2009年8月17日

〈焦点〉 米帝が核攻撃の「新軍団」 これがオバマ演説の正体

週刊『前進』08頁(2403号7面3)(2009/08/17)

〈焦点〉 米帝が核攻撃の「新軍団」
 これがオバマ演説の正体

 米帝オバマの「核のない世界」演説なるものの完全なペテン性を明らかにする重大な核武装強化の動きが明らかになった。
 8月7日、ミサイルや爆撃機による世界全域への核攻撃を統合する新軍団「グローバル(地球規模)戦略攻撃軍団」が発足し、米ルイジアナ州バークスデール空軍基地で発足式典が行われた。これまで別々の指揮系統下にあった地上発射型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)と、B52、B2などの戦略爆撃機による核攻撃を一括して指揮する拠点として設けられた、28年ぶりの新軍団である。地下の核施設を攻撃する貫通爆弾を保有し、戦略爆撃能力を強化する狙いもある。兵力は2万3000人。ドンリー空軍長官は、「再び核の任務に焦点を合わせ、それを見失わないようにしなければならない」と語った。
 これは、オバマの4・5プラハ演説が、宣伝されているような「核廃絶への前進」ではまったくなく、米帝による核独占と核拡散阻止の新たな世界支配の宣言そのものであることを証明している。7日の式典で空軍幹部は「大統領は『核兵器が存在する限り、安全で効果的な核抑止力を維持する』と明言した」のだと強調した。
 また、7月29日に米ネブラスカ州オマハで行われた米「戦略軍」主催の核抑止力を論議するシンポジウムでは、「予見可能な将来にわたってわれわれは核とともにあるのが現実だ。核抑止の議論を停滞させてはならない」と問題提起された。ここでの「核廃絶派」の議論も、「現状をはるかに下回る約1千発の核弾頭だけでも核攻撃は十分抑止できる」という核抑止力論であり、これに対して国家核安全保障局長が「核軍縮をするならば、残る核兵器をより安全かつ効果的にすることがますます重要になる」と述べ、老朽化し維持費も高額な旧時代の装備の刷新、核兵器の「技術革新」の必要性を強調した。すべてオバマ演説の核武装強化論と符合する動きだ。
 6月29日には核兵器用のICBM「ミニットマン3」の発射実験をオバマ政権発足後初めて実施した。カリフォルニア州バンデンバーグ空軍基地からマーシャル諸島のクエゼリン環礁に打ち込まれた。オバマのプラハ演説から3カ月、核兵器を搭載するミサイルの実験が続けられていることで、そのペテン性が暴かれている。
 オバマ演説は、「核兵器を使用したことがある唯一の核保有国として……行動する道義的責任」と言っているが、これは日本共産党・志位らが美化するような、広島、長崎への原爆投下の謝罪でも反省でもない。圧倒的な核兵器の独占を維持し、その拡散を阻止し、北朝鮮やイランの核武装を軍事的に粉砕する核大国としての「責任」を述べているのだ。それは当然、日本や韓国の核武装も許さないということだ。そのために「脅威に対処する厳格な手段を行使する」と、恫喝しているのだ。
 「新軍団」の発足こそは、オバマが核戦力の飛躍的強化と、侵略戦争遂行へ全力を挙げていることを事実をもって示している。
 日本共産党や連合などが大宣伝するオバマ幻想を怒りをもって粉砕しよう。田母神を先兵とする日帝の核武装攻撃を打ち破ろう。