・年始休暇」「定期昇給制度」も廃止。
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(注1)SD セールス
・ドライバーの略称。配達員が様々な営業部門を兼ねる制度。
(注2)スト絶滅宣言
JP労組中央が今春闘で西川社長に表明した。