2009年8月17日

〈焦点〉 マニフェスト選挙の欺瞞 資本主義の救済か革命か

週刊『前進』08頁(2403号7面4)(2009/08/17)

〈焦点〉 マニフェスト選挙の欺瞞
 資本主義の救済か革命か

 衆院選に向けて自民党、民主党がそれぞれマニフェスト(政権公約)を発表した。日本経団連や経済同友会などの資本家団体、PHP総研や構想日本などの民間シンクタンク、全国知事会や指定都市市長会などの自治体首長ら、そして連合までもが一斉に各マニフェストを採点し評価を下している。どの政党のマニフェストが優れているのか、何点を与えるべきなのかなど、マニフェストの評価・論議を進め、政権交代か否かを占うことがあたかも政治の中心機軸であるかのような大キャンペーンが張られている。
 マニフェスト選挙とは、ブルジョアジーとブルジョア政党、ブルジョア・マスコミが総がかりで労働者階級人民を欺瞞(ぎまん)する巨大な政治ショーだ。
 自民、民主の両マニフェストとも〈戦争・改憲、民営化・労組破壊>の攻撃に集約される日帝の絶望的延命策にすぎない。世界大恐慌情勢下の今、問われているのは破綻した資本主義体制そのものの転覆=革命だ。自民党、民主党ともに、ここをごまかしている。ここに最大の欺瞞があるのだ。
 自民党のマニフェストは「日本を守る」「責任力」をキャッチコピーに、社会保障番号・カード導入や幼児教育無償化、高校・大学生への給付型奨学金制度創設、道州制基本法の早期制定、低炭素型経済成長の実現、消費増税を含む税制の抜本改革や財政健全化、日米同盟強化を盛り込んでいる。ばらまき政策による財政破綻の深刻化は不可避だ。集団的自衛権行使、ミサイル防衛など改憲と戦争の攻撃だ。道州制導入を明記したことが最大のポイントだ。
 「政権交代」を掲げる民主党のマニフェストも、子ども手当増額、高校無償化、高速道路無料化など、自民党以上のばらまき政策である。「無駄遣いの根絶」とは、公務員労働者を標的とする行政改革=民営化であり、政党主導の独裁強化だ。その目玉が首相直属の「国家戦略局」設置だ。日米同盟重視の現実主義で、自民党と同じような安保外交政策となった。最大の問題は「地域主権国家」「分権改革」の強調で、事実上の道州制導入論に踏み込んだことだ。実際、民主党は8月7日、道州制の最大の先兵である橋下徹大阪府知事の要望を受け入れ、「地方分権改革をめぐる国と地方の協議機関」の設置を自公と同様、マニフェストに書き込んだ。
 両党のマニフェストの要をなしているのは道州制・民営化攻撃だ。自民党支配の崩壊をもたらしたものは、小泉政権以来、本格化した新自由主義攻撃への労働者の巨大な怒りだ。両党は、その怒りをなだめようと必死になる一方で、結局は道州制・民営化にやみくもに突き進んでいく。
 したがって、国鉄1047名解雇撤回闘争、法大解放闘争、道州制・民営化絶対反対闘争、4大産別決戦を貫き反撃することが労働者階級の回答だ。この闘いを職場で推進・物質化し、労働者を組織化し、11月労働者集会への1万人結集をかちとることが日帝打倒・プロレタリア革命、国際連帯と世界革命をたぐり寄せる。
 その勝利にむけて、総選挙過程で自民党支配を完全に打倒しつくし、ぶっつぶすことが決定的だ。