2009年7月27日

全国被爆者青年同盟の8・6-8・9アピール

週刊『前進』06頁(2401号5面1)(2009/07/27)

オバマ賛美をぶっ飛ばせ
 全国被爆者青年同盟の8・6-8・9アピール
 被爆者・2世・3世の怒りで麻生の来広を阻止しよう!

 被爆者のみなさん、被爆2世・3世の兄弟姉妹のみなさん。われわれ全国被爆者青年同盟は、8・6広島—8・9長崎反戦反核闘争を「再び過ちを繰り返さない、日本帝国主義の朝鮮侵略戦争を阻止する」非常の決意で闘うことを宣言する。

 大恐慌と戦争を迎え撃ち核兵器廃絶の展望示そう

 今夏8・6—8・9闘争の第一の課題は、大恐慌と戦争という時代の中で、これを迎え撃ち、核兵器廃絶の展望を鮮明にしるすということだ。
 被爆者とその家族にとって核は絶対に許せないものである。身体を射抜いた放射線は、被爆者とその家族を死と絶えざる不安でさいなみ続けている。被爆者はそうした戦後を生き抜いてきた。だからこそ、延命のために再度、朝鮮で中東で核戦争を引き起こそうとする帝国主義者の策動に血が逆流する思いだ。
 しかし、今、われわれの恨みすべてを晴らす、全世界の労働者階級の結合した闘いが力強く始まっている。大恐慌と戦争は資本主義の体制的危機の現れであり、資本主義を転覆する現実的な可能性が指呼の間にあるということだ。
 だからこそ、帝国主義は国内的には労組破壊の攻撃を仕掛け、対外的には侵略戦争に打って出る。労働者民衆の怒りを他民族への排外主義に絡めとろうとしている。このことが労働者の生活と命を破壊する。これに対し、全世界の労働者は階級として団結し、延命のために核兵器をも先制的に使おうという帝国主義を打倒する決意を固めつつある。
 帝国主義を打倒しなければ生きられない。帝国主義打倒の絶好のチャンスが到来した。被爆者が、自らも労働者階級の一員として、プロレタリア革命勝利・労働者権力樹立による核廃絶に向けて総決起する時がきた。
 労働者は社会の生産を担い、社会を運営する実体であるからこそ、プロレタリア革命を闘い取って、すべての民衆の解放を実現する能力を持っている。核戦争を阻止し、核兵器を廃絶することはまったく可能なのだ。
 また、核兵器開発のために蓄積されてきた被爆者・2世の膨大なデータは、プロレタリア革命によって労働者民衆の手に奪還される医療とともに、初めて被爆者の肉体的な困難にも解決の道を提起するだろう。被爆者の解放をかけ、労働者階級の先頭で、労働者階級そのものとして闘おう!

 労働者の北朝鮮侵略戦争阻止闘争の先頭に立とう

 第二の課題は、切迫する北朝鮮侵略戦争を阻止する労働者人民の先頭に被爆者が立つことだ。
 日米帝国主義の戦争重圧に追い詰められた北朝鮮スターリン主義が5月25日に「核実験を実施した」と発表するや、日米帝国主義は国連安保理新制裁決議に持ち込み、イラク侵略戦争と同じく、「大量破壊兵器開発を阻止する」という名目で戦争を仕掛けようとしている。
 とりわけ日本帝国主義は、北朝鮮が最大の軍事的脅威であるかのように描き出し、「ヒロシマ・ナガサキを繰り返さないために日本も核武装すべき」「北朝鮮の出撃基地を先制攻撃せよ」と、むき出しの軍事の言葉で労働者民衆を扇動している。そして、日帝の独自の核武装化攻撃を満展開させている。戦後の反戦平和の拠点であるヒロシマ・ナガサキを反革命の道具に辱めるこの攻撃を断じて許しはしない。
 ところが、既成の体制内労組幹部も、ブッシュからオバマへの米帝の政権移行を得手勝手に解釈して「平和と核廃絶に向う世界潮流を妨害する北朝鮮」という虚偽を吹聴し、切迫する朝鮮侵略戦争策動に棹(さお)さしている。このデマゴギーを粉砕せよ!
 大恐慌と失業の危機こそが、帝国主義をして侵略戦争に血道を上げさせているのである。
 日米帝国主義は、北朝鮮スターリン主義が労働者階級の国際的団結で戦争重圧を打ち破っていくプロレタリア的な反戦闘争とはまったく無縁な存在であることを十二分に知りつつ、「核実験」の袋小路に追いやり、それを餌食にしている。アメリカ帝国主義の居丈高な荷物検査活動(北朝鮮船舶の追跡)はそのことを示してあまりある。
 1950年に始まった朝鮮戦争に対して、被爆詩人・峠三吉らは、米軍占領下において命がけで非合法のビラまきやストライキ、デモを闘って反戦を貫いた。われわれは、峠らの闘いをはるかに超える日朝(韓)労働者民衆の国際連帯の闘いで、新たな朝鮮戦争を阻止するのだ。

 オバマ演説賛美を許さず被爆者の怒り解き放とう

 第三の課題は、オバマ米大統領を賛美する大ペテンをはぎ取り、今こそ被爆者の怒りを解き放つことだ。
 被爆者は日本帝国主義のアジア侵略と帝国主義間戦争の最も残忍な帰結として被爆し殺され、生き残った者もいまだに放射能禍に苦しめられている。被爆者は戦争の残忍さを最もよく知るものとして戦後の反戦反核運動の背骨をなしてきた。
 原爆症認定のでたらめさに示されるように、被爆者への放射線の影響はいまだ解明されてはいない。放射線影響研究所(ABCC=原爆傷害調査委員会の後続組織・日米共同運営)の実態調査結果発表が象徴するように、被爆2世・3世については補償の必要すらないもの、単なる核開発のためのモルモットとされている。戦後のプレスコード制圧下、被爆被害が隠蔽(いんぺい)され、治療の対象にすらされなかった歴史は今も続いている。これがアメリカ帝国主義と日本帝国主義が結託して行ってきた被爆者抹殺政策だ。
 ところが日本被団協や県被団協は、広島・長崎への原爆投下と戦後一貫した被爆者抹殺政策を謝罪する言葉の一つもないオバマのプラハ演説を、「道義的責任」を認めた画期的な前進などともてはやしている。それどころか、謝罪がないことを批判する被爆者には「いつまでもアメリカを恨むのはよくない。和解の時だ。それが被団協の方針だ」などと言って、怒りを封じ込めることに躍起になっている。
 明らかに「道義的責任」は謝罪を意味していない。核兵器を最初に開発し使用した国として「拡散させない」、つまりは「テロリスト」などに手渡さない=NPT(核拡散防止条約)体制を維持するという宣言でしかない。
 オバマは何と言っているのか。また、実際には何をしているのか。
 プラハ演説の核心は「核兵器が存在する限り、いかなる敵であろうとこれに対する抑止を行い、チェコ共和国を含む同盟諸国に対する防衛を保障するために、安全、確実で効果的な核兵器備蓄を維持する」「いかなる国であろうとも規則を破れば、必ずその報いを受けるような制度を整備する必要がある。北朝鮮は、脅迫と違法な兵器によって安全保障と尊敬をかちとる道を切り開くことはできない」と言い、さらにイランにも言及したことに示されている。
 圧倒的な核抑止力の維持であり、核拡散防止を口実に、北朝鮮とイランに戦争を仕掛ける宣言なのである。そして実際にもオバマは6月29日、大陸弾道弾発射実験を行った。何が「核廃絶宣言」か。帝国主義は必然的に核兵器を必要とし、使う存在である。いささかの幻想も許されない。
 オバマ賛美の狙いは明らかだ。反戦反核意識の原点であるヒロシマ・ナガサキの怒りを、帝国主義による「核廃絶」幻想にねじ曲げ、反戦反核運動の実体を担った4大産別の労働者の階級意識を解体しようというのだ。帝国主義者のための侵略戦争に加担しないとは、階級意識のきわめて優れたあり方だからだ。オバマ演説を賛美する日本共産党、連合、広島市長・秋葉忠利、被団協をぶっ飛ばし、日米労働者の階級的団結で麻生とオバマを打倒しよう。被青同はその先頭に立つ。

 4大産別決戦の先頭で闘いプロレタリア革命へ

 第四の課題は、被爆2世・3世こそが「戦争・改憲と民営化・労組破壊」の攻撃と対決し、4大産別決戦・階級的労働運動の組織化の先頭に立つことだ。
 日本共産党のオバマ演説賛美、連合の北朝鮮非難の1000万署名、ファシスト田母神俊雄が広島に登場することへの全勢力の沈黙。被爆者運動は日本の核武装への承認を迫られる危機にある。
 田母神は「侵略戦争というのはぬれぎぬ」「日本も核を使うべきだった」との暴言で更迭された。一昨年の「原爆投下は仕方なかった」(久間元防衛大臣)をはるかに超える踏み込みだ。
 そして、8月6日には平和公園のすぐ横で集会を開いて、「ヒロシマ・ナガサキを繰り返さないためには核兵器を持て」と扇動しようとしている。ヒロシマが核武装の根拠にされるという恐るべき事態だ。
 これに対して、広島市長・秋葉も被団協も「日にちを変えてくれ」とか細く哀願するだけだ。これは一体なんだ! 秋葉はもちろん、被団協の幹部も、業火の中で焼き殺され、放射能でもだえ苦しんだ被爆者の悔しさ、怒りを忘れたのか! 何のために被爆証言をしてきたのだ。何のために原爆体験の継承をうたってきたのか。
 日本が核武装するなら、わが身と差し違えてでも阻む。これが被爆者の心だ。オバマの道義的責任発言を勝手に謝罪と読み込み、和解するほど原爆への怒りを忘れてしまったのか。「怒るべき時に怒りえぬ者は去れ!」(峠三吉)。われわれ被青同が今こそ反戦反核闘争の階級的指導部として、日本帝国主義の核武装化、朝鮮侵略戦争と闘う新たな被団協に再生させなければならない。その主戦場は労働運動・労働組合である。
 被青同は、国鉄、教労、全逓、自治体、この4大産別の労働者を8・6ヒロシマに組織するために闘う。オバマ賛美は、オバマの大資本救済の隠蔽であり、オバマの新しい「ニューディール」と対決するアメリカ労働運動の「ランク&ファイル」への敵対であり、世界プロレタリア革命達成にとって許しがたい妨害である。このことを、今秋11月労働者集会1万人結集の展望をもって語ろうではないか。
 また、連合の1000万人署名が労働組合解体の攻撃でもあることを暴露し、激しく討論を巻き起こす。この署名運動が北朝鮮侵略戦争に向けた排外主義扇動であり、これと闘う韓国民主労総ソウル本部との合流を破壊するものであることを熱く語ろう。日米韓の階級的な労働者の団結が具体的に動労千葉派=11月集会派によって形成されており、その発展こそ核廃絶の最も現実的な道であることを訴えよう。
 被青同と革共同から脱落逃亡した塩川一派や与田残党が開催しようとしている「8・6集会」には、オバマ反革命や田母神らへの怒りも対決もまったくない。被爆者・2世・3世の怒りとはまったく無縁のこの反階級的敵対物を怒りを込めて糾弾する。
 被爆者・2世・3世の決起は反戦運動を内包した階級的労働運動を反戦反核の拠点=ヒロシマ・ナガサキに再生させる。このことに確信を持って、8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争を圧倒的に成功させよう。
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 日程 8・6ヒロシマ-8・9ナガサキ反戦反核闘争スケジュール
 広島
全世界の労働者・民衆の力で、核をなくせ! 戦争・改憲をとめよう!
被爆64周年8・6ヒロシマ大行動
 8月6日(木)午後0時30分 3時デモ出発
 広島県立総合体育館小アリーナ
〔発言〕下田礼子(反戦被爆者の会)/高山俊吉(憲法と人権の日弁連をめざす会)/ホアン・デルポソ(国際港湾倉庫労組)/「日の丸・君が代」不起立を闘う教育労働者/田中康宏(国鉄千葉動力車労働組合)/道州制・民営化と闘う自治体労働者/沖縄からのアピール/法政大「暴処法」弾圧と闘う学生
 主催 8・6ヒロシマ大行動実行委員会

■関連企画
◎産別交流会
 5日(水)午後/東区民文化センター
◎学生集会/青年労働者集会
 5日(水)午後6時/東区民文化センター
◎祈念式典弾劾—麻生来広弾劾デモ
 6日(木)午前7時/東千田公園

長崎
労働者の国際連帯で核を廃絶しよう!
長崎反戦反核集会
 8月8日(土)午後6時 長崎県勤労福祉会館
 主催 8・6広島—8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会
長崎原爆朝鮮人犠牲者追悼早朝集会
 8月9日(日)午前7時30分
 爆心地公園の原爆朝鮮人犠牲者追悼碑
 主催 長崎朝鮮人の人権を守る会
平和式典会場、爆心地に向けたデモ
 8月9日(日)午前10時 城栄公園(路面電車・大橋下車)
 主催 8・6広島—8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会