2009年9月21日

〈焦点〉 リーマンの破綻から1年

週刊『前進』06頁(2408号5面2)(2009/09/21)

〈焦点〉 大失業は「危機の第3波」
 リーマンの破綻から1年

 07年8月のパリバ・ショックから2年余り、08年9・15のリーマン・ショックから1年。世界金融大恐慌として始まった1929年〜30年代を超える後のない世界大恐慌は現在、金融も実体経済も、政府による膨大な財政投入と実質ゼロ金利を含む超金融緩和政策というカンフル剤に助けられて、一時的な小康を保持し、かろうじて生き長らえている状態である。
 ドイツ連銀の総裁は、現在の「景気底打ち」なるものには三つの要因があり、「一に政策、二に政策、三に政策だ」などと公言している。つまり日米欧の帝国主義国も中国などの新興諸国も、世界経済はすべて国家的介入による「政府頼み」で、なんとか延命している状態なのだ。
 具体的に見てみよう。リーマン破綻以降の景気対策として、日米欧、中国、韓国、オーストラリアは、実に合計で300兆円以上の公的資金を投入した。金融安定化策にいたっては、米帝だけでなんと4・7兆㌦(430兆円)の資金が注ぎ込まれている。日帝の場合も、財政投入の規模は、08年度の補正予算以降、事業ベースで総額130兆円にのぼる。
 これほどの規模の景気対策、金融安定化策の発動は、29年大恐慌の時にもなかった。この異常なカンフル剤注入の政策効果が切れれば、「第2、第3のリーマン」の爆発や、実体経済の「2番底」「3番底」の到来は不可避で、全世界の政府とブルジョアジーは今、その恐怖に打ち震えている。
 リーマンが破綻し、名だたる巨大金融機関が全滅状態に陥ったにもかかわらず、ウォール街は性懲りもなく、株式投機や「安全性を高めた」と称するCLO(ローン担保証券)などの証券化商品の売り出しに、またぞろ浮かれつつある。しかし米金融機関にはまだ最大で136兆円もの不良資産が残り、住宅価格は今後さらに60〜70%も下落すると予測される。しかも金融危機の「新たな爆弾」として1兆㌦超の商業用不動産融資の焦げ付き問題がある。そのことの象徴として、実際に米地方銀行の危機が深刻で、すでに今年になって92行が破綻し、今後「来年までに500行以上が破綻する」とさえ言われているほどだ。
 とりわけ大恐慌の深刻化が生み出した最大の問題が、大失業である。この大失業問題について、ブルジョアジーですら金融危機と実体経済の急落に続く「危機の第3波」(ストロスカーンIMF専務理事)だと言っている。米失業率は公式発表でも過去最悪の9・7%となり、10%を超えるのは時間の問題だ。独仏などユーロ圏では7月に失業率9・5%、失業者数は1500万人を超えた。スペインなどは断トツの失業率18・5%だ。日本も完全失業率が最悪の5・7%となり、年内にも6%台へと突入する。9月の月例報告でも「雇用の一層の悪化が懸念される」と言わざるを得なかった。
 リーマン破綻から1年。以上、簡単に見ただけでも世界大恐慌が今秋以降、もう一つ新たな段階に突入することは不可避である。日帝はこの中で依然として「最弱の環」だ。大恐慌と民主党・連合政権下の戦争・大失業攻撃の激化と全面対決して、11月労働者集会1万人結集へと闘い抜こう。