2009年9月21日

〈焦点〉経団連が要望書 民主・連合との協調狙う

週刊『前進』06頁(2408号5面3)(2009/09/21)

〈焦点〉 経団連が新政権に要望書
 民主党・連合との協調狙う

 鳩山内閣=民主党・連合政権が成立した前々日の9月14日、日本経団連が正副会長会議を開き、「新内閣に望む」と題する政策要望書を決定した。そこでは道州制導入、消費税増税、憲法改悪の要望を柱に地球温暖化対策の問題などについての日本経団連のきわめて反動的な要求を列挙している。
 だがこれは、一貫して自民党を全面支持してきた日本経団連の歴史的破産の自認でもあった。同時に、これまで「疎遠」であった民主党・新政権に必死で接近し、半世紀ぶりの政権交代という政治的大激動・大動乱のただ中で、ブルジョアジーの政策要求を貫徹しようとするあがきでもある。
 そもそも、日帝=小泉・奥田路線という形で、今回の自民党支配の歴史的崩壊の直接の原因をつくり、小泉構造改革を財界=金融独占ブルジョアジーの立場から一貫して支持し、その先兵となってきたのが日本経団連だった。前会長であるトヨタ自動車の奥田碩こそ、その代表的人格である。
 そして奥田のあとを引き継いだ現会長・御手洗冨士夫も、違法派遣問題などで悪名高いキヤノンの会長として、安倍政権以降も、戦争・改憲と民営化・労組破壊を軸とした新自由主義攻撃を一貫して推進してきた張本人だ。
 日本経団連は奥田・御手洗両会長の約7年間にわたって、トヨタやキヤノンを筆頭とする日本の巨大独占企業の利害を一身に体現し、労働法の改悪を自民党と一体になって推進してきた。その結果、労働者階級の3分の1が非正規雇用化され、年収200万円以下の労働者が1000万人を超えるという「ワーキングプア」社会を生み出してきたのである。
 間接雇用を合法化した歴史的悪法である労働者派遣法すら無視した違法派遣のでたらめさが、社会的に大きく暴露されると、御手洗は「請負法制に無理があり過ぎる。これを是非もう1回見直してほしい」などと傲慢(ごうまん)にも開き直り、逆に法改悪を要求するありさまだった。まさに日本経団連は、日帝ブルジョアジーの利害を政権に貫いてきた最大の「利益団体」そのものである。
 8・30総選挙での自民党の歴史的惨敗は、何よりも小泉構造改革=新自由主義攻撃への労働者階級人民の根底的な怒りの爆発であり、しかもその怒りのやいばは日本経団連にも向いている。世界大恐慌に直撃されつつ、この怒りのすさまじさに「革命のヒドラ」を見た御手洗は、民主党や連合の労働貴族どもとの新たな連携の中に、ブルジョアジーの延命の道を見いだそうとしているのだ。
 すでに暴露してきているように鳩山新政権は民主党と連合の結託政権だ。連合の体制内最右派の幹部どもが政権中枢に入り込んでいる。この連中が連合の先兵、自動車や電機資本の利害代表者として、「行政の無駄遣いの排除」などを叫び、労働者階級への首切り・賃下げ、非正規雇用化や道州制・民営化攻撃を、自民党政権以上に露骨に強めようとしている。日本経団連の政策要望は、この攻撃を促進するものである。
 民主党・連合政権と徹底対決し、体制内勢力の敵対を粉砕して国鉄1047名解雇撤回闘争を最先端に、11月へと進撃しよう。