2009年10月15日

新幹線仙台駅で死亡事故 全職場で反合・運転保安闘争を

週刊『前進』08頁(2410号7面2)(2009/10/15)

新幹線仙台駅で死亡事故
 全職場で反合・運転保安闘争を

 9月10日、JR東日本・東北新幹線仙台駅構内で、カ−ブを描く線路上のトロリー線(電気が流れる架線)張り替え作業中の下請け会社の労働者が、またも工事中の事故で殺された。死亡したのはJRの下請け会社「日本電設工業」(筆頭株主はJR東日本)の55歳の労働者だ。絶対に許すことはできない。
 事故が起きたのは深夜帯の午前1時40分。新幹線のトロリー線を約1・5㌔にわたり古いものから新しいものに張り替える作業中のことだった。
 事故の直前、工事用車両がなんらかの原因で緊急停止し、巻き取られた古いトロリー線がゆるんだ。その結果、古いトロリー線が仮吊りのハンガー(吊り金具)から外れて跳ね上がり、作業中の労働者の胸部を強打、労働者の体は弾き飛ばされた。その労働者は救急車で病院に運ばれたが、同日早朝に亡くなった。
 事故の直接の原因は、本来取るべき安全上の措置が取られていなかったことにある。トロリー線がカーブしている場合、ハンガーが外れたら強い引長力で直線になろうとして跳ね上がる。これを防止するためには、「曲引き金具」(ハンガーが外れても跳ね返らないように横からトロリー線をはさんで防止するもの)を取り付けなければならない。しかし、その措置は省略されていた。
 作業の効率化を図るという名のもとに徹底した利潤追求を強行し、列車運行を最優先して作業を急がせるJR資本と直営下請け会社の体質が、悲惨な事故をまたも発生させたのだ。
 こうした重大事故が起きたにもかかわらず、JRは同日未明に工事を再開し、何事もなかったかのように新幹線を平常どおり始発から走らせた。
 この事故の責任の一切はJR資本にある。国鉄分割・民営化以来JRは、利潤第一主義で鉄道輸送の根幹にかかわる安全業務を徹底的に外注化してきた。とりわけJR東日本は、「ニューフロンティア21」以来、JR各社の最先頭で外注化・大合理化を強行した。
 その結果、下請け労働者は絶え間なく虐殺され続けている。昨年9月には、東北本線・黒磯駅構内での感電死亡事故と八戸線・侍浜−陸中夏井間での触車死亡事故が立て続けに起きた。JR全体では、分割・民営化以来330人以上の下請け労働者が殺されている。これがJR資本の本質だ。
 JR東日本は、責任逃れのためこの事故について対外的には一切発表していない。マスコミもまったく報道せず、JRによる労働者虐殺を闇(やみ)に葬り去っている。
 資本の手先と化した労組幹部には、事故を社会的に暴露し、職場からの闘いで資本に安全を強制するつもりなどまったくない。JR総連・東労組は「死傷事故ゼロ」をペテン的に掲げた「グループ経営ビジョン2020−挑む−」の実施を要求しているありさまだ。
 国労東日本本部に至っては、事故についていまだ何の態度表明もしていない。JR東日本と包括和解を結んだ国労東日本本部は、労働者が殺されても抗議の声ひとつ上げることもできなくなっている。これが4者4団体派の裏切りの現実だ。
 その対極で動労千葉は10月1日、幕張車両センターにおけるストライキを断固貫徹した。
 今こそ動労千葉に続き全職場で反合・運転保安闘争に立とう。現場労働者の満身の怒りで、安全を根本から破壊したJR体制を打倒しよう。11・1集会1万人結集でその突破口を切り開こう。