2009年7月13日

〈焦点〉 中国・ウイグル族が決起

週刊『前進』06頁(2399号5面3)(2009/07/13)

〈焦点〉 民族抑圧と大虐殺許すな
 中国・ウイグル族が決起

 中国の新疆ウイグル自治区の区都であるウルムチで、7月5日、ウイグル族住民のデモ隊が弾圧に出動した警察と激突した。きっかけは6月26日に広東省の玩具工場で発生したウイグル人の出稼ぎ労働者と漢民族労働者の衝突事件。これへの中国政府の対応に抗議したウイグル人学生100人が5日にウルムチの中心広場でデモ行進を始めた。これに警官隊が発砲し、学生3人を虐殺。デモ隊は一気に2万人に膨れ上がり、警察車両を次々と焼き討ちし、市内中心部を制圧する大暴動に発展した。
 当局は直ちに軍と武装警察3万人を投入し、徹底的な武力鎮圧を強行。5日の死者は当局発表で156人、負傷者1080人、逮捕者1434人。実際には死者600〜800人、逮捕者3000人以上とされる。空前の大弾圧であり、許しがたい人民大虐殺だ。
 だが事態はそこで終わらなかった。7日朝には夫を警察に連行されたウイグル人女性らが怒りのデモに決起し、再び警官隊と衝突。7日午後には逆に鉄パイプやこん棒で武装した漢民族数万人がデモにくりだし、ウイグル人居住区を襲撃し、ウイグル族もこれに応戦した。このような集団的武力衝突が当局の治安部隊の眼前で展開されるのは、実に40年前の「文化大革命」以来のことだとされる。
 今や、ウルムチ一帯における政府支配の崩壊的危機と内乱状態への突入は明らかだ。仰天した胡錦濤は、ラクイラ・サミットへの出席を中止してイタリアから急きょ帰国した。そして中央政府の陣頭指揮のもと、ウルムチを徹底した軍事制圧下において事態の沈静化に必死になっている。「自宅に戻れ、職場に帰れ」と呼びかけるビラをヘリコプターでまき、暴動は海外からの扇動工作とする一方で「諸民族の団結」を訴え、騒乱の拡大を防ごうとしている。
 しかし胡錦濤政権がどうあがこうと、ついた火を消すことはもはやできない。起きているのはまさに、「諸民族の団結」の名で漢民族以外の全民族を抑圧し、この民族分断をテコに中国の労働者と農民全体を支配してきた中国スターリン主義の支配体制の全面破産と総崩壊の危機である。とりわけウイグル自治区は、チベット自治区と並ぶ最大の矛盾の集中点だ。
 中国スターリン主義は天然資源の豊富なこれらの地域を中央政府の絶対的支配下におくために、民族自決権を一切認めず、逆に「漢民族の指導性」を掲げ、漢民族を現地に大量移住させてウイグル族やチベット族から自治区の支配権をも奪い取る政策をとってきた。同時に、民族間の分断と対立を徹底的にあおることで、スターリン主義官僚に対する労働者や農民の怒りと不満が、体制そのものに向かうことを阻止してきた。ウルムチでの暴動と内乱は、これらの全矛盾がついに臨界点に達したことを示している。しかもこれは、ほんの始まりにすぎない。
 世界大恐慌下で、中国情勢もいよいよ大激動に突入した。中国の労働者と農民は、スターリン主義による民族分断支配を突破して団結し、残存スターリン主義政権と帝国主義の打倒に向けて闘いぬく中でこそ、解放への道を切り開くことができる。胡錦濤政権が最も恐怖するのもそれなのだ。