2009年8月 3日

〈焦点〉 道州制 御手洗・橋下対談で一致

週刊『前進』10頁(2402号5面2)(2009/08/03)

〈焦点〉 道州制で人件費を大削減
 御手洗・橋下対談で一致

 7月25日に御手洗冨士夫日本経団連会長と橋下徹大阪府知事が対談し、道州制推進で「一致」したことが大々的に報道された。
 日本経団連は毎年、夏季セミナーを開いている。今年は世界大恐慌のまっただ中で断末魔にあえぐ日本資本主義の延命策を協議する場となった。
 その最終日に「日本復活のシナリオ」と銘打った「アピール2009」を発表した。このアピールでは行財政基盤の確立の最大の柱として「道州制推進基本法の早期制定と道州制導入に向けた政治・行財政の改革」をあげている。
 御手洗はこのセミナーに橋下を招いて道州制をテーマに講演をさせた。御手洗はそれだけでは足りないと、セミナー終了の翌日にわざわざ橋下との対談の場を設定した。この必死の策動の中に日帝・ブルジョアジーの道州制導入にかけた並々ならぬ決意を見て取ることができる。橋下も講演の中で、「このままでは日本はあと2、3年で沈没する」「東アジア各国との競争で日本が立ち行かなくなる」と支配階級としてのすさまじい危機感を吐露している。
 対談では御手洗の「日本を10の道州に分けて財源、権限を任せる」との主張に、橋下も「140年続いた霞が関の運営システムを抜本的に変えれば、究極の構造改革になる」と呼応し、国のあり方を根本的に変え、労働者階級人民への新自由主義攻撃を決定的に激化させる「究極の構造改革」としての道州制推進で一致した。
 さらに道州制の実現に向けて御手洗は、「国民の理解を引き出しながら、草の根運動のような取り組みが必要」と発言し、橋下も「総選挙で一大争点になるよう、道州制に触れないと政治家として生き延びることができないくらいに、国民運動にしないといけない」と応じるなど、労働者階級人民を巻き込んだ「草の根の国民運動」を起こすことで合意した。
 御手洗は対談の中で、「投資の合理性、人件費の削減で5兆8500億円の削減ができる」「(道州制の導入で)削減した人件費を新たな投資に回せば地域で新産業が興る」と述べ、道州制攻撃の重大な柱が公務員360万人首切り、民営化、労組破壊であることを臆面もなく語っている。
 まさに道州制導入を許すかどうかは、大恐慌下の日本の資本主義の生き残りをかけた支配階級の攻撃と、労働者階級の生きるための必死の闘いとの激突であり、一大階級決戦である。
 自公はもともと道州制導入賛成派である。民主党は28日に発表したマニフェストにおいて「地域主権国家」と言い出した。その中身たるや、「明治維新以来続いた中央集権体制を抜本的に改め、『地域主権国家』へと転換する」「中央政府の役割は外交・安全保障などに特化し、地方でできることは地方に移譲する」などという代物で、道州制そのものだ。民主党は「政権」が近づくほど日帝ブルジョアジーにすり寄り、労働者階級に敵対するブルジョア政党としての本質をあらわにしていく。
 道州制導入を策動する日帝ブルジョアジー、自民党、民主党、連合を始め体制内労働運動を打倒して、道州制・民営化粉砕へ4大産別を基軸に闘おう。