2009年6月 1日

「海賊法案」阻止へ 参院審議・国会延長許すな

週刊『前進』08頁(2393号7面1)(2009/06/01)

「海賊法案」阻止へ
 参院審議・国会延長許すな
 6・14闘争で大反撃を

 「海賊対処法案」は27日、参院本会議で審議入りした。4月23日の衆院通過以来1カ月が経過した。野党が参院で採決に応じなくても、国会会期を延長すれば6月22日に衆院再議決—成立が可能となる。国会会期の延長を許すな。そして、法案の成立を阻止しよう。6・14−15闘争がいよいよ決定的だ。

 武器使用して相手攻撃可能

 海賊対処法案は、①「正当防衛」以外でも武器の使用が可能となる、海賊行為抑止のため停船目的での危害射撃を認める、②活動海域の制限はなく、世界のどこへでも「海賊対策」と称して自衛隊の派兵が可能となる、③日本以外の外国船舶の「護衛」が可能となる、④国会は事後報告を受けるだけで、国際平和維持活動(PKO)派兵で必要とされる国会の事前承認も必要とされない——など、これまでの海外派兵の枠組みをも大きく踏み破る重大な侵略戦争攻撃だ。しかも、イラク派兵時のような期限付きの特別措置法ではなく一般法として制定される。まさに、ソマリア沖派兵の事実を先行させておいて、戦後憲法の枠組みを大きく踏み破る事実上の恒久的な海外派兵法が制定されようとしているのだ。
 派兵部隊の武器使用は、これまでPKO参加5原則で「要員の生命保護など必要最小限にする」と、厳しく制限されてきた。ソマリア沖の海上警備行動でも、ひとまず「正当防衛と緊急避難」に限定している。
 ところが法案ではこれに加えて、「警告射撃などにもかかわらず民間船に接近し続ける海賊船への射撃」を容認した。
 これは相手船舶を撃沈し全員を殺しても構わない、ということに必ず行き着く。また米英軍など他国軍隊との共同作戦も可能になる。

 海外での日米共同作戦狙う

 ソマリア沖派兵がそうであるように「海賊対処法」が制定されると、海自のみならず空自・陸自もさまざまな口実で出兵することになる。「海賊対策」を名目に自衛隊が世界中どこへでも自由に海外に展開できることになる。侵略戦争への重大な踏み込みだ。戦争はこのようにして始まるのだ。
 参院での審議入りと軌を一にして28日に海自の哨戒機P3Cが2機、厚木基地からジブチに出発した。海自部隊100人、陸自部隊50人(特殊戦闘部隊を含む)が併せて派兵された。ソマリア沖派兵と01年以来8年続くインド洋の派兵部隊を合わせると合計1000人を超える。自衛隊の海外展開は完全に主要任務になっている。
 P3Cの航続距離は9千㌔にも及ぶので、ジブチを拠点にすることでアフリカ東部のインド洋、アラビア半島沿岸、アラビア海からパキスタン、イランまでもの広大な海域・空域の偵察飛行ができることになる。米帝の中東・アフリカ・西アジアでの侵略戦争に自衛隊が共同参戦する態勢ができるのだ。海賊対処法の制定は、この点で決定的な意味を持ち、侵略戦争に直結する。

 恐慌と戦争の攻撃うち破れ

 自衛隊のソマリア・ジブチ派兵と「海賊対処法」制定策動は、世界大恐慌のもとで帝国主義各国が一斉に保護主義に突き進む中での日帝支配階級の必死の対応だ。それは帝国主義の侵略戦争、世界戦争の危機を一層加速する。
 民主党、日本共産党、社民党と連合中央は、「海賊対策は必要」論で政府のキャンペーンに屈服している。衆院での再可決−成立に手を貸そうとしている。絶対に許すな。職場・キャンパス・街頭で、法案の反動性と狙いを暴き、絶対粉砕へ闘おう。
 大恐慌下で侵略戦争に突き進む帝国主義を階級的労働運動と学生運動の力で打倒しよう。その前進をかけて、6・14−15闘争に結集しよう。
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「海賊対処法案」はこんな侵略戦争法案だ
①「正当防衛」以外でも武器が使用できる。「海賊行為抑止」のための危害射撃を認める。
②活動海域の制限はない。世界のどこへでも「海賊対策」と称して陸海空の自衛隊を派兵できる。
③米英軍など他国の軍隊との共同作戦ができる。
④日本以外の外国船舶の「護衛」ができる。
⑤国会は、報告を受けるだけ。派兵にあたって国会の事前承認が必要ない。