2009年9月14日

〈焦点〉アフガンで危機のオバマ ドイツでも撤退論

週刊『前進』06頁(2407号5面3)(2009/09/14)

〈焦点〉 アフガンで危機のオバマ
 ドイツでも撤退論が台頭

 イラクに続き、アフガニスタン侵略戦争が決定的な危機と破綻に突入している。
 何よりも米帝オバマのアフガン戦略の破綻が深刻だ。今年初め4万人だった米駐留軍は6万人まで増強された。7月から大規模なタリバン掃討作戦に踏み切ったが、敗北続きで、今年の戦死者は170人を超え、3カ月以上を残して年間の死者は最高を記録した。ゲーツ米国防長官は3日、追加増派を検討すると述べた。
 一方、800もの架空投票所の存在が明らかになるなど、アフガン大統領選の成立自体が大ピンチだ。アフガニスタンの帝国主義による安定支配などあり得ない。
 他方、アフガニスタン北部で市民を含む多くの犠牲者を出した国際治安支援部隊(ISAF)による9月4日の燃料輸送車空爆がドイツ軍の要請によるものだったことが判明し、独メルケル政権への批判とアフガン駐留独連邦軍撤退要求が強まっている。
 4日の空爆は、独軍司令官の要請でNATO(北大西洋条約機構)軍の米軍機が実施した。反政府武装勢力タリバンが奪った燃料輸送車で独軍駐屯地への攻撃を計画しているとの情報があったためというが、独軍の責任は明らかだ。独、米軍をはじめ帝国主義駐留軍はタリバンの支配地域拡大に追い詰められ、報復的に無差別虐殺に走っているのだ。
 独政府は卑劣にも空爆の犠牲者を50人程度としているが、人権団体などは135人に上ると指摘している。アフガニスタン現地住民の怒りはもとより、ドイツ内外で批判が続出している。イギリスのミリバンド、フランスのクシュネル両外相は、原因究明を求めた。
 8日、野党の左派党は、政権を追及する一方、ベルリンで独軍のアフガン早期撤退を訴えてデモを行った。月末の総選挙の争点にする構えだ。
 メルケル首相(キリスト教民主/社会同盟=CDU/CSU)は8日、連邦議会で市民の犠牲に遺憾を表明し、調査を約束したが、アフガンからの早期撤退を否定、「駐留はドイツや世界の平和に貢献している」と強調した。
 大連立を組む社会民主党(SPD)では、シュタインマイヤー外相が「慌てて撤退するという無責任なことはできない」と駐留の必要性を説いたが、シュレーダー前首相は撤退時期明記を求めた。総選挙を前に動揺しているのだ。
 野党では左派党のラフォンテーヌ党首が「駐留はテロを誘発するだけだ」として早期撤退を求めている。「テロ」(反米民族解放戦争の特殊的極限的形態)との戦い自体には賛成しているのだ。野党の緑の党、自由党(FDP)も独軍の駐留を支持している。緑の党は国防相が説明責任を果たしていないことを指摘するのみだ。
 ドイツはアフガンにISAF傘下で最大の4200人を「民間復興と治安維持」と称して派兵している。これに対して、国民の69%が早期撤退を求めている。
 独軍の空爆要請に基づく人民大虐殺を契機に、ドイツ労働者人民が大規模な独軍撤退要求と反戦闘争に立ち上がることは必至だ。
 11月労働者集会をイラク・アフガン・中東侵略戦争反対の国際反戦闘争としても闘おう。