2009年8月17日

自治労熊本大会決戦へ 本部は道州制推進と北朝鮮制裁支持 革共同自治体労働者委員会

週刊『前進』08頁(2403号6面1)(2009/08/17)

本部打倒こそ現場組合員の声 自治労熊本大会決戦へ
 自治労本部は道州制推進と北朝鮮制裁支持へと大転向
 革共同自治体労働者委員会

 自治労第81回定期大会は、大恐慌と大失業・戦争の情勢下、自治労を丸ごと産業報国会化に引きずり込む歴史的な大会となろうとしている。現場労働者の怒りで焼き尽くし、自治労本部を打倒しよう。4大産別決戦の帰趨(きすう)をかけ、自治労熊本大会決戦(8月25〜28日)から11月労働者集会1万人結集に攻め上ろう。

 勝負は11月1万人結集だ

 自治労本部は、ついに道州制・民営化翼賛と戦争協力の立場に公然と立った。大会議案で「組合員利益の維持・向上のみを求めるこれまでの労働運動からの質的転換」を掲げて民営化全面推進の方針を打ち出し、「道州制の議論への参加」を明記、さらに北朝鮮に対する排外主義扇動を議案に書き連ねた。
 自治労本部は、これを大会の名で自治労全体の方針として確定し、87万組合員、6千万労働者に押しつけようとしているのだ。こんなものは労働組合の方針ではない! 
 労働組合が「財政再建」や「公共サービスのため」に首切りや賃下げに協力することがありうるのか。どうして公務員労働者360万人首切りの道州制議論に参加しなければならないのか。いつから自治労は、「北東アジア地域の安定を揺るがす北朝鮮によるミサイル発射や地下核実験実施への抗議」と「働きかけの必要」を叫びたて、自公政権や民主党が進める北朝鮮への排外主義扇動と制裁=戦争の旗振り役になったのか。
 資本主義救済の立場から、道州制クーデターに参画し、現場の闘いを押しつぶして戦争動員していくことなど断じて許されない。「国滅びて地方なし、国なくして個人なし」(辞任表明した横浜の中田市長)の国家主義、産業報国会化路線を全面化するまでに変質した自治労本部を現場の闘いで打倒し尽くそう。

 資本主義の救済で総屈服

 産業報国会だ

 世界金融大恐慌が爆発し、国際帝国主義の最弱の環である日本帝国主義の危機は戦後自民党支配の歴史的崩壊にまで行き着いた。自治労本部はまさにこの時に、「構造改革路線からの転換」のペテンを弄(ろう)しながら、「持続可能な日本社会のグランドデザイン構想と三つの重点課題」なる基本方針を打ち出し、資本主義体制の存続を願う立場から新自由主義の全面化、道州制翼賛と戦争協力の路線を大会議案としたのだ。
 どうして労働者が生きていけない社会を持続させる必要があるのか! 資本家どもが搾取と投機の限りを尽くして巨万の富を我がものとした揚げ句に爆発した大恐慌のもとで湯水のような資本救済の資金投入が行われ、天文学的な財政赤字が作り出されている。この借金をどうして労働者が負わなければならないのか。「財政再建」と「公共の再生」の名でさらに死ぬまで働かせ、戦争に駆り出すのか。文字どおりの「滅私奉公」だ。ふざけるな!
 大会議案は「財政赤字が増大する中で、行財政制度と社会保障制度を構築し地域社会の崩壊を食い止めることが喫緊の課題」として、①「自治・分権の推進と公共サービスの再生」②「新しい公務員制度の構築」③「公共サービス労働者の総結集」——をあげた。その一つひとつが自治労のこれまでの現場の運動を根本から解体し転換させる決定的な踏み出しだ。
 ①「自治・分権の推進と公共サービスの再生」では、「単組は、自らの自治体の財政を客観的に分析し、その結果に基づいて政策の改善を提案する」とし、徹頭徹尾「財政再建」の立場に立つことを強調。「公共の再生」を掲げて「住民ニーズに応える効率性と効果性を兼ね備えたサービスの不断の改革」を現場組合員に求めた。大恐慌下の滅私奉公、産業報国化だ。そのために、日本経団連や民主党、大阪の橋下知事らと一体となって、資本主義救済のために道州制・民営化翼賛に走ることを大会で宣言しようとしているのだ。
 ②「新しい公務員制度の実現」の項では、「地域民間賃金準拠の下方圧力をはねのけることは極めて困難」として、5月に自治労労働局が提案し紛糾した「自治体職員の標準的給与」(公務員全国統一賃金の否定と賃金2割削減の逆提案)を公然と打ち出した。
 「たとえ労使合意により慣行になっている事項であっても、市民の視線や社会状況を常に意識しながら見直しの作業を進め、市民の理解と共感を得られる運動を推進していく」とまで言及。これまで闘いの中でかちとってきたすべての労働慣行の破棄まで、自治労の名において各単組・現場組合員に強制しようとしている。
 さらに8月11日に出された賃金15万4千円カットの09年度人事院勧告の丸のみ、民間準拠による現業賃金3〜5割カットすら自治労本部は意図している。「新しい公務員制度の実現」とは、道州制下のすさまじい賃下げや労働条件改悪に道を開くものだ。
 ③「すべての公共サービスを担う労働者の総結集」では、「(個別労使関係における組合員利益の維持・向上のみを追求するこれまでの労働運動ではなく)社会的な公正・公平の実現をめざす運動への質的転換」を掲げた。「アウトソーシングに対抗し、公共サービスの再生を果たすためには、公民労働者が連帯し、サービスの改革と従事者の処遇改善を社会にアピールする」とした。
 これこそ非正規職労働者を組織する連合全国一般の統合に続き、民営化の焦点となっている都市交・全水道を組み入れる地公3単産組織統合の最大の狙いだった。現場の激しい抵抗によって東京一般が脱退した上に3単産統合が無様に破綻するに至ったにもかかわらず、自治労本部は「公共サービスの再生」の名で現場の闘いをたたきつぶし「働こう」運動に総動員するために「公共サービス労働者の総結集」を臆面もなく掲げたのだ。

 道州制を議論

 自治労本部は「道州制の議論に参加」を公然と打ち出した。変質はここに極まった。道州制翼賛への踏み切りのために熊本大会が開かれようとしているのだ。
 大会議案は「地方財政を確立するため、地方財政制度改革に取り組む」として、「税の公正化のために納税者番号制の導入」(国民総背番号制!)、「地方消費税の充実」(税率アップ=増税!)まで主張したばかりか、これまで形だけは「拙速な議論には反対」としていた道州制議論への参加を明記するに至った。
 道州制攻撃の核心は、公務員労働者360万人の首切り・選別再雇用攻撃、公務員労働運動の絶滅・解体攻撃である。
 大失業が全労働者に襲いかかっている。統計上の数字でも、6月完全失業率5・4%、完全失業者348万人(総務省労働調査速報)、1〜3月期企業内失業者は607万人(09年経済財政白書)に達し、さらに増え続けている。こうした現状の上に道州制は、公務員360万人首切りを強行して非正規職化し、労働組合を破壊して6千万労働者全体に大失業、「半分の人数、賃金で倍の仕事」を強制し、戦争への道を進める攻撃だ。
 日本経団連、大阪の橋下知事や杉並の山田区長らとともに道州制を声高に主張してきた横浜の中田市長は「このままいけば、日本は本当に滅びてしまう。莫大(ばくだい)な借金を背負った国滅びて地方なし、国なくして個人なし」とまで言い切った。これこそ道州制の本質であり、究極の新自由主義攻撃だ。
 「国が滅びる危機」だからこそ、自治労本部は道州制攻撃の本質を百も承知で大会決定として道州制推進に踏み切ったのだ。労働者階級の側ではなく、帝国主義の側に立つということだ。断じて許されない。そんな国は滅びてしまえ。資本主義の最後の救済者=体制内労組指導部もろとも命脈の尽きた資本主義を打倒し、階級社会を廃絶するのだ。その立場に立って絶対反対で闘った時、全労働者階級の反乱と勝利が切り開かれる。

 民営化に協力

 自治労本部は、職場の闘いをとことん押しつぶし当局に全面協力する方針を打ち出した。
 大会議案では「非正規労働者の劣悪な処遇と不安定雇用が大きな社会問題になっていることに対して、労働運動が、個別労使関係における組合員利益の維持・向上のみを追求するのでは、社会的共感は得られず、運動が孤立しかねない」と言って、闘うことそのものの圧殺を宣言した。
 しかし、動労千葉を見よ。反合・運転保安闘争を徹底して闘うことで、ストライキに対する支持と共感が圧倒的に寄せられているではないか。これが恐慌・大失業下の労働運動だ。自治労が国鉄1047名解雇撤回を闘い、民営化絶対反対・非正規職撤廃、派遣法撤廃で闘うことこそが求められているのだ。
 「医療や福祉など地域におけるセーフティネットが綻びを見せるなかで、公共サービスの重要性が再認識されつつあり、自治労と各単組は、重要な任務を負っていると自覚する必要がある」などと言って資本主義救済運動を推進することなど絶対に許されない。労働者は「ブルジョアジーの墓掘り人」(『共産党宣言』)として、資本主義を打倒し、労働者が主人公の社会を闘いとるのだ。
 自治労本部は「総人件費抑制」反対を投げ捨て、賃下げを逆提案する「自治体職員の標準的給与の確立」、労働者分断と競争、労働強化の「新たな人事評価制度の確立」、査定給推進の「勤務実績の賃金への反映」、さらに現業民営化協力の「現業労働者の任用替えへの対応」から「公務員の雇用保険制度適用の検討」まで言及し、公務員の整理解雇すら前提化した。
 これらすべてが現場で必死に闘われている現業切り捨て、民営化・民間委託、非正規職導入・任用替え、分限免職と雇い止め、人事評価・査定給導入、賃下げと人員削減・労働強化の攻撃、事故や公務災害との闘いのすべてを否定し敵対するものだ。
 もう我慢ならない。
 自治労本部の「現業活性化」「職の確立」方針に沿って「直営堅持のため」と自らに言い聞かせ、人員削減と労働強化に耐えてきた現場の労働者がいつまでも黙っていると思ったら大間違いだ。職場事故多発・病休続出は誰の責任だ。すべては、人減らしと労働強化のせいだ。もう許せない。職場の怒りをとことん爆発させる時が来た。

 北朝鮮排外主義を扇動!

 自治労本部は「6カ国協議を一方的に離脱した北朝鮮によるミサイル発射や地下核実験が行われるなど北東アジアの緊張は一気に高まった。こうした行動は許されるものではない。同国を協議の場に戻す働きかけが必要」とまで言い切った。戦争重圧を加え続ける米日帝国主義を一言も弾劾せず、北朝鮮を非難し、排外主義扇動と「制裁」を率先して進める立場を表明するに至ったのだ。
 4月の北朝鮮による「ロケット」発射に際しては、PAC3ミサイルが日本全土に配備展開され、秋田県を始め全国の自治体が「Mネット」による自衛隊の指揮命令下に入り、マスコミや自治体・教育労働者が戦争動員に駆り出された。民主党マニフェストは「北朝鮮船舶に対する臨検」を主張している。労働組合が自国政府による排外主義扇動や「制裁」を主張する時、戦争は現実のものとなる。自治労本部は、戦争協力を大会方針として決定しようとしているのだ。
 こんな大会方針は一言一句たりとも認められない。労働者である限り、誰ひとりとして戦争も滅私奉公の産業報国会化もよしとする者などいない。ただちに全職場で本部打倒の怒りを爆発させ、熊本大会決戦に攻め上ろう。
 道州制・民営化阻止決戦はこれからが本番だ。最大の戦場は職場だ。すでに豊中市職女性部の3・6大阪府庁前行動を突破口に、青年労働者が先頭に立って全国で道州制・民営化絶対反対の闘いが激しく闘われている。怒りは職場に充満している。
 今こそ、時代認識と闘いの路線を割り引くことなくはっきりと打ち出そう。資本主義は終わりだ。大失業と戦争は、資本主義を打ち倒す労働者の闘いによってのみ阻止することができる。資本主義の擁護・救済の立場に立つ体制内指導部を打倒すること抜きに労働者の勝利はない。産業報国会化と戦争か、資本主義の打倒か。絶対反対の路線と階級的団結だけが闘いの勝利を保証する。
 国鉄1047名解雇撤回を先頭とする4大産別の闘い、職場の闘いを爆発させて、改憲・戦争と民営化・労組破壊に立ち向かう階級的団結を!11・1全国労働者総決起集会への1万人結集を実現することこそ革命勝利の道だ。道州制攻撃の先兵、自治労本部を打倒し、戦争・改憲と民営化・労組破壊の攻撃を打ち破ろう。闘う労働者党をつくり上げよう。